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鬼ノ城(岡山)

最新登城日:2010年6月18日

 

岡山といえば、きびだんご。きびだんごといえば、桃太郎。桃太郎といえば、鬼退治。
鬼ノ城は、桃太郎が退治した鬼の住む城との伝説がある場所です。

おとぎ話しのような伝説があるくらいなので、相当古い。推定665年前後築。
ということは、築1345年くらい?・・・もう古すぎて、せんとくんもビックリだ!

日本がまだ<倭>だった頃、大和政権が滅亡直後の百済の人を受け入れ、
その技術を教えてもらってつくった城という説が有力です。
<倭>とか<百済>とか、懐かしすぎる響きですよね。日本史の授業でいちばんはじめに出てくる単語です。

これだけ古いお城なので、いわゆる“お城”というより、“遺跡”というイメージかもしれません。
この頃建てられた30のお城を古代山城(こだいやまじろ)といい、
そのうち日本書紀に載っているものを朝鮮式山城、載っていないものを神龍石系(こうごいしけい)山城、といいます。
鬼ノ城は、16ある神龍石系山城のうちのひとつです。

この古代山城であることはなかなか興味深く、
「城メグリストに古代山城*ブーム到来!?」とコーフンしたのだけれど、
ここでもその概要をつらつらと書いても「・・・???・・・。」だと思うので、割愛します。

 

   
鬼ノ城ビジターセンターの駐車場に車を止めて、さっそく出発!
ビジターセンターには資料館が併設されていて、古代山城や鬼ノ城について詳しく展示されています。
映像も充実していて、かなりわかりやすい!
ここだけで1時間くらいいれそうですよ。

 


城壁は山の8〜9合めくらいをぐるりと1週していて、長さは2.8km!
1〜2時間ではとうてい帰ってこれないほど広大で、全面積は30ヘクタール(東京ドーム約6.4倍)。

こうして全体像を見てみるとよわかるように、すり鉢をひっくり返したような地形。
ふもとから山の斜面を攻め登られることはなくて、
その反面、山頂付近は比較的平坦で人が動きやすい、なんともお城に適した地形。
今でこそ「城に適した地形で・・・」なんて言えるけれど、
情報もメジャーもない時代、まずこの山をセレクトしたことがすごいですね。
どうやってこの山の地形や特性を知ったのでしょうか。

 

  
山城のおとも、杖に出迎えられつつ、スタート!
登山口付近はかなり整備されてます。
小学生が社会科見学で来たりするようなので、その対策かもしれませんね。

 

  
てけてけと歩くとするに見えてくるのが、鬼ノ城のメインスポットでもある、復元された西門。
標高約400mの鬼ノ城山。総社(そうじゃ)平野を一望。

 

   
万里の長城や紫禁城、韓国のお城となんとなく似てますよね。
城というものがすでにあること、デザインや構造は違えど、基本的な役割やしくみは同じなんだなあ。
 

版築工法というのもこの鬼ノ城の特長のひとつ。
型をつくって土を入れ、杵や人の足を使って踏み固めていく方法。
とてもマンパワーが必要な作業で、その動員数は、なんと推定数十万人!!!
そんなに人がいたのかー、ということにも驚き。

 

 

   
  
建物自体は復元だけれど、足元の礎石はしっかりと残っていて、当時のまま。
柱の削りかたも当時の技法を忠実に再現していて、かんなで波打つように削ってあったり、なめらかな平面になっていたり。
2階は物見台のようになっていて、門とはいえどなかなか立派。
このあたり、近世城郭の門や櫓にも通ずるところがありますね。
門の奥は虎口のように、侵入の勢いを封じるつくりになっていたよう。

 

  
鬼ノ城で日本初の発見となったのが、この敷石(しきいし)。
その名の通り、小さな石を敷きつめた石のじゅうたんのようなものだけれど、この面積がまたスゴイ!
実際に歩いてみるとわかるのだけれど、歩けど歩けど続く、石のじゅうたん。
石を割って、整えて、パスルのように組み合わせて、表面を平らに並べる・・・気の遠くなるような作業です。
幅はだいたい1.5m、広いところでは6mのところも。
城壁や地面を保護したり、水はけをよくするためのものなのだけれど、
これだけ広範囲に敷き詰められているのは、百済でも珍しいのだそうですよ。

 

 
ところで、松の生えはじめの姿って、知ってました?
こんなふうに、いきなり緑の部分がニョキニョキ出てくるんですね。
私、しばらくは木が成長してから緑の部分が出てくるのかと思ってました。
虫にやられた松の伐採が追いつかないそうですが、新しく芽吹く数もハンパない。
途絶えることはないのだそうです。自然の生命力はすごい。

 

  
時代を感じる岩肌のニュアンスを感じながら、ざくざく山道を進みます。

 

  
鬼の城には、6つの水門が残っています。
この水門の存在が、なんというか神業的。
この広い山に水がこもらせせずうま〜く流し去れるように、下水道のように水路がつくられているのです。
これがまた、うまいこと排水溝になっちゃってるのです。
ただの城壁かと思ったら、やるな!・・・っという感じ。

 

  
南門跡。城門は4カ所残っています。解説付きなのでわかりやすい。

 

   
さらに進みます。

 

 
これも、水門。

 

  
突然大きな石があったり、絶景が広がったり。

 

   
石垣が現れたり、千手観音が登場したり。

 

   
突然「岡山」と主張されたり、ずるずる滑る道になったり

 

   
またまた城門や水門が出現したり。

 

  
きれいな草花を愛でたり、まむしに注意しているうちに・・・

 


見えてきました、待ち望んだ<屏風折れの石垣>!!

 

   
最後の険しい道のり、もうひとがんばり!

 

   
<屏風折れの石垣>は、城外へ鋭く張り出した城壁の一部。石垣積みになっています。
どうやってこの崖にこんな大きな石を運んだの!?
石はどこから持ってきたの!?
どんな積み方をしたら崩れないの!?
石は意図的にこの大きさに割ってあるの!?
・・・などなど、ギモンは尽きません。

 

  
突き出している=攻撃&防衛の要。さえぎるものがないので、ぐるりと周辺を見渡せます。
活動の場だった証拠に、床面積も広い。

 

   
山の中には珍しい植物がいっぱい!
いろいろ撮っていたら・・・ 

 


こんな看板が現れビビる(笑) ×取る ○撮る だよね? 

 


礎石建物群。このあたりに人の形跡。食料や武器の備蓄庫か?

 

  
床がすべて石敷の、北門。
ポイントは、中央の排水溝。日本で初めて発見された、石組みの排水溝です。
奥の山も散策できるそうです。対面から鬼ノ城山を見てもおもしろそう。

 

  
井戸跡や、展望台をささっと見る(曇りのため視界悪し。晴れていれば小豆島までくっきり見える眺望!)。
復元時に実験に使われた土種の跡もちらりと見学。耐久性などを検証したそうです。

 

  
角楼(かくろう)。城壁から突如飛び出した、攻撃のための施設。
外壁の高さ3mはくらいあります。
ちょこっとだけある石垣の部分が、現存だそうです。

 

古代山城はミステリアスすぎるけれど、資料や展示が充実していて、わりとすんなり入れました。
城内も整備されていて歩きやすいですし(マニアの方には整備されすぎて残念かもですが)。
地域性や文化も関係しているので、私には知らないことも多かったけれど、
古代山城もいいなあ、と思えたのがよかった。大野城も行ってみよう。

 

ビジターセンターではいろいろ資料を置いていましたが、この展示ガイドがベーシック。
鬼ノ城のことはこれ1冊でざっと理解できると思います。

 

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