香川元太郎さんのこと
急逝から1週間。
訪台中はあまり考えないようにしつつ、
一方であたためるように時折少しずつ思い出しながら整頓をして。
帰国して日常に戻って、ああ本当なんだなあ、と気持ちの輪郭がくっきりし始めています。
写真は3年前、私の個展のとき。
朝いちばんの来城者は香川さんでした。
この大きなお花を抱き抱えて。
配送ではなく、わざわざご自分で。
そして「実は◯◯城の〆切が迫ってて。あんまり長居できないんだよー。ごめんね」と、
あの笑顔でニコニコしながらいそいそと去っていかれた。
そういう方でしたよね。
手土産をお渡しすると、メールには必ず味の感想が添えてあった。
体調を崩したときには、
これ以上の配慮はあるのかというタイミングと言葉で労いそっと励ましてくださった。
仕事の相談に親身になってアドバイスしてくださったこともありました。
これだけ緻密で精巧な絵なのに無機質でないのは、
技術だけではない、絵に対する愛情だけでもない、あたたかいがお人柄あってこそと思う。
いつも目の奥がやさしくて、少年のような輝きもあって。
仕事に対しては真摯で現実的だけど、
人に対してはほのぼのとしていて、どこまでもあたたかい方でしたね。
私たちの頭と心にほとばしる、言語化とは遠いところにあるものを、
具象化してくれる魔法使いでもあったけれど。
お仕事の功績はいわずもがな、私は人として大好きで尊敬していました。
香川元太郎さん、さみしいです。早過ぎます。
どうか安らかに。
最後にお会いした日。
この日は忘れられない言葉ばかりでした。
たくさんいただいた宝物を大切にしていきたいと思います。