城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

●詳しいプロフィールはこちら

城メグリストのサイト

城メグリスト

●お仕事実績はこちら

アーカイブ


ベトナムの旅2014

IMGP8422

14年ぶりのホーチミン・ミトーへ行ってきました。
缶ビールが34円のステキな国。ベトナム料理LOVEにとってもたまらない。

 

IMGP8347 IMGP8411 IMGP8432
IMGP8419 IMGP8424 IMGP8448
IMGP8412 IMGP8425 IMGP8447
IMGP8399 IMGP8400 IMGP8408

南国なのに、南国好きではない私が落ち着けるのは、
どこかフランスの風が吹いているからなのでしょうか。
別にフレンチテイストが好きなわけでもないですが、エッセンスが入り交じる世界には惹かれる。
建物も天井が高くて、抜け感がある。
ちょっとしたデザインや配色、空間のつくり方がとても好きです。

トップの写真は、ベストショット(笑)
ここのわんこはやさしい顔をしてる。

 

IMGP8405 IMGP8410 IMGP8416
IMGP8371 IMGP8380 IMGP8397
IMGP8386 IMGP8391 IMGP8393
IMGP8401 IMGP8402 IMGP8453

14年前に訪れたとき、「前世はベトナム人かもしれない」と思ったくらい、しっくりなじんだ都市。
ベトナム戦争が集結したのは、1975年4月30日で、
南北統一され現在のベトナム社会主義共和国に改名したのは1976年。
つまり私と同い年なのです。
1975年4月30日、解放戦線旗を掲げた戦車が大統領官邸に無血入場を果たした映像は
数年上の世代の方であれば、昔の出来事ではなく、テレビで見たリアルタイムな光景のようです。

わずか24歳なのに活気に満ちあふれていて、とくに女性の強さを感じた都市。
そのときの私は、ちょうど最初に就職した会社を退社した直後でした。
そんな状況だったこともあり、自分の足で立つことを教えてくれた気がしたのです。
だから、ちょっと特別な場所ですね。
 

IMGP8456 IMGP8479 IMGP8483
IMGP8481 IMGP8485 IMGP8480
IMGP8486 IMGP8492 IMGP8497

14年後の感想としては…少し商売慣れしちゃっていたりとさみしい一面もあり。…女性が強くなりすぎていた(笑)
もっと殺伐としていた記憶がありますが、ずいぶんと先進国になっていました。

ミトーへ向かう途中の、サイゴン川と平行する立派な2車線の道路も10年前にできたというし、
ミトーへは4年ほど前に高速道路ができ、かなり様子が変わってました。
さらには、なんとメコン川に橋がかかっていて驚き。
ジャングルクルーズも、あんまりジャングル感がなかったな。

 

IMGP8529 IMGP8540 IMGP8565
IMGP8542 IMGP8545 IMGP8598 IMGP8658
IMGP8553 IMGP8571 IMGP8561

1台たりとも街中でシクロを見かけなかったのはショック!
14年前は根切り交渉しまくり、あらゆるところへシクロで乗り付けたのになあ!
新旧の旧の部分がなくなりつつあり、ちょっぴりさみしかったです。
建物も、古いものはだいぶ減ってきていました。
ビルと古い家屋がごちゃ混ぜになってフシギな感じも、あと数年後にはなくなってしまうのかもしれません。

 

IMGP8572 IMGP8576 IMGP8577
IMGP8578 IMGP8582 IMGP8548
IMGP8583 IMGP8586 IMGP8588
IMGP8592 IMGP8604 IMGP8607

ベトナムは色がいい。雑貨やサンダル、バッグなどいろいろ買いました。
バッチャン焼きは見送り。
スーパーではバインセオの素やフォーやライスペーパー、調味料などの食材も激安で購入。
30度以上の猛暑のなかで生肉や生魚を売っているのが日常的のようでしたが…食中毒にはならんのでしょうか。慣れ?

