城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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第18回全国山城サミット in浜松

【第18回全国山城サミット連絡協議会 浜松大会】に行ってきました。
サブタイトルは<徳川・武田争奪の城郭群を生かしたまちづくり>。
前日の日記で述べた通り、静岡には移り変わりと変化の激しいすばらしい城があふれています。

内容はざっと、
・小和田哲男先生の基調講演「徳川・武田の抗争と遠州の山城」
・加盟自治体による全国の山城紹介など
・シンポジウム
 浜松市文化財課「二俣城・鳥羽山城における近年の調査成果について」
 中井均先生「徳川・武田・今川が競った城郭郡を活かしたまちづくり」
 加藤理文先生「高根城の復元整備とまちおこし」
 辰巳均さん「国民文化祭・城跡フェスティバルの経験」
・パネルディスカッション
と、それはそれはもう、興味のつきない学び多き1日でした。

城の専門的な話に食い入るように聞き入ったのはもちろんなのですが、
行政向けの<文化財を生かしたまちづくり>の議論に思いのほか聞き入ってしまいました。
人間ひとりひとりが《財を持つひとつの社会・企業である》と考えるならば、
地域活性化のファクターには共通事項が隠されている。
いかに効率よく仕事をまわし、人生を豊かにしていくかのヒントが。

それにしても、知識や経験を増やすことも必要ですが、人の話を聞き考えることも大切ですね。
背中をバシーンと叩かれた気分でした。

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静岡の城めぐり

山城サミットに先立ち、駿河城、田中城、掛川城、浜松城、二俣城、鳥羽山城をくるり。

 





群雄割拠の時代、駿河・三河・遠江が今川氏から徳川氏のものへと変わるまで、
東海地方では約10年間武田VS徳川のの攻防が続くわけですが、
その時代を中心として城郭も変化し、今川、武田、徳川、豊臣と、
名立たる名将が奪い合い手を入れていきます。
その変貌を追うのがまたおもしろい。

静岡は軍事施設としての名城がたくさんあるだけでなく、
中世山城の調査もいち早く行うなど、文化財の保存整備事業がすばらしい!
それなのにいまいち知名度が低いのは、歴史的な派手さのなさ、家康不人気、
ぐいぐい前に出ない県民性のせいなのでしょうか・・・。

ひとまず次回は犬居城&丸子城に行きたいー。
諏訪原城、山中城、高天神城も再訪希望。

 

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高知3城めぐり

小豆島からびゅーっと移動して、高知に寄ってきました。
先日高知城の原稿を書いていて不明なことがあったので、ちょいと調べに。
高知城、今回は時間をかけてじっくり登城できました。

  

その後歴史博物館など寄りつつ、岡豊城&浦戸城へ。
桂浜の素晴らしい夕陽で1日を終えました。今日も晴れ女でした。

 






レビューはいずれ書きます、という決意表明を匂わす写真たち。

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小豆島 石の歴史シンポジウム

小豆島 石の歴史シンポジウム
「大坂城の石垣普請と瀬戸内の石切丁場」
~世界最大級の大坂城石垣を支えた島石の魅力を求めて~
に参加してきました。

5日は、シンポジウム。各分野のスペシャリストによる基調講演やパネルディスカッション。
6日は、石切丁場跡をめぐる「石の道探訪」と、瀬戸内の海と石をめぐる「石の里クルージング」。





石の写真ばかり載せられても、さっぱりなんのことやらわからないことでしょう。
ああ、1枚1枚ストーリーがあるんですが。しかも、かなり厳選の写真なんですが。
濃密すぎる石の歴史、いずれ書きたいなあ。ちゃんと記事を書きたい。

ひと言でいうと、「大坂城の石垣はスゴイ!」ってことです(ざっくり)。
歴史的石造構造物として価値があり、現代の専門家から見ても技術面で学ぶことが多いそう。
姫路城は世界“文化”遺産なんですが、大坂城はポイントというか存在意義がベツモノで、
世界“土木”遺産として価値がある、というのが結論です。

城を支える石材の魅力と、石材からひも解く城郭史のおもしろさ、
土木遺産の価値についてしみじみと考えさせられました。

このイベント、今年が大坂城天守閣復興80周年ということにちなむようで、
大坂城の石垣の材料である小豆島の上質な石とその文化を掘り下げる企画。
大坂城は「太閤さんの城」などと言われていますが、
秀吉時代の大坂城は地下に埋まっていて、現在の姿は徳川時代のもの(天守は昭和です)。
徳川秀忠の命による天下普請、つまりは現代でいえば国の一大事業なわけで、
一大名が築いた城とは比べ物にならないほど、いろんな意味でハイレベル。
そして、その背景にはおもしろい情勢や人の動きがあるわけです。

文化財として世界遺産レベルの価値があるかどうかは私には判断できませんが、
国指定の遺産がありながら、まったく知られていないのがもったいないなあ、と思いました。
たいていの人が、小豆島=オリーブ&醤