「探訪ブック 盛岡城」出版記念講演会
巻頭エッセイと監修を担当した「探訪ブック 盛岡城」が11月15日に発売されます!
その出版記念ということで、午前は城歩きイベント、午後は講演会でした。
ひとつの城でこれだけ語れるのだなあ、としみじみ感動すると同時に、
浅く広く知ったほうがライトユーザーも楽しめるのかも、とも思いました。
間口が広がるという意味で。
城歩きイベントも講演も、目的は「探訪ブック 盛岡城」を読んでいただくこと。
私の中でのもう一歩踏み込んだ目的は
地域の方に盛岡城のすばらしさを理解していただくこと、だったので、
「盛岡城と全国の城がどう違うのか、それはなぜか」という裏テーマを自分の中で掲げて
徹底比較を重点的に試みました。
盛岡城の歴史や概要の説明は、本書に誘導して省略。
なぜ、東日本には石垣が少ないのに盛岡城には立派な石垣が広範囲にあるのか、
盛岡城の石垣は全国の城の石垣とどう違うのか、
そもそもどうして石垣を積んだのか、積まなければいけなかったのか、
なぜ、盛岡城の石垣は崩れないのか、
誰が積んだのか、技術はどこからやってきたのか、
なぜこの地に城がつくられて、盛岡が今これだけ栄えているのか。
盛岡の歴史は盛岡城の歴史。
実際に城へ行って石垣を自分の目で見たくなるエッセンスを詰め込みました。
当たり前に地域にあるものだから、比較できないと個性がまったくわからない。
それに、目に見える小さな疑問に必ず答えがあるところが城のおもしろさでもあります。
もう少し盛岡城の話をするつもりだったのでその点は少し反省ですが、
自分なりにはいろいろ思うところ、勉強になるところがありました。
講演に対してのお客様の評価はかなり高かったとのことなので
もちろん、お仕事はきちんとできたかと思います。
ただ、遠方からわざわざお越しいただいたのに
城歩きイベントを知らなかった方も多くいたようですし、
市内の方が少なかったこと、私の中で講演を聴いて欲しかった分野の方々がいなかったことは残念。
これは先方の意向なので口を出すところではありませんが。。
知って・読んでいただく努力、本質をきちんと届けるためのケアが大切というのは
自分の著書を通して学んだことなので、
著者に関しては手を抜かず気を抜かずやっていかねばと思いました。
私が執筆したのは巻頭エッセイだけで、
本編はすべて、城郭史学会の神山仁さんが書かれています。
地元愛とさすがの知見が盛り込まれていて、
初めて知ることも多く、とても勉強になりました。
盛岡城って本当に特別で独特。
東北における突然変異のような城なのだけれど、
そこにはさまざまな運命や奇跡が取り巻いていて、
携わった人の文化・技・知恵・思想など、生き様みたいなものが反映されている。
改めて、城は2つとして同じものはない個性的なものだと実感したし、
そのすべてに理由があるのがやっぱりおもしろいのだな。
そして、なぜか知名度の低い浅野長政はやっぱりもっと知られてもいいと思う。
蒲生氏郷はドラマになってもいいくらいスゴい人だと思う。
東北における2人(+伊達政宗とか入れてみても)の関わった城を書いたら楽しそう。
さわや書店さんがさちこフェアをしてくれました。
POPを書いてもらえるのって、ものすごくうれしい!
今回は、仙台から親戚一同が来てくれてうれしかった!
講演後はみんなでワイワイ、岩手の銘酒と岩手グルメ。楽しかったなあー!
家電メーカーの商品開発をしている従姉妹の旦那さんとは、機能美について盛り上がる。
そうそう、盛岡城は独自性が高くユーモラスな城だけど、
織豊系城郭は突き詰めていくと究極の機能美みたいなところに到達するのよねえ!
医療関係の従姉妹の旦那さんは、城を落とすなら井戸に毒を入れれば一発だ、ともっともな発言。
実際に武田信玄はやっていたみたいだけど、殺傷能力が低いんでしょうな。
人それぞれの見方ができるのが城のおもしろいところだなあ、と改めて。
とくに理系の人は、私にない思考・発想で城を見るのでおもしろいです。