城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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鳥取城フォーラム2012 講演会

不動産セミナーではありませんよ!

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鳥取城フォーラム2012
講演会 ~史跡鳥取城跡保存整備実施計画策定5周年記念講演会~ 
『現地検証・秀吉の鳥取城攻め』
講師:中井均先生(滋賀県立大学人間文化学部准教授)
会場:とりぎん文化会館
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へ行ってきました。

鳥取城といえば、三大城攻めのひとつともいわれる、秀吉の<渇え殺し>の城。
しかし、「この場所でこんな戦があったんだぞー」という薄っぺらい内容ではなく、
研究者である先生の豊富な知識と考察をもとに、
陣城とは何か、なぜ陣城を用いた包囲戦が多用されたのか、
かつての合戦や古文書の記述をもとに、そのあり方や構造、進化などを追いながら
鳥取城における太閤ヶ平の存在意義と中国攻めについても考察する、
とてもとても引き込まれる講演会でした。
四国・九州にはなぜ陣城がないのか。そんな謎も解けてほう、と納得。

以前、鳥取県県立公文書館 県史編さん室の方から
鳥取城の兵糧攻め以前の、いわゆる7つの支城攻略について聞いたことがあって、
実に巧妙な戦略に感動すらしたのですが。
なるほどなるほど、そのあたりの話とも私なりにつながる部分がありました。

秀吉という人は城攻めの天才なのだけれど、
自分の兵力温存に徹して極力ダメージを減らすという戦い方を編み出した人でもある。
しかし、もちろん主君・信長に認められて出世するためには、
ある程度華やかな武功を挙げなければならないわけで。
先生の話されるエピソードから、秀吉の新しい側面を見た気もしました。
城を通して見る秀吉像には、悪くいうとしたたかさ、よくいうと賢さがある。
アピール力と演出力(でもうわべだけでなく筋がキチンと通ったもの)も必要なのは、
現代にもつながる処世術の大事なファクターというところでしょうか。

歴史を知る=年表のように断片的な事実を追う、になりがちですが、
そこに人が関わる以上答えなどないし、想像することに醍醐味がある。
発想の転換や対処策など、自分に置き換えると学ぶことも多いです。
とくに城は、人が苦難の状況下で、どうにかしようと知恵と工夫を絞り出して具現化した跡地。
やっぱり、城はおもしろいなあ!

歴史のすべてには理由があって、そして必ず繋がっているのが魅力なんだな。
パズルのピースをはめていくように、ひとつひとつ解明されていくのがおもしろい。
たまに、なんとなくしかハマらないピースがあったり、
図柄がはっきりしないピースもあったり、差し替えピースが見つかったりもする。

約2時間、みっちり中井先生のお話を聞けて大満足。
講演会だけでも鳥取まで足を運んだ甲斐がありました。
そしてそう遠くないうちに【信長公記】が読めるよう勉強しようと思ったのでした。

しかし、200人の定員を優に超える大盛況で、最近の城郭に対する関心度の高さを再認識しました。
あ、今日も間違いなく最年少です(笑)

鳥取城フォーラムは講演会のみならず、翌日の現地見学会もあるという素晴らしい企画。
鳥取市教育委員会文化財課さんは、陣城の発掘と整備を精力的にされていて、
今回の企画も、先生が昨秋にすべての陣城を歩いたのがきっかけだそう。
鳥取市歴史博物館名義で出版されている冊子も、わかりやすく、読みごたえがありました。

見学会では講演会のことも含め先生とお話ができました。
このあたりのことは、見学会の日記に改めて書こうと思います。