イキウメ【散歩する侵略者】
イキウメ2011年春公演【散歩する侵略者】を、シアタートラムで観てきました。
イキウメの観劇レビューのたびに書きますが・・・イキウメは完成度が高い。
前川さんの発想と着眼点って、奇想天外でファンタスティック!
脚本、演出は本当に秀逸、イキウメン(役者さん)も上手です。
【散歩する侵略者】は2005年、2007年に次ぐ再演で、小説も出ています。
宇宙人が3人の人間に乗り移り、
人間から<概念>を奪うことで、地球侵略の準備をはじめる・・・というストーリー。
3人のうちの1人・真治と、その妻鳴海を中心に展開されます。
すっかり冷えきった夫婦関係だったものの、
<概念>を奪うごとに人間らしくなる真治に、鳴海は愛情を取り戻します。
が、問題なのは、<概念>を奪われた人間はそれをなくし、壊れていってしまうこと。。。
前川さんによると、この作品は
「希望が見つけにくくなった時に心の目を開くパワーと、
それを感染させる魅力が備わっている」(一部抜粋)。
人は、たくさんの見えない<概念>で生かされ守られているのだなあ、としみじみ。
言葉や記憶がいくらあっても、<概念>のない人間は本質がなく、空虚なんですよね。
なかなか鋭い問題提起でもあるなあ、とゾクリ。
大切なものを奪われた私たち人間が再構築していくためには、
なにがいちばん大切なのかを見つける力が必要なのかもしれません。
最後に、鳴海は去っていく真治に「愛」という<概念>を与えるんです。
「その概念を教えることができるのは、私だけだから」と。
「愛」という概念を与えられ、人間の「愛」を知ってしまった真治は、
それまで作り上げた人格が崩れるかのように、涙を流して衝撃を受ける・・・。
愛を知ってハッピエンド~♪にならないのが、前川さんワールド。
…というのが小説の記憶だったけれど、あれれ?
もう一回小説を読んでみようっと。
人間からどんな<概念>を奪ったら、争いごとや悲しい出来事はなくなるのでしょうね。
城メグリスト