城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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出世城開運 石垣クランチ

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近年お城界でもARが取り入れられてきていて、
おそらくこの春以降はそれがスタンダードになり、各市町村もより力を入れそうなムードです。

そんな中、ついにおみやげにもこの完成度…!と衝撃だったのが、
菓匠ふる里総本家さんの「出世城開運 石垣クランチ」。

 

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天守台をかたどった台形の箱に入った、
パッと見は城ファンならついつい買ってしまう程度のいたってフツーの箱入りクッキー。
、、、が!
アプリをダウンロードしてパッケージをスキャンすると…なんと3D天守が現れる!

もっとちゃんと写真を撮れよ、自宅感バリバリじゃないか、ネイルカラーは塗ったらしまいなさいよ、
などのツッコミはさておき、こりゃすごい。
立体画像がかなりリアル。やけにこだわっている!

 

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こちらはスクリーンショット。
iphoneを持つ角度を変えれば映し出される3Dもちゃんと変わります。

 

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パッケージのサイドには、説明がていねいに書かれていて親切。

 

中日新聞の記事を調べたところ、
今年2015年の家康公没後四百年祭に向けて、
浜松商工会議所が進めた新商品開発支援事業「闘将・家康プロジェクト」の一環で昨夏に発表。
なるほど、完成度の高さに納得です。

 

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中身はこちら。2袋入っています。それなりの量が入って¥645。ナイス価格。
石材をモチーフ、そして石垣を思わせるザクザクとした固めの食感。
ショートブレッドに近い感じかな。ナイスこだわり。

昨年秋からソラマチ、ふる里総本家の直営店で先行販売スタートを皮切りに、
10月以降は駅売店や高速道路のSAなどお土産屋さんで順次販売されているようです。
ちなみに私が購入したのは昨年末、静岡駅です(浜松には行ってない)。

菓匠ふる里総本家さんは昭和22年創業とありますから老舗ですね。おいしさ納得。

 

AR導入もさることながら、城グッズや城みやげの動向も目が離せません。
ここ数年、城が注目されるにつれ当然ながら商品開発やPRも活発。
ありがたいことに観光的観点など多方面から
お仕事のお声がけをいただくことが増えてきたので、そろそろ趣味の域ではなくマーケしないと。。
専門分野とはいえ、いろんな世界を知って染まれないとなりませんな。
いや、専門分野だからこそ、軸にしがみついて集中できるのだから可能性もチャンスも無限に広がるというものだ。
それにしても、この商品開発プロジェクトの実情を知りたい。。。予算どれくらいなんだろ。

 

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そんな中、静岡にはほっこりした城グッズも健在。
掛川城オリジナル「掛川城汽車土瓶 水筒型」。
一輪挿しにも使えるそうです(笑)
徳利&水差しとして使ってみようと思います。

 

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高天神城でお茶も買いました。

全国うまいもの交流サロン NAMIHEI

興味深いお店に連れていっていただきました。
全国うまいもの交流サロン NAMIHEI(なみへい)さん。
<「東京から故郷おこし」をコンセプトに地域活性化を目的に作ったご当地飲食店>
だそうで、月ごとに市町村とコラボして、各地域の食材を使ったスペシャルメニューを提供しているとのこと。

東京にこんなお店があったとはー。東京も捨てたもんじゃないぜ。

 

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こんなシブい場所にあるので、
…が、店内は要予約な盛り上がり。
知らない世界とビジネスモデルケースを見た気がして興味深かったです。

 

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2月の特産地域は、山形県米沢市。

 

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前菜酒の肴5点盛/米沢市のふすべ漬・手作りあん肝・アピオスほか
野菜料理/米沢市の三五八ソーセージと焼き野菜のバケット添え
肉/米沢牛 ホルモン煮込み
魚/米沢市の伝統野菜・遠山かぶと魚のステーキ
鍋/生わかめしゃぶしゃぶ 米沢市の小野川温泉もやし入り
〆/米沢のつや姫と三五八漬

お酒は、米沢の「香梅」「真・泉氷鑑」「東光純米まろやか」の3種を飲み放題。

角煮の上には遠山かぶのおろし。
アピオスって聞いたことあるようなないような…青森の特産品だそうで、
かつてりんごの苗木をアメリカから輸入したときに(ということは明治時代か?)
土に混じって日本にやってきたそうです。
豆っぽい。日本酒飲みたくなります。

生わかめはこの時期だけ!ゼータク!おいしい!
どす黒いわかめが、お湯につけると0.5秒で鮮やかな緑色になりました。

 

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壁にはこれまでのコラボが県ごとに貼ってあるんですが…
なんとー!滋賀県と香川県は実績がないじゃないか!!

