ベトナムの旅2014
14年ぶりのホーチミン・ミトーへ行ってきました。
缶ビールが34円のステキな国。ベトナム料理LOVEにとってもたまらない。
南国なのに、南国好きではない私が落ち着けるのは、
どこかフランスの風が吹いているからなのでしょうか。
別にフレンチテイストが好きなわけでもないですが、エッセンスが入り交じる世界には惹かれる。
建物も天井が高くて、抜け感がある。
ちょっとしたデザインや配色、空間のつくり方がとても好きです。
トップの写真は、ベストショット(笑)
ここのわんこはやさしい顔をしてる。
14年前に訪れたとき、「前世はベトナム人かもしれない」と思ったくらい、しっくりなじんだ都市。
ベトナム戦争が集結したのは、1975年4月30日で、
南北統一され現在のベトナム社会主義共和国に改名したのは1976年。
つまり私と同い年なのです。
1975年4月30日、解放戦線旗を掲げた戦車が大統領官邸に無血入場を果たした映像は
数年上の世代の方であれば、昔の出来事ではなく、テレビで見たリアルタイムな光景のようです。
わずか24歳なのに活気に満ちあふれていて、とくに女性の強さを感じた都市。
そのときの私は、ちょうど最初に就職した会社を退社した直後でした。
そんな状況だったこともあり、自分の足で立つことを教えてくれた気がしたのです。
だから、ちょっと特別な場所ですね。
14年後の感想としては…少し商売慣れしちゃっていたりとさみしい一面もあり。…女性が強くなりすぎていた(笑)
もっと殺伐としていた記憶がありますが、ずいぶんと先進国になっていました。
ミトーへ向かう途中の、サイゴン川と平行する立派な2車線の道路も10年前にできたというし、
ミトーへは4年ほど前に高速道路ができ、かなり様子が変わってました。
さらには、なんとメコン川に橋がかかっていて驚き。
ジャングルクルーズも、あんまりジャングル感がなかったな。
1台たりとも街中でシクロを見かけなかったのはショック!
14年前は根切り交渉しまくり、あらゆるところへシクロで乗り付けたのになあ!
新旧の旧の部分がなくなりつつあり、ちょっぴりさみしかったです。
建物も、古いものはだいぶ減ってきていました。
ビルと古い家屋がごちゃ混ぜになってフシギな感じも、あと数年後にはなくなってしまうのかもしれません。
ベトナムは色がいい。雑貨やサンダル、バッグなどいろいろ買いました。
バッチャン焼きは見送り。
スーパーではバインセオの素やフォーやライスペーパー、調味料などの食材も激安で購入。
30度以上の猛暑のなかで生肉や生魚を売っているのが日常的のようでしたが…食中毒にはならんのでしょうか。慣れ?
私は歴史が好きなのだけど、決して年表を追うのが好きなわけではない。
歴史というのは過去の切り離された出来事ではなく、現在と並列に存在するものだ。
今この瞬間も、1秒後には歴史になる。
そうした刻一刻と動く状況や情勢のなかで、人の感情が動いたり変わらなかったり、
瞬間のうちにいろんなものがうごめきぐるぐるまわって、新しい明日と新しい歴史をつくっていく。
つまり、歴史を気にするということは、今と向き合うのと同じこと。
私は、その歴史というものを、絡まった糸をほどくように解読していったり、
糸の先っぽや端っこを引っぱってみたりするのが好きなのだ。
そして、これは城が好きな理由でもあるけれど、
そこに普遍のようなものを見つけるのが楽しいし、生きている意味をちょっと見出せた気がして安心する。
海の底に潜っていくように事実を探るような作業ではなくて、
自分自身と第三者として対面して、必要であれば常識や感覚をちょっとだけ軌道修正したりするような。
よく、旅は自分探しだとかいうけれど、それとも少し違う気がする。
発見したり改めて気づいたり、というよりは、とぎすます感じに近いのかも。
だから、その場所に立ったときに一瞬だけ見えるようなものを表現したいという気持ちになる。
それは歴史がどうこうとか、やれ食べ物がおいしいとか、何が便利とかどこへ行ったとか、
一方的な情報の発信ではなくてね(それも場合によってはやるけれど)。
誰かがどこかで思いついたり綴ったりするものじゃないものをつくりたい。そういう仕事がしたい。
そんなことを、14年前とすっかり変わったミトーへの車窓からの景色を眺めながら考えていました。
その風景の写真、1枚もないけどね。
…こうして語るとものすごく哲学的な旅をしているようですが、
こんなことを考えたのは旅行中のほんの15分ほどです。
とにかく暇さえあればビールを飲み、笑ってしゃべってはしゃいだ旅でした。
ところで、今回は行きませんでしたが、戦争証跡博物館はオススメです。
ベトナム戦争の傷痕を展示してある博物館です。
見るべきだと思うけれど、いわゆる悲惨な画像や血が苦手な人はNGです。
今となってはおもちゃのように屋外展示されている戦車や戦闘機のほか、
銃口を突きつけられた女性をはじめとした、戦火の悲惨な写真やパネル、
枯れ葉剤の影響で朽ち果てた様子とその被害の記録、
枯葉剤の影響で奇形になってしまった胎児のホルマリン漬けまで。
たしか、落とし穴で毒針が体に刺さるしくみの見本なんかもあった気がします。
目を覆いたくなるような、かなり狂乱に満ちたショッキングな内容でした。
亡くなった兵士の数よりもはるかに多い犠牲者がでているという事実は、知っておくべきだと思います。
戦場カメラマン沢田教一さんがピューリッツァ賞を受賞した
「安全への逃避」は、たしか教科書にも載っているもの。
教科書に載っているとつい忘れがちですが、本当に最近の出来事なんですよね。
博物館には、一ノ瀬泰造さんの弾丸が貫通したニコンFの写真もあります。
かなり重い気持ちになりますが、たしか出口の売店に
ベトナムの子供たちが書いた戦争と平和の絵がハガキになったものが置いてあって、
それに本当の平和を感じたのを覚えています。
ちょっとベトナム戦争のことを知りたくなったので、調べてみようかな。
映画は「シクロ」や「夏至」なんかも、今さらだけどもう1回観よう。