城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

●詳しいプロフィールはこちら

城メグリストのサイト

城メグリスト

●お仕事実績はこちら

アーカイブ


新刊【#パリで見つけた小田原城】こぼれ話7/ヴォーバンの城塞①②③

新刊【#パリで見つけた小田原城】こぼれ話7です

🇫🇷2章(フランス編)- 10 #ヴォーバンの城塞 ① #ブザンソン要塞 🇫🇷
🇫🇷2章(フランス編)- 11 ヴォーバンの城塞② #ヌフ・ブリザック 🇫🇷
🇫🇷2章(フランス編)- 12ヴォーバンの城塞③ #リール城塞🇫🇷

フランスの城と日本の城に共通項を見出せる一方で、違うものを実感できました。
絶対的に違うのは〈国境〉と〈兵器〉。これを体感して考えることが、旅の目的でもありました。
海という広大な堀に守られた島国の日本と、
言葉も文化も常識も異なる民族が陸続きなフランスとでは、国境の緊迫感が違う。
というより、国境のあり方からまず違う。
民族抗争も王位継承の揉めごともない日本は平和なんだな、と思うのと同時に、
小さな島国でジャポニズムが展開するほどの独自の文化を生み出したり、
開国後にたくましく模索してきた先人たちが誇らしく、思いをめぐらすほど日本が愛おしい。
日本に城塞都市がない理由も考えることができました。

ヴォーバンは五稜郭のような稜堡式城郭を完成させた人ですが、
日本で五稜郭が誕生したとき、世界では稜堡式城郭はすでに終わり新たなフェーズに入っていました。
早くから大砲が発達したヨーロッパの城と鉄砲戦を想定した日本の城のとは〈間合い〉が違い、
城塞や要塞を理解するのにとても時間がかかりました。
しかも、日本の城郭史は約200年ストップ。

私のこの感覚こそ、幕末の江戸幕府と同じだったのかもしれません。