 

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物販コーナーも。
3月のコラボは香川県丸亀市だそうで、丸亀城がパッケージに描かれた商品もすでに入荷していました。
丸亀ということは…ご縁がないのは滋賀県のみ!
なんということだー。おいしいもの、たくさんあるのにー。私がご縁をつなぎたい!

 

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お漬け物は苦手なんですが、三五八がおいしかったので、購入してしまいました。
塩、麹、米が3:5:8の割合で使われているのだそうです。
…350円。安!
お漬け物はさほどつくらないと思いますが(笑)、
塩麹と同じように、野菜のほか肉や魚介にももちろん使えるそうなので、試してみようと思います。
塩麹より甘みは強いですが、お漬け物も1晩漬ければOKとのことで、スピーディーにいろいろできそう。

読売新聞さんに

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昨秋に引き続き、読売新聞さんに載せていただくことになりました。
3月の土曜、全国版です。

読売新聞本社前に、我が青学の名が刻まれました…!
(まだしつこく感動してます)

坂東三津五郎さん

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歌舞伎俳優の坂東三津五郎さんがお亡くなりになりました。

今秋ご一緒する予定があり、楽しみにしておりました。
秋にはお仕事に復帰されるおつもりだったのだと思うと心苦しいばかりです。
歌舞伎役者さんとしても、本当に素晴らしいお方でした。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。

写真は2年前の日本城郭検定タイアップイベントでの1枚。
ともに城郭検定の応援団ということで、
失礼にも急遽呼び止めて広報用の写真を撮っていただいたのですが、
紳士のようにしなやかに、少年のようににこやかなご対応が印象的でした。

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近所の名所へ。

 

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今年は早いですね。春に追い抜かれそう。

重版決定!!「山城へGO!」

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増刷決定!!
6冊目の著書(共著)となる
『今日から歩ける!超入門 山城へGO!』 萩原さちこ・西股総生著(学研パブリッシング)が
増刷されることになりました。

予想を超える重版決定の早さ。うれしいうれしい。
読んで下さった方全員に感謝です。
私に遭遇した方、直接お礼を言いたいのでお声がけください。

久々の白石へ

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白石でお仕事でした。
お仕事というか、楽しんで終わった1日でしたが。
ひとりあれこれ考える時間も多かったな。。こういう日も大事です。

 

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文化財課の方に、白石城の舘時代の遺構を教えていただきました。
櫓台のような高まりと、帯曲輪がしっかり残っていた!
写真ではわかりにくいですが、三段の段曲輪になっていましたよ。図面はこれから、だそう。全容が気になります。。

おみやげに白石うーめんやお米やらたくさんいただきました。
しばらくうーめんライフです。うーめん大好きなのでうれしい。
そして、白石城発掘調査報告書と絵図をいただき大コーフン。

 

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帰りの新幹線で食べた、気仙沼のさんま寿司。
東北満喫。ごちそうさまでした。

岩手&宮城

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弘前から移動して、この日は岩手&宮城を取材。

 

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全国いろいろ行ってると、撮り鉄になりますね。

 

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やっぱり三陸の牡蠣は旨いな。
石巻の牡蠣、ぷりぷりミルキー。
松島の牡蠣はまだ…という感じでした。
こちら生牡蠣、トップ写真は蒸し牡蠣。お酒は阿部勘「四季の松島」。

取材後は仙台に移動。
親戚宅でかわいい従兄弟の子に癒され、夜は仙台の友と夜の町へ。

 

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飲んで食べてしゃべって、仙台ナイトを満喫。

このところ、日本酒界が気になる。
杜氏さんの世代交代なのか、30〜40代の方がよく出ていることもあるんですが、
日本酒界はわりと感覚がニュートラルな方が多いようで、伝統と新風の融合が上手な気がします。

東北の場合は、震災を機に酒造を再興、というケースが多いようで新しい風が吹いています。
ラベルもスタイリッシュなものがあって、聞けば若者達で立ち上げたブランドや新種だったり。
復興の形もここにありました。

 

