描かれた姫路城
昨日【浮世絵 戦国絵巻〜城と武将〜】について書きましたが、
先月の姫路取材の際に姫路市立美術館で見た
【描かれた姫路城】のことを思い出したので、書き留めておきます。
油彩、日本画、版画など多種多様な表現で描かれた姫路城の絵が展示された、
計77点の特別企画展です。
現実の姿を忠実に描写するのではなく、
位置を示すための象徴として描かれるのが主流だった江戸後期。
付近一帯が軍隊の管轄下に置かれていたせいか、作品が残らない明治期。
少しずつ姫路城が一般人の目に触れるものになり身近になってくる、戦後。
時代とともにその姿や存在が変わっていきます。
時代ごとにあり方は変化していきますが、
常に人々の中に姫路城ないし城が存在していたというのがうれしいところです。
興味深かったのが、油彩の姫路城。
日本の建築物は繊細すぎて、油彩のモチーフには不向きという通説がありますが、
それでも多くの画家が姫路城を題材に取り上げたということは、
概念を越えて魅了された画家が多くいた、ということ。
油絵の姫路城は、それはそれでステキ。
城好きの私から見ても違和感がないし、
「やっぱり城は和の色彩だよなー、なんか合わないや」ということもない。
どの絵も、変にシブい色を使ったり、質感やフォルムを強調したりせず、
そのまま、一瞬を切り取ったような世界だったのが逆によかったな。
姫路出身の日本画家、丸投三代吉さんの【播磨路】はインパクト大でした。
あれもキュビスムというのかなあ。絵の専門的なことはわかりませんが。
無意識レベルの幻想的な世界がダイナミックに描かれていて、
その現実味のない空想の中に、姫路城が小さいながら存在感を放っている絵なんです。
こんなふうに、世の中に城がナチュラルに存在したらいいのに。
城の計り知れない魅力を具現化してくれているようで、うれしくもあったのでした。
城メグリスト