城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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続・真田合宿2014秋〜稲荷城&柳沢城&中山城〜

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岩櫃城でのトークショーの翌日は、真田合宿を再開。

稲荷城→柳沢城→中山城。名城揃いの濃い1日でした。

稲荷城は無名の城ながら、以前ちらっと訪れてコーフンし、再訪したいと思っていた城。
やっぱりスゴかった!!紛れもなく隠れた名城。
あれこれ興奮気味にトークしながら歩きました。
岩櫃城の前線基地として、かなり重要な城だったよう。かなりファイトモード。
この城のことは、ちょっと調べたいしじっくり書きたい。

そして、岩櫃城の支城・柳沢城!
こちらもすばらしかった。竪堀の使い方が岩櫃城と同じ。
今月末発売の「山城へGO!」で志布志城を“空堀天国”と書いたのだけど、
岩櫃城やこの城が“竪堀天国”だと思いました。
ふと見上げれば岩櫃城がバッチリ見えることにも感動。なんとも優等生な支城でした。
うん、この城や郷原城、岩櫃山まで知り尽くしてはじめて岩櫃城を語れるのだな、と。
やっぱり岩櫃城はおもしろい。もっと知りたい。書きたい。

中山城、歴史的価値も高いしつくりも遺構の残存度もすばらしいのに、ちょっと手つかずで残念。。
しかしこの立地は感動モノ。
もともとある城に手を入れたのではなく、明らかに目的があって築かれた城だけに、
シンプルだけれどムダがなくて、研ぎすまされた感じ。
そこに危機感と緊迫感をビシビシ感じる。
この城後北条氏の真田攻めの拠点で
土橋も効率よく狙っているし、横矢もかかっている。
あの主郭の正面に あの光景が見えた瞬間、敵兵は萎えるに違いない…。
いくつもの堀切が断面図のように見える姿は圧巻でした
(=側面にあたる部分が地形ではなく人口的にざっくり切り落とされている)。

写真は稲荷城の虎口にて狂喜乱舞、のもの。

岩櫃城でトークショー

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群馬県東吾妻町のあざみの会のみなさんと!

あざみの会さんにお声がけいただき、
「戦国真田の岩櫃城跡探検隊」でのトークショーに出させていただきました。

岩櫃城跡探検隊、第10弾!
午前中は岩櫃城跡遺跡見学と岩櫃城跡発掘現地説明会が行われ、
私は午後のトークショーでお話させていただきました。
ご一緒したのは、司会をしてくださった児童小説作家の加部鈴子さん、
そして、歴史プロデューサーの六龍堂・早川知佐さん!
早川さんは私がこの仕事をする前から活躍されている歴史界の有名人。
…が、とても気さくで同世代ということもあり、親近感わきまくりで
初対面とは思えないほど図々しくいろいろお話させてもらっっちゃいました。楽しかったです。
またご一緒したいなあ。というか、とりあえず飲みつつお話したい(笑)

個人的には手探りのところがあり相変わらず課題満載でしたが、
大きなトラブルもなく、来場者の方にも楽しんでいただけたようでひと安心です。

主催のあざみの会さんのお気遣いと熱意に触発され、あれこれ考えたりと有意義な1日でした。、
私はもともと、一昨年の岩櫃探検隊に一般客として参加したのがきっかけ。
岩櫃城のすばらしさもさることながら、
あざみの会さんが本当に素晴らしい活動をされていると感動したので、
今回おしごとを頂戴し、あざみの会さんに仲間入りできたような気もしてうれしかったです。
つながりに感謝。仕事はご縁。
ひとりで仕事をしているほうが、組織にいるよりよっぽどつながりの濃度を感じます。
本当に、よい経験をさせていただきました。

写真は、反省会の最後に撮ったもの。
「要は飲み会です」と言いながらも酔う前にきちんとフィードバックして、
そのあと楽しくとことん飲むようすに感服。
私もできるわずかなことを全力で着実にと思ったのでありました。

楽しい記念撮影は、おいしかった日本酒とともに(笑)
飲み残しをおみやげにいただいて、このあと部屋飲みしました。

岩櫃城は本当にすばらしい城!
こんな竪堀の使い方をする城はほかにないよ!
私の今回のつたないトークではその魅力を伝えきれなかったので、
すでにあれこれ、勝手にトークテーマや企画を妄想しています。
岩櫃城の魅力を伝える機会を与えていただけますように。
そして、みなさんとまたご一緒できますように。

あざみの会、東吾妻町のみなさん、ありがとうございました。

城番附!