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前日に泊まった一関の蔵ホテル、蔵を改装した宿泊者限定のバーがありなかなか楽しめました。
藩校として使用されていた建物だそうです。
一関の銘酒、関山とおっほーをいただきました。
おっほー=ふくろう、だそうです。

弘前2015冬④〜りんご工場・りんごランチ・藍染めなど〜

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シードル工房の後は、りんご選果場を見学。

りんご部りんご課りんご係長、にお会いしました(笑)!
朝来市竹田城課よりすごい。
当たり前だけど、りんご課長、りんご部長もいるそうです。
「りんごに頼って生きてます」って言ってた(爆)

 

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ただのりんご工場と侮っていたら度肝を抜かれました。
人の手と機械とを駆使してりんごの品質を何重にもチェックしているわけですが、
品質管理のシステムがスゴい。

 

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驚いたのが、このセンサー。
りんごはひとつひとつ受け皿のようなものに乗せられて工場内のレーンを進んでいくわけですが、
よく見るとこの受け皿にはバーコードがついていて、いわばりんごの成績表になっています。
センサーで瞬時に色や形や糖度などを判別し、
50段階くらいに成績をつけて個人情報ならぬ個りんご情報としてバーコード管理しているそう!

色は人が判別してもよさそうなものですが、
人の識別は判断基準が異なり正確性が低下するためNG、だそう。
つまり、人間の目はあてにならない、というわけですね…恐るべし。
こうした徹底管理のもとに、
弘前のりんごは全国トップバリューを維持しているのだなあと関心。

 

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なんとなく、良質なものが量産されていると
緻密さとはかけ離れていく気がしますが(←失礼)、
ダメなんだ、それじゃ。
生産者さんの意識が高まるような取り組みもされている、とほほう聞き入りました。
カッコいいぞ、りんご係長。改めて取材したいな。

 

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なんとか貯蔵庫。
ああ、メモらなかったので忘れてしまいましたが、
空気中の酸素濃度は18%で(20%前後が普通じゃなかったかな?)、
この中はたしか2%くらいにしてあると言っていました。

夏〜秋に収穫したりんごを酸素濃度の低い場所で貯蔵して仮死状態にすることで、
半年後も高品質なりんごを供給できる、というシステムなんだそうです。
りんごの冬眠といった感じでしょうか。へえ〜。

で、酸素濃度2%の空間に誤って入ってしまうと命を落とすため厳重注意、というわけです。
なのでここには入りませんでしたが、冷蔵保管庫には入れていただきました。
室温0度、というと一瞬で冷えそうで足を踏み入れるのに気合いが入りますが、
なにせこの日の気温より高いためとくに寒さは感じず、むしろホッとする空間でした(笑)
りんごのあま〜い、熟な香りが充満していました。

りんご係長からおいしいりんごの見分け方も聞き、
おみやげには、りんご係長が目利きしたおいしそうなりんごもいただいて満足!

 

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今日も、水路みたいな雪を落とすところ(なんていう名称なんだろ?)が大活躍。

 

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ランチは、地元の食材と弘前りんごを使ったフレンチのコース。

 

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・紅玉りんごの冷製クリームスープエスプーマ仕立て
・白神の真鯛・陸奥湾帆立・モッツァレラチーズのミルフィーユ仕立て
・青森産牛ほほ肉とりんごのカダイフ包み焼き赤ワインソース
・りんごとチーズのシブースト 紅茶のパルフェ添え
・パン
・エスプレッソ

 

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弘前城西側・北側の外堀。今日も真っ白で美しい!

 

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川崎染工場さん。津軽天然藍染体験(ハンカチ)をさせていただきました。
たのしかったー。
木灰建発酵、という方式だそうです。

この場所は紺屋町という地名なんですが、弘前城の北東の外堀に面する立地。
よって染めものは藩政時代にそれなりに重要視された産業だったのではないかなあ、と思うわけですが、
聞けば4代津軽信政が元禄期に紺屋町をつくり、100軒ほどの紺屋が建ち並んでいたんだとか。
津軽藩はわりと文化への意識が高い印象があるのですが、
染めものも機織りなどとともに京都から技術者を招いて振興したようです。

それほど栄えた津軽天然藍染でしたが、廃藩置県後は化学染料の普及もあり衰退。
現在ではこちらの1軒しかありません。
地震により地下から瓶が見つかり、それを機に再興させたそうです。

