城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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安藤忠雄さんの講演

世田谷区民会館に、安藤忠雄さんがやってきた!
1,000円で世界の安藤忠雄の話が聞けるなんて!ということで、行ってきました。

くだけて言わせていただくなら、ものすごーく気さくなおじさん(笑)。
実績や専門的なことなどひとっつも語らず、1時間30分も人の心をつかむ話ができるなんて、カッコよすぎ。
今安藤さんを支えているものは(少なくとも講演中のこの瞬間は)
建築家としての野心や芸術家としての追求ではなく、日本人としての愛と使命感と誇りなんだなあ、と感じました。

定めた目標に猛進するパワーで、日本人に勝る民族はいないのだそうです。
その能力を全員が活かそう、もう一度使おう、若い世代に伝えよう、という強いメッセージがありました。
全国の大学でボランティア講演をしているのも、おそらくそうした思いが根底にあるから。
ご自身も、ファイティングスピリットがありますね。タフで自由で攻撃的。いい意味で年齢不詳です。

人生なんてうまく行かないようにできている。
予定外のことにぶつかったときに、その都度方向を変えていくような柔軟性があるかないか。
柔軟に俊速に動けるかどうかは、判断力があるかどうかである。
では、判断力を養うにはどうすればいいか。
常に本物を見て審美眼を養い、そして自分自身で考える力を養うことだ。
・・・というようなことを、おっしゃっていました。
(ちなみに、序盤から「今のちょうど30歳を境に、それより下の若者はダメだ」とバッサリ。この境界線、納得…)

安藤さんほどのビッグネームでも(ビッグネームだからこそ)、プロジェクトは壁ばかり。
すんなり転換できるかが、モノを作り出せるかできるかどうかのキーなのですね。

広くものを見る目と深くものを見る目は、対極なのか、共存すべきものなのか。
最近うっすらと考えていたことについてもお話が。
安藤さんは、どちらも必要だとおっしゃっていました。(日本人には深く見る目が欠如している、とのこと。)
忍耐も好奇心のうちなのかもしれません。

先月行ったばかりなので、直島のお話がかなり興味深かったです。
「愉快になったり不愉快になったりしながら、己とはなにかを考える場所」。うーん、深い!
フシギな“自分探し”“自己啓発”がはびこっているような気もする今日この頃ですが、
こういう方のお話を聞いて、5分でも自分の頭で考えたほうが、よっぽど前進しますね。
他人のハウツーの受け売りで自分を探せるワケがない、っちゅう話です。

目的を持つ人生、最後までやり遂げることのすばらしさ。
当たり前のことができて、それをサラッと(&おもしろく)語れる、素敵な方でした。
「大きな建築物が心を動かすのではない。1本の木でも心は動く」。
私もそんな思考、発想、表現がしたいものです。

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