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この前旅館で見つけたのれん。
「徳川時代 城番附」ですと!

 

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なんだかミョーに納得。
河内の赤城城は赤坂城のことでしょかね?

真田合宿2014秋〜松井田城&岩櫃城〜

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再来年の大河ドラマは三谷幸喜脚本の「真田丸」。
ということで、来春からの執筆に備え真田の城合宿へ。

松井田城を4時間、翌日岩櫃城に4時間。西股先生とじっくり踏査したのが貴重な経験になりました。。
この2城を連続してじっくり見るというのもかなり贅沢。
記憶が薄れぬまま対比できて、違いがよくわかりコーフンしました。
「箕輪、松井田、岩櫃は上州3名城だね」という先生の言葉に心から同意。

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すばらしき松井田城!
激しい薮漕ぎでアゴに枝が刺さり流血するも、どうでもよいほどの城でした。

城は主郭を中心に3方向に派生していくのだけれど、
その防御の手口がすべて違うことがいちばんの感動。
さすが後北条の城!抜かりなく緻密!秘められた静かなる知性がニクいじゃないか!

城を見ていると構造のセオリーがわかってくるのが心地よく、
「こういうケースは虎口をこうして竪堀をああして」などとパターンが見出せるようになってくる。
それが理解できると城を見る目がレベルアップした気がしてうれしい。
だけれど、よく考えてみたら城としてはそれじゃダメなのだ。
だって、わかりやすいきれいな城では敵に予測され戦略を練られてしまうから。

松井田城でいうなら、進撃口①②③があって
①から撤退した敵は②または③からリベンジするはずなのだから、
①の守り方をパターン化してしまっては、攻略される可能性がぐんと上がってしまう。
だから、松井田城は①②③はすべて異なる手口で守るようにしてある。
攻め手としては、どこから攻めても初めて出会うトラップに立ち向かわねばならないというわけだ。

馬出しの中に桝形があるという予想外のコラボレーションに遭遇し、
どういうことかわからず西股先生にその場で図解していただいた私(←ゼイタク!!)。
ここを理解したとき「なんと!この城の感動ポイント第1位ココだな」と思ったのだけど、
そのあと開眼した私の前にじゃんじゃかスゴいのが現れて、
下山する頃には、もはや1位の座は奪われ5位くらいに転落していました、とさ。

洗濯板のような、笑っちゃうほどウェービーな連続空堀は
迂回させ東側の尾根筋から攻め上がるよう誘導した敵へ強靭な防壁か。
これを突破できたとしても、
崖のようなニの曲輪(しかも櫓台付き)を攻略するなど現実的とは思えない。
そして、そこから後北条らしい技を駆使したトラップや虎口が連続して、
異常に広い主郭へと続いていくのだ。

山のようにざっくり切り立たせた切岸に、さらに竪堀をプラス。
さらにクランクした横堀を連鎖させてパワーアップ。
こういったバリバリのTHE防衛を見せておきつつ、
ディフェンスが弱そうな緩斜面には連続竪堀を施しておくなど、コワザも惜しみなく披露してくれる城です。
侵攻ポイントと迎撃ポイントを把握して、敵の上をいく発想で効果的なしかけを丹念に施していく。
そんな緩急がついた守りに、ただただ感服。
こういう守り方をされると、精神的に萎えますね。

攻めるとすれば北東からで、
前述の通りもうここから攻め上がることなど不可能だと思うのだけれど、
それでも手を抜かずがっちり反対側の尾根も三重の堀切で固めているのがこの城。
武田vs.後北条の緊迫した状況が伝わるし、
なんとしても死守せねばという決死の覚悟のもとの改造策が見えておもしろいなと思いました。

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岩櫃城は竪堀天国!
山麓に向かってズドーンと落ちる、こんな竪堀の使い方は類を見ない。
どこまでも城域が続く不思議な城だけれど、
ダラダラ続き隙があると見せかけて、
要所ではしっかりかっちり竪堀や横堀でシャットアウトし完全封鎖している。
竪堀がどこへ続くのだろうとたどってみれば、
ずっと先にある谷や緩やかな尾根筋という弱点をカバーするらしきものだったり。
かなり中心部から離れたところでも、二重竪堀や二重空堀を設けてしっかりと守っている。