 

IMGP8593 IMGP8610 IMGP8612
IMGP8628 IMGP8640 IMGP8659
IMGP8614 IMGP8615 IMGP8616
IMGP8635 IMGP8651 IMGP8654

私は歴史が好きなのだけど、決して年表を追うのが好きなわけではない。
歴史というのは過去の切り離された出来事ではなく、現在と並列に存在するものだ。
今この瞬間も、1秒後には歴史になる。
そうした刻一刻と動く状況や情勢のなかで、人の感情が動いたり変わらなかったり、
瞬間のうちにいろんなものがうごめきぐるぐるまわって、新しい明日と新しい歴史をつくっていく。
つまり、歴史を気にするということは、今と向き合うのと同じこと。
私は、その歴史というものを、絡まった糸をほどくように解読していったり、
糸の先っぽや端っこを引っぱってみたりするのが好きなのだ。
そして、これは城が好きな理由でもあるけれど、
そこに普遍のようなものを見つけるのが楽しいし、生きている意味をちょっと見出せた気がして安心する。

海の底に潜っていくように事実を探るような作業ではなくて、
自分自身と第三者として対面して、必要であれば常識や感覚をちょっとだけ軌道修正したりするような。
よく、旅は自分探しだとかいうけれど、それとも少し違う気がする。
発見したり改めて気づいたり、というよりは、とぎすます感じに近いのかも。

だから、その場所に立ったときに一瞬だけ見えるようなものを表現したいという気持ちになる。
それは歴史がどうこうとか、やれ食べ物がおいしいとか、何が便利とかどこへ行ったとか、
一方的な情報の発信ではなくてね(それも場合によってはやるけれど)。
誰かがどこかで思いついたり綴ったりするものじゃないものをつくりたい。そういう仕事がしたい。

そんなことを、14年前とすっかり変わったミトーへの車窓からの景色を眺めながら考えていました。
その風景の写真、1枚もないけどね。

 

Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE
Exif_JPEG_PICTURE IMGP8503 Exif_JPEG_PICTURE
IMGP8507 IMGP8524 Exif_JPEG_PICTURE RIMG0264
Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE Exif_JPEG_PICTURE

…こうして語るとものすごく哲学的な旅をしているようですが、
こんなことを考えたのは旅行中のほんの15分ほどです。
とにかく暇さえあればビールを飲み、笑ってしゃべってはしゃいだ旅でした。

 

Exif_JPEG_PICTURE IMGP8664 IMGP8680

ところで、今回は行きませんでしたが、戦争証跡博物館はオススメです。
ベトナム戦争の傷痕を展示してある博物館です。
見るべきだと思うけれど、いわゆる悲惨な画像や血が苦手な人はNGです。

今となってはおもちゃのように屋外展示されている戦車や戦闘機のほか、
銃口を突きつけられた女性をはじめとした、戦火の悲惨な写真やパネル、
枯れ葉剤の影響で朽ち果てた様子とその被害の記録、
枯葉剤の影響で奇形になってしまった胎児のホルマリン漬けまで。
たしか、落とし穴で毒針が体に刺さるしくみの見本なんかもあった気がします。
目を覆いたくなるような、かなり狂乱に満ちたショッキングな内容でした。
亡くなった兵士の数よりもはるかに多い犠牲者がでているという事実は、知っておくべきだと思います。

戦場カメラマン沢田教一さんがピューリッツァ賞を受賞した
「安全への逃避」は、たしか教科書にも載っているもの。
教科書に載っているとつい忘れがちですが、本当に最近の出来事なんですよね。
博物館には、一ノ瀬泰造さんの弾丸が貫通したニコンFの写真もあります。

かなり重い気持ちになりますが、たしか出口の売店に
ベトナムの子供たちが書いた戦争と平和の絵がハガキになったものが置いてあって、
それに本当の平和を感じたのを覚えています。

ちょっとベトナム戦争のことを知りたくなったので、調べてみようかな。
映画は「シクロ」や「夏至」なんかも、今さらだけどもう1回観よう。