城メグリスト

コンテンツ

  • プロフィール
  • お仕事実績
  • 活動予定
  • 日本全国城ある記
  • 城メグ日記
  • お問い合わせ
  • リンク集

松江城-1(島根)

最新登城日:2010年6月22日

松江城は、現存12天守のうちのひとつ。

なんといっても見どころは現存天守閣。実践仕様の造りもうならせられるものあり。
そして、天守閣最上階からの景色がサイコー。宍道湖が見下ろせ、ぐるり360度の大パノラマが楽しめます。

築城したのは、豊臣秀吉、徳川家康に仕え、関ヶ原の合戦で功績を修めた堀尾吉晴。
はじめに入城したのは、松江から車で約30分の月山富田城でしたが、
いわゆる時代遅れの山城だったため、新たに築城したのが松江城です。
1607年に築城開始、16011年に完成。来年2011年でちょうど400歳ですね。

備中高松城水攻め、明智光秀の追伐、賤ヶ嶽の戦い、越前北ノ庄攻城、小牧長久手の戦い、
小田原征伐等などに功績があり、秀吉没後は徳川家康の信頼を得ました。
関ヶ原の合戦での戦功と忠誠心を評価されて出雲、隠岐24万石を与えられました。

堀尾吉晴は、なかなかの築城名人。
立地、縄張り(敷地全体の構造設計)、建造物のすべてにおいて、精度が高いといえます。

では、登城スタート。

 

駅からてくてく歩くうちに、大きな櫓群がどどーんと登場!
三の丸側から大手門へ向かいます。
現在の県庁が、三の丸跡。天守閣最上階から見下ろすと、お城の中に県庁が入り込んでます。
大手木戸門跡を抜けたところにあるだだっ広いスペースが、馬溜跡(写真/右)。
戦のときは、ここに人や馬を待機させます。

 

馬溜にある石碑の古文書を解説していただいてます(写真/左)
自分で読めたら、もっといろんな資料に目を通せるんだろうけれど・・・ムリだ。
松江城天守が山陽地方で唯一現存しているのには苦労と歴史があり、
明治時代に全国の城がボコボコ取り壊される中、尽力した方がおられました。
主にそのことが、この石碑に説明されています。
思わず食いついてしまった懸賞金(写真/中)、お城によくあるなんじゃもんじゃの木(写真/右)。

 

大手門の左手には、復元された太鼓櫓(写真/左)。
右手には二の丸下段(写真/中、右)。

 


松江城の楽しいところのひとつが、、石に刻まれた記号を探すこと。
よーく見ると、いろんな絵が彫刻してあります。
堀尾氏の家紋はもちろん、ナゾの記号。中には、安倍晴明の星形の紋も!
これは担当者や場所を記して、工事を円滑に進めるためのしるしだったと考えられています。
なにせこの石の数ですから、これだけで日が暮れそう。

 

ニャンコもお城にお目見え。いいなあ~、そこ、人は立入禁止なんだよ。

 

三の門跡を抜け、ググッと左折すると、二の丸上段に着きます。

 

今登ってきた階段の壁の部分。実はこんなふうに狙われています。
矢挟間(写真/中)、鉄砲挟間(写真/右)を覗いてみると、見事に通路を狙い打ち。

 

復元された太鼓櫓、中櫓、南櫓。櫓内にも入れます。
防御の要となる監視場所だけあって、存在感を放ってます。

 

かつて御書院や月見櫓などの建物がひしめき合っていたであろう二の丸西の壇には
松江郷土館(興雲閣)松江神社が建っています。

 


くねくねと登り歩いてきて、ようやく天守が近づいてきたムード。
二の門を抜けて、いよいよ本丸へ。
と同時に、まるで「通さないぞ」と意志を持ったような圧迫感のある石垣(弓櫓)が続きます。

 

一の門をくぐると、どーん!と天守閣が現れました。

天守閣は、高さ30メートル。外観五層、内部は六層。
附櫓(つけやぐら)という小さな建物が入り口脇にちょこんとついているのがポイント。
複合式天守、といいます。
天守閣の平面規模では現存2番目、高さでは3番目、古さでは6番目です。

最上階は望楼式(ぼうろうしき)と呼ばれる様式で、
その名の通り展望台のようにぐるり360度見渡せるようになっています。
高欄(こうらん)と呼ばれる手すりもついて、デザイン的にも優雅。展望台、司令塔の役割を果たします。

 

松江城の鯱(しゃちほこ)は木造のものでは日本最古(写真/左)。
高さ2.08メートルある巨大魚です。左は雄。
屋根の隅々にある鬼瓦(おにがわら)が一枚一枚表情を持っているのも、おもしろい。

寺院様式の花みたいなデザインの窓、花頭窓(かとうまど)(写真/左から2番目)。

美観のキーポイントになる三角屋根、入母屋破風(いりもやはふ)。
松江城が別名千鳥城(ちどりじょう)と呼ばれるのは、
このまるで千鳥が羽を広げたように美しいから、という説もあります。
(千鳥がなく宍道湖を見下ろす立地だから、という説も)。
黒く厚い、下見板張り。姫路城や彦根城のような塗籠(ぬりごめ)は少ない。

 

向かって右手には、多聞櫓跡、荒神櫓跡。

 

石垣は牛蒡積み。石の大きな部分を内側に、小さな部分を表側に出した積み方です。
乱雑に見えて、実は抜けず崩れない頑丈な積み方。勾配がなく直線的なのも、古い形式ならでは。

 

天守内に入ります。

 

外観のシンプルな印象とはうらはらに、内部はかなり戦闘仕様。
異様なまでに防衛機能が凝らされていて、執着心すら感じます。

石落とし(写真/左)はもちろん、すごいのが附櫓(写真/中)。
天守に侵入してもなお攻撃をしかけるべく、屋根裏のように入り組んだ構造になってます。
そして、地下には巨大な井戸と貯蔵倉庫が(写真/右)。篭城戦にがっちり備えてます。

 

珍しいのが、この柱。寄木柱(よせぎばしら)と言うそうです。
1本の松の柱の外側に板をそろえて、金具で留めたもの。
この方が力学的に強いそうですが、材木がなかったとの説も?

 


天守の1階~4階は同じ構造。無骨、という言葉が似合います。

 

最近話題のスポット、ハートの木目。縁結びにご利益があるそうな。
E.T.に見えたのは私だけ・・・?

 

桐の階段も、松江城の特長のひとつ。
厚さ約10センチ、階段の幅1.6メートルで、1階から4階までに設置されています。
階段を引き上げたり、防火防腐のために桐を使用しているのだとか。
つやっとしていて、ちょっと高級な階段でした。素材は語るなあ。

 

隠し石落としも、特長のひとつ。これはすばらしい。
ここから石を落とすわけですが、建物の構造をうまく利用して、敵から見つかりにくいようになってます。
角度がものすごい鋭角なのも、執念を感じます。

 

天守内にはいろんな展示がありますが、ジオラマはやっぱりおもしろい。
こうして見てみると、敵の進路、城下町までひっくるめた防衛も手に取るようにわかる。
いかにお城の立地がよいかもわかります。あっぱれ!

 

築城にまつわるストーリーが描かれた壁画も、わかりやすい。

 

最上階へ登る螺旋階段がスゴイ!
目が回りそう。一段の高さがあるので疲れるし、高所恐怖症な人はけっこう怖いかも。

 


最上階。この地の中心にいることがよくわかる景観。
仕切りがあるので、ここは畳が入っていたのでしょうね。
雰囲気もゆったり、天井の組み木も心なしか繊細です。

 

~松江城-2に続く~