くしゅくしゅっとして藍汁に入れ、乾かすだけ。
水で注ぐとき、どす黒い緑色だったハンカチがぱあっと鮮やかな藍に発色する瞬間がたまらん。

 

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つまんで模様をつける方法もあります。これもきれい。

 

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江戸時代の建造物がそのまま使用されています。
染め体験ができるのは、奥の藍場と呼ばれるところ。

藍は、古くは薬用として使われてきたのだそう。
肌荒れ防止、防虫、鎮静剤、殺菌性にもすぐれ、解熱や解毒に用いられたそうです。
まむしや蚊を防いでくれるとも!
夏の初めに山城へ行くときはこれを巻いていくことにします。

そんな藍をハーブティーとしていただきました。
意外とクセがなくてすっきり美味。
コースターがかわいい。

 

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庶民の台所、虹のマート。知らないものがいっぱい。たのしい。

 

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りんごに見送られ、雪こんもりの奥羽本線で弘前を後にしました。

飽きることのない2日間だったけれど、パンフをめくればまだまだ行ったことのないところもたくさん。
弘前、奥深し。

有意義な2日間でした。
弘前市観光振興課のみなさま、弘前観光コンベンションセンターのみなさま、
お会いした弘前市のみなさま、ありがとうございました。
ご縁が続きますように。

弘前2015冬③〜シードル工房見学など〜

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家が埋まるかと思うくらい、降って積もってふぶきました、弘前2日目。
とても印象的な1日になりました。

生命力を感じる産業や工芸というのは、
携わる人がそれを命あるものとして扱い共存しているのだと改めて感じました。
そういうしなかやかな息づかいのようなものや
条件や理屈では価値を決められないものにやわらかい光を当て、
その世界を表現できる物書きになろう、
さらに城というフィルターを通して誰にも書けないものを書こう、と改めて思ったのでありました。

シードル試飲、工場見学、りんごと地元食材のフレンチ…など今日はりんごづくし。
農家、市が、各業者や団体が、どうブランド力を高め品質を維持に取り組んでいるか、
観光資源としてどう生かしていくかというところまで。
弘前人の価値観や地に足のついた発想、戦略・企画の軸みたいなものの温度、私はものすごく好きだな。

 

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お世話になった弘前パークホテルさん。ホテルの方が吹雪の中お見送りに出てくださいました。
午前中は、弘前市りんご公園へ。

 

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kimoriさんという、農家さんがやっている小さなシードル工房へやってきました。
kimoriとは「木守り」の意味で、収穫後のりんごの木にひとつだけ残った実のこと。
収穫への感謝と豊作への願いを込めて畑の神様に捧げる実を指すそうです。
kimoriというネーミングには、季節と実りをわかち合い紡いでいく、という願いが込められているようです。

 

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kimoriさん、サイトもとってもかわいいです→
弘前りんごが育つ背景からシードルができるまでの行程もイラスト付きで載っていますよ。

 

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クッキングオーブン付きの薪ストーブ、薪はりんごの薪だそう。

 

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焼きりんごづくりをさせてもらいました。

食器はポーリッシュポタリー。かなりかわいい。
ポーランドも焼きりんごを食べるそうです。
関係ないけど、ポーリッシュポタリー人気ですね。
うちは北欧食器で溢れているけど、それとはまた違ったフォルムと色使いで欲しくなる。

 

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シードル、とてもおいしいです。
アップルタイザーをイメージしていたけれど全然違いました。
(私の淡い記憶ではニッカシードルもそれに近かったような…)
まず、炭酸を加えていない自然発砲なのでとてもやさしい。
二次発酵させることで自然に炭酸が発生し、りんご果汁に溶け込むのだそうです。

微発砲のスパークリングワインともまた違う、ほかにはない確立したお酒。
唯一無二のものを前にしたときの、ほんのりとしたしあわせ。
もっと世に知られてもいいのにー、と思いました。
大量生産できないところがいいんですけどね。

私は甘いお酒より辛口派なので、ドライな秋限定ラベルが好みでした。
(とはいえ、スイートラベルもフルーティな白ワインに比べればかなりさっぱりです)
リンゴジュースのようにごくごく飲めてしまいますが、
アルコール度数は5〜6度とビール並みなのでお酒が弱い方は注意。

