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萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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想い出は情報か、記憶か。

お城とはま〜ったく関係ない、観劇のお話。
最近観た中でヒットだった、劇団イキウメ【プランクトンの踊り場】。
作・演出の前川知大さんに魅せられて、5作目。
前川さんの世界は、シュールさの中にきちんと人間が描かれていて好きです。

 

舞台は、思い込みが現実の物事を生み出してしまう、不思議な空間。
その場所で邪念なく思い込むと、ドッペルゲンガーのように人すら現れる。
思い込みとは“情報”なのか、“記憶”なのか、というテーマで進んでいきます。

 

たとえば、「この人はこういう人だ」という思い込みは
自分の情報がつくったものなのか、記憶がつくったものなのか?


情報も記憶も同じ“事実”ではあるけれど、
記憶がどんどん増えると、つじつまが合わなくなってくる。
そこが、情報と記憶の違い。
データ(情報)の入ったCD-Rは捨てることができるけれど、
記憶が重ねた“生”あるものは、ポイっと捨てることはできないのです。

 

だけれど、記憶は捨てることはできなくても、忘れることができる。
「忘れることは人間の重要な能力」なのだそうだ。そうかも。
忘れたくないことがたくさんあるのに、忘れていくのはさみしいけれど、
忘れるから先に進めるのだし、忘れるために人はアクションするのかもしれません。
記憶は、ターンオーバーのように当たり前にサイクルしているもので、
記憶というタンクの容量、データベースに入れられる内容は決まっていて、
忘れていいこと、忘れたほうがいいことを
ちゃんとセレクトしてくれているのかも、とも思いました。

 

では、想い出も記憶なのでしょうか?
情報とも記憶とも違う、もっと温度があるものだと思うのだけれど。
記憶は脳で覚えるもので、思い出は心で覚えるものなのかもしれません。

 

 

イキウメはとても好きな劇団。
パラレルワールドの話なのにスッと入っていけるのは、前川さんの演出力なのでしょうか。
笑いの要素もちゃんとあって、テンポもいいから肩がこらないし
イキウメン(俳優さんたち)も実力派揃いでハイクオリティ。
なんというか、小劇団ならではの贅沢シンプルの結集です。
ストーリーがしっかりしているので、演劇ビギナーの方もきっと飽きずに観れますよ。
おすすめです。

 

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