とくに、ニノ曲輪下あたりの北側の竪堀がY字で合流するところなんかは、
驚きを通り越して笑ってしまった(←もはやおかしくなってる)。
こんなダイナミックな合流は見たことがないし、しかも合流した後はズドーンと延々と竪堀が続いていく。
笑ってしまうポイントは1か所のみならず。これもスゴいこと。

本丸西側の横堀の草木がなくなると、もっといいなと思いました。
あのラインもシビれます。ずっーと西側に延びて本丸をガード。
ニノ曲輪側はガクッとクランクして、西の山麓に向けてどーんと竪堀が落ちる。
(で、山麓でまわり込んでみたところ、山麓の竪堀にぶつかっていた)

前日の松井田城とはまさに正反対というか、
いわゆる武田らしさにふれた城!
「横堀を張りはりめぐらせて、そこから放射状に竪堀を落としていく」という、
まさに武田流の築城術が見られる城でした。

登山スポットとしても人気の岩櫃山だけれど、
歩いていて飽きないのは、くるくる景色が変わるから。
そして景色が変わるのは、山全体に空堀が張りめぐらされていて、
起伏に富んでいるからだと思います。

秀才学級委員長タイプの後北条の城とは違い、武田の城はどーんと守る男らしさが魅力。
でも大雑把ではない。潔く緻密、といったところでしょうか。
そんな男気が堪能できる城です。
岩櫃城は謎も多いし、郷原城や柳沢城も含めて広域かつ統合的にもっと知りたい。
松井田城とともに、何度も徹底的に歩きたいなと思いました。

あ、トップの写真は中城南側の竪堀にて。
竪堀すごーい!と楽しそうにしてますけど、
結果的にはこんなものたいしたことないということになります(笑)
山麓の竪堀すら、車道になっちゃっているほどでした(つまり幅がかなり広い)。

 

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こちらがY字のところと、そこから続く竪堀。

 

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そうそう、岩櫃城の本丸では発掘調査が進められていて、おもしろい遺構が出ています。
吾妻町教育委員会の吉田さんが偶然お会いしたにも関わらずご説明くださり(ありがとうございます!)、
わくわくしながら見学しました。

本丸から鍛冶場が発見された衝撃的ですが、
第1トレンチ、第2トレンチからこの場所が二段構造だったことがわかったことも驚き。
岩櫃城の本丸がそれなりに凝ったスペースであったのなら、
これだけ軍事施設としての精度を高めておきながら、
やはり単なる戦うためだけの臨戦基地ではないということ。
時代の特定はまだできないけれど、武田時代のものだとしたら、
やはり真田にとってはこの地域の支配拠点として重要な城だったのだなと思います。

個人的には、第4トレンチのタイルのような石積み、
そしてなにより、第7トレンチの表面がきれいな石垣が興味深かったです。
こちらの時代の特定はまだできないけれど、武田時代のものだとしたら
積む技術力を持ち、かつ意図的に見せていたということなのだろうか…と想像が膨らみます。
やっぱり、真田時代なんじゃないかなあ、と思ってみたり。

私は発掘や専門的なことは無知だけれど、
なんにせよ、これまで見えなかったものが現れたというのはそれだけでドキドキ。
今後の解明が楽しみです。

千と千尋の積善館

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「千と千尋の神隠し」の湯屋のモデルのひとつ、四万温泉積善館本館。
予約取れず、ここには泊まりませんでしたけれども(笑)

四万温泉、奥まった静かなところで落ち着き、お湯はとてもやわらかく好みでした。

校了しました!

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萩原さちこ・西股総生著
「今日から歩ける 超入門 山城へGO!」、
学研パブリッシングより11/25(火)発売です。
西股先生との共著。またひとつ夢が叶いました。

11/24(祝)城フェスvol.5 in OSAKAにてミニトークショー&先行販売します!
刊行記念トークセッション&サイン会は11/27(木)19:00〜、ジュンク堂池袋本店にて。
お時間ある方、来てうただけるとうれしいです。

「旅行読売」さんでご紹介いただきました

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旅行読売12月号(旅行読売出版社)で、
「お城へ行こう!」(岩波ジュニア新書)をご紹介いただきました!

