城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

●詳しいプロフィールはこちら

城メグリストのサイト

城メグリスト

●お仕事実績はこちら

アーカイブ


武田双雲×百段階段


目黒雅叙園に見に行ってきました。

たまに行くならこんなツアー、【文化財ガイド・お食事付 夜の特別鑑賞ツアー】。
閉館後、専任ガイドさんの解説付きで鑑賞、
その後展覧会にちなんだ限定会席料理をいただく、ちょっとリッチなツアーです。

 

百段階段専任ガイドの塚田さんがとても詳しく、ユーモラスに素敵なガイドをしてくださるので
もうそのご説明を聞くだけでいっぱいいっぱい。
双雲さんの書の世界に、ゆっくりと身を委ねるいとまなし。
“人生を振り返り未来を夢見ること”がテーマなのに、私の人生は完全に置き去りでした。

そんな状態なので、双雲さん×百段階段のコラボの魅力を味わうレベルなどにはいたらず・・・。
わたしがふがいないばっかりに(?)、この展覧会を100%堪能することができなかったけれど、
うん、素晴らしかった。

百段階段って何?という方にざっくり概要をば。
目黒雅叙園に唯一現存する木造建築(昭和10年築)。
「昭和の竜宮城」と謳われ、東京都の指定有形文化財に指定されています。
まるで江戸時代へつながっているかのような長い階段が、趣向の異なる7つのお部屋をつないでいて、
7つの部屋は、当時の一流の芸術家が手がけ、その芸術家の名前がつけられています。
江戸文化がそのまま息づく、玉手箱のようなお部屋たち。
千と千尋の神隠しのモチーフになったお部屋もあるのですよ。

百段階段は文化財のため撮影NG。
興味のある方は、こちらの映像でご覧あれ。

 

私は《十畝の間》が好きでした。
足を踏み入れた瞬間、「二条城っぽい」と思いました(笑)

どのお部屋も、組子障子がすばらしくて、釘付け!
すべてのお部屋の組子の模様が違うことに、ひとりでこっそりコーフンしてました。
《草丘の間》の双雲さんの書、とてもすばらしかった。どーんと胸を打つ言葉が綴られていました。
柱ひとつにしても、すべてにストーリーがあって、もう覚えきれません(笑)

 

でも、何がいちばん素晴らしかったというと、<螺鈿(らでん)>です!!
螺鈿細工とは、黒漆に蝶貝をはめ込んだ伝統工法。江戸時代が主流なのかと思っていたら、
奈良時代に唐から伝承されたのち、平安、鎌倉と変化を遂げて、最盛期は安土桃山時代だったようですね。

この螺鈿、目黒雅叙園1Fの再現トイレで見ることができます。
このお手洗い、ちょっとした観光スポットになっているようですね。
ここは百段階段に入場せずともどなたでも入れるので、ぜひどうぞ。
 
 

百段階段のエレベーターも、螺鈿でした。
唐獅子牡丹。歌舞伎にゆかりのあるモチーフですね。
このエレベーターは韓国の方の特殊な技法だそうです。
お手洗いより迫力があありますが、おそらく美しさと本物さ?はお手洗いの方が上です。
 
 
 



庭園の滝も、話題のパワースポットらしいですね。水流の裏側にもまわれましたよ。
ライトアップもキレイでした。
 
 


武田双雲さんの個展にちなんで、公募作品展も開催していました。
あたたかい書と、あたたかい気持ち。
筆をとるときって、誰しもとても清くきれいな気持ちになれるのでしょうね。
私も書道をしたくなっちゃいました。

 


双雲さんって、想像力に溢れていて、かつユーモアもある方ですよね。
字が美しいとか、名言だとか、そういう表面的なことではなくて、
思想や観点、人間らしさ、お人柄が感じられるところに惹かれます。
雑誌の連載などを見ていても、「書道家の大先生のツボがココ!?」という
想像を裏切る視点もお持ちで、とても好きです。

 

そうそう、百段階段は実は99段です。
みなさん下りに数えていたのだけれど、
「ホントに99段だ〜!」と声が上がる中、私はなぜか98段だった。
ちょっと怖い。そしてなんだか悔しい。

 

城メグリスト