城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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弘前2015冬②〜城下町歩き〜

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弘前市さんにお招きいただいた2日間をさっと振り返り。
弘前城雪燈籠まつりへ向かう前、1日目の日中は弘前城下の街歩き。

藩政時代の弘前城と城下町だけでなく、
日頃の私が後まわしな近代の歴史や文化などの世界に触れ、
かつ現在の観光業についてや文化発信・継承や取り組みについて伺い、
異業種の方との意見交換もできた有意義な1日でした。

江戸時代だけでなく、近代まで歴史がずっとつながっていて、
しかも目に見えるものが多く残っている。
とにかく文化を感じる町、
知れば知るほどクリエイティブでハイカラな町でした。

 

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雪の新青森駅。この光景、テンション上がります。
「さすが雪国、吹雪でも爆走する奥羽本線のたくましさよ!東海道線くらいスピード出てるぜ!」
…と感動したら、奥羽本線はけっこう弱くてすぐ止まるほうなのだそうです(笑)恐るべし。

そうそう、新幹線に乗っていておもしろかったのが、ずっと雪が降っているわけではないこと。
盛岡あたりは大雪でしたが、そこを越えて新青森方面に西進する道のりは
晴れていたり雪が降ったりと、地形によって車窓からの風景がくるくる変わっておもしろかったです。

 

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いちいち思うところが多くて全部記しておきたいのだけど、備忘録的に写真のみ。
じょっぱりそば→弘前中央食品市場→一戸時計店時計台→弘前昇天教会→弘南鉄道大鰐線中央弘前駅
→かくみ小路→百万石展示館→日本キリスト教団弘前教会。

明治以降の歴史も独自で豊か。
そしてそれが目に見える形で残り、人々の生活の中に心地よく共存している、そんな魅力的な和洋折衷の町です。

 

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関東でたまに大雪が降ると道路の雪をかき集めた小山ができるのですが、弘前にはそれがない。
こんなふうに、道路のいたるところにある用水路みたいな穴に雪を落としているからだそうです。
水路の水はちょっとした小川の如く流れていて、凍る気配なし。
雪国のしくみを初めて知りました。

 

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城好きの反応ポイント。
鉤の手になっていました(左)。
土手町のすぐ裏、土淵川沿いの場所です。
ざっと現在地図を見た限りだと顕著なのはここくらいのようです。
このあたりは鍋屋町、鍛冶町、新鍛冶町、鉄砲町などいわゆる職人町。
その入口として木戸のようなものがあったのかもしれません。

鉄砲町には鉄工所がありました(右)。小さなおもかげ。

一戸時計店時計台が面している、下土手町、土手町、上土手町と続く大通りが、
江戸時代に参勤交代で使われた道だそう。
弘前城追手門に続いています。
ただ、城から遠ざかるにつれ下土手町、中土手町、上土手町となっていくので
町名は明治以降につけられたものかもしれません。。調べてないので適当発言ですけれども。

 

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江戸時代の町名とその解説をいたるところに記してくれています。
これを頼りに町歩きをするのも楽しいと思います。
鞘師町、というのがありました。珍しい。

感激したのは、弘前は飲食店が多い、ということ(笑)!
「弘前の人が家で夜ごはんを食べないんですか?」と聞いてしまったほど、いい感じの飲み屋さんがいっぱい。
聞けば「このお店はこれがおいしい」「ここはなにが名物」など、どれも魅力的です。住みつけそう。

 

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青森銀行記念館。
設計した堀江佐吉さんは、太宰治の斜陽館の設計をした方でもあるんですね。
建造物のお話はちょっとおもしろかったです。

 

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欅でつくられたテーブルや丸柱がすてきです。
日本の銭貨の歴史解説と通貨・小判レプリカの展示、食いついてしまいました。

 

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事前知識なく「2階の天井、ステキ〜」と思っていたら、最大の見どころなのだそうで。

説明板によれば、金唐革紙というもので、和紙に錫箔と漆を用いたもの。
工程数は17という手のかかりようで、もちろん手作業。
明治殖産興業の花形として海外に輸出されたものの、機械化の波により姿を消したのだそうです。
いまだそのおもかげを残すのは、ここと旧日本郵船小樽支店だけ。
小会議室・大会議室と1階の頭取室の天井にあるそうですよ。

 

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雪にまみれる弘前城追手門と外堀を通り過ぎて…

 

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藤田記念庭園にやってきました。
日本商工会議所初代会頭が大正10年に建てた別邸。
洋館だけれど、窓の外は池泉回遊式庭園になっていて、なんともセンスよし。
窓の広さとか、すごくいい。
もちろんこの日は見えませんでしたが、岩木山を借景ともしているそうです。すばらしい。

屋根がかわいい。雪がずり落ちないように屋根上に桟のようなものが入っているそうですが、
それをも押しのけそうな勢いで雪が積もってました。
看板もかわいい。
これを撮影するために、看板にかかった雪をどけていただきました。
弘前市の高田さん、ありがとうございました。

和舘も気になりましたが、雪に埋もれていました。。

 

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喫茶室になっているこちらの洋館で、アップルパイと藩士珈琲を。

弘前は洋菓子屋さんがものすごく多く、とりわけりんごを使用したアップルパイはもはや文化。
洋菓子屋さんだけでなく和菓子屋さん、
フレンチレストランなどあらゆるお店がオリジナルのアップルパイをつくっていて、
アップルパイガイドなるものには47種類も載っています。
弘前へ来たら、食べ比べはマスト。1日ではすべて食べ比べできませんけれども。。

 

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こちらがアップルパイガイドマップ。

 

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そうそう、著書にも思わず書いたことがあるんですが、
弘前って観光コンテンツの整理がとても上手で、パンフなどの紙媒体が充実している上に、どれもセンスがよいんです。
つまり、構成と見せ方のレベルが高い。
このあたりのことを知りたいな、と思ったのが今回参加させていただいた理由のひとつでもありました。
(結果的に、とても勉強になりました)

 

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なにげに楽しい津軽藩ねぷた村。
弘前ねぷたを知れるだけでなく、津軽焼の実演なんかも。
職人さんの作業、もっと見たかったな。飽きません。

ねぷたの絵付けもやってました。
顔の白い部分はロウを塗ることで、
ほかの色と混じるのを防げ、かつ闇夜に鮮やかに発色させられるんですって。
いろんなコマも楽しかったあ。

 

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弘前城雪燈籠まつりを見て、その後はあいやさんで親睦会。
津軽三味線の生演奏を聴きながら、郷土料理をいただくという贅沢な時間でした。

津軽三味線、ソウルフルで好きなんです。
伝統芸能や民謡というとしんみりシブいイメージがあるけれど、
津軽三味線はちょっとロックなイメージ。
バチを叩きつけるような弾き方が、ギターをかき鳴らす姿とちょっとリンクします。
すべてアドリブ、演奏者によって音が違うそう。
だからなのか、素人にもライブ感のようなものが伝わってきます。

 

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海の幸好きな私にはたまらない、いろいろおいしいものづくしでした。
写真は、城っぽい絵が描かれた小皿と、郷土料理のイガメンチ。

短い時間でしたが、わざわざ来て下さった方々とご挨拶やお話もでき、楽しくあたたかい時間でした。

「あなた、食べなよ」を「な、け」、「わたし、食べる」は「わ、く」。
という津軽弁を教わりました。
長くしゃべると雪が口の中に入っちゃうからだそうです。短くて便利だけど、アゴが弱くなりそう。

 

この後連れていっていただいたバーがとてもよかったな。また行きたい!
楽しい夜でした。

(続く)