「城めぐりに必携の1冊」と…!
旅行読売さんは旅行ファンのコアな読者さんの心をがっちり掴んでいる雑誌。
こうした雑誌で「お城へ行こう!」と取り上げていただけたのは光栄です。

ありがとうございます!

長野の城めぐり

久々の3連休!!
長野へ城めぐりに行ってきました。

1日目/鞍骨城→天城城
2日目/尼厳城→清滝城→塩埼城
3日目/屋代城→姫城→岩崎城→葛尾城→村上氏館→荒砥城

総勢11名での城めぐりでした。なんだか猛者ばかりでびっくり。
ちょっと心ここにあらずな状態でしたが、とても楽しかったです。
ご一緒したみなさま、ありがとうございました。

歴史的背景を知っていると楽しめる城だなと思いました。鞍骨なんかはとくに。
印象的だったのは葛尾城、塩崎城かな。

書きたいことがたくさんありすぎる。いずれていねいにちゃんと書きたいな、と。
撮った写真は約800枚。披露する機会がありますように。

一個人ブログのほうにもちょこっと書きました。

「デジタルカメラ城郭撮影術 プロに学ぶ作例・機材・テクニック」

表1

「デジタルカメラ城郭撮影術 プロに学ぶ作例・機材・テクニック」(KADOKAWA)、
明日10/31(金)発売です!

城ファンのみならず、城のある風景を撮りたいカメラファンも必見!プロの技が学べます。

刷り上がりをパラパラと見ていて、印刷の色の美しさに驚き。
発行元のアストロアーツさんは撮影術の本をたくさん手がけているだけあって、
本当に写真がキレイです。
山下茂樹さん・アサイミカさんは写真集も出版している方ですから、
城の写真集としても、十分楽しめると思いますし、城の写真集がこの価格なんてオトク。
しかも撮られたプロの解説付きとはなんとも贅沢です。

私はコラムを書いたりしました。彦根ロケの企画もこちら。

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誌面公開はよろしくないけれど、こっそり。

この本の詳細はコチラ→

「戦国 大阪の城 —動乱の時代と天下統一」

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先日お仕事で大阪に行った帰り、
秋季特別展「戦国 大阪の城 —動乱の時代と天下統一」を
高槻市立しろあと歴史館で見てきました。

高槻市教育委員会の方からご紹介いただき知ったのですが、訪れてよかった!
コンパクトですが、充実した完成度の高い特別展でした。
わかりやすい解説と展示でていねいにまとめてありましたから、
きっと城ビギナーの方も満足度が高いと思います。
展示量も膨大ではなく、ほどよいです。

なんといっても、順を追って解説してくれているので、
城のおもしろさのひとつである“変遷”が
ドラマを見ているようにすっと頭に入ってくると思います。

大阪の地名や地域の歴史を熟知していない私でも、
動乱の中でいかに世や城が移り変わり
変化を遂げていくのかがわかりました。テーマの通り、
大阪の城の歴史から動乱の時代と天下統一の流れがたどれます。
絵図や考古資料だけでなく、発掘調査などの最新調査成果も紹介されていて、見応え◎。

 

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そして、特別展図録『大阪のお城がわかる本』が秀逸!
烏帽子形城、芥川山城、飯盛山城、高槻城、茨木城、大坂城など
全国的にもチェックしておきたい大阪の名12城がチョイスされ、
略歴やポイント、絵図や発掘調査資料までがイラストや図解付きで端的にまとめられています。
しかも、縄張図まで載っていて豪華…!
これで500円ですから、買い!ですよ。

 

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常設展もものすごく見やすく、楽しく学べる好きな歴史館です。
常設展の入口では、床を要チェック!ここには、石垣の底部が再現してあるんです。
こんなふうに、緩い地盤の上には基礎である胴木を置いてその上に石垣を積んでいくんですね。
全国に石垣はたくさんありますが、底部の構造を見られるのはきっとここだけではないでしょうか。
このなかには、発掘された高槻城の石が3つ使用されています。

 

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特別展は2014年10月4日~12月7日まで。

高槻市立しろあと歴史館
秋季特別展「戦国 大阪の城 -動乱の時代と天下統一」→