アルコール度数を製品によって変えることにはじまり、
収穫したりんごによって味も製法も変わるとのこと。
まるで生きもののようだー。
シードルは加工品ではないのだな。産業を越えた文化のようなものを感じました。
「シードルは農産物」の言葉がとても印象的でした。

 

りんご農家は後継者がいなくて危機的状況にあるそうです。
そのほか、異常気象の影響でりんごをとりまく環境も変わってきていたりと問題は多々あるようです。

弘前りんごは、明治の版籍奉還後、りんごとぶどうの栽培が奨励されたことにはじまります。
ぶどうは絶滅したものの、風土や気候に合うりんごはよく育ち、
さまざまな試行錯誤を繰り返しながら、
害虫病による被害、戦争や災害と戦ってここまでの成長を遂げてきたのだとか。
りんご畑につくられたこの場所は、地域の人に向けた集いの場でもあり発信の場でもあるのですね。
こんなふうに、できることをひとつひとつやっていくことで続いてきたものなのだなあ。
世界は違えど、私がすることやできることを考えさせられた時間でもありました。

 

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テーブルとチェア、工房入口の白いウッドスタンドは、
りんごを入っていた箱を弘前の建築デザイナーさんがリメイクしたものだそうです。
テーブルに残る数字は、競りの際に書かれたもの。素敵な空間。

シードルが入っている津軽焼きの器も、たしかりんごの木炭が入っていたはず…。
ワイングラスのほうがフォトジェニックかもしれないけれど、断然、津軽焼きのほうがよい。
シードルの味わいのためにも、津軽焼きの器で提供しているそうです。

 

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焼き上がり。

りんごの剪定のお話が興味深かったです。
こんなに豪雪なのだから完全にオフシーズンかと思いきや、
この時期にどう手入れするかでりんごの良し悪しは決まるのだ、と。
枝は血のめぐる人間の四肢と同じ。
成長まっただ中の枝の剪定をほんの少しでも誤ると、将来の姿を変えてしまう。
そしてその見誤りは、わずか半年後には謙虚にあらわれるのだそうだ。
見極めて見越して、伸ばして導いてあげることが大切。
当たり前だけれど、りんごも生きものなんだなあとしみじみ思いました。

 

シードル誕生秘話も興味深かったけれど、弘前におけるりんご産業の歴史が私はおもしろかった。
りんごの木を手入れするハサミは、
りんご植林を推奨した人(痛恨の失念…初代県知事か?)の命により
弘前城下の鞘職人(か鍛冶職人)がつくり出し、改良に改良を重ねたという歴史があるそうです。
つまり裏を返せば、弘前のりんご産業は城下町だからこそ発展したということ。
栽培の立役者である菊池楯衛も有能な津軽藩士ですし、
栽培が盛んになったのも、職を失った旧士族達が困窮にあえぐのを防ぐのが目的といわれます。
やっぱりね、城を通して地域を見るのはおもしろいと思うのです。
歴史は現在進行形。改めて取材したいな。

 

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旧小山内家住宅、という移築された藩政時代後半の農家住宅を発見。
雪に埋もれて見学不能でした。
夏にはおばあちゃんが語りべをするイベントも催しているそうです。気になる。

関係ないですが、子供の頃に読んだ推理小説に
どうしても見つからなかった殺人の凶器がつららだった、というのがあり
「そうかー、解ければ証拠隠滅できちゃうスグレモノの凶器だな」と感心したのと同時に
「首に刺されば死ぬほどの殺傷能力がある」という恐怖感が刷り込まれてしまいました。
以来、うかつに下を通れません。
実際、頭に刺さることはあるんでしょうか?死にはしないとは思うけれども、痛いんでしょか。
刺され経験者がいたら教えてください。

 

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クイズも、埋もれて答えどころか設問すらわからん。

 

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ひとくちにシードルといってもいろいろ銘柄がありびっくり。全種類制覇を熱望。
おみやげに2本購入。りんごジュースもおすすめのものを2種。
アップルブランデーが気になりましたが、もう持てないので断念。
弘前にしか売っていないそうで、わざわざ東京から買いにくる人もいるそうですよ。

次回は買おうっと。
そして、次回は酒造見学に行きたいです。

 

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それにしても、これかわいいわね。

 

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りんごポストもね。
駅前と区役所のポストはもっとりんごが大きかった気が…。
りんごの大きさは権力の指標だそうです(嘘)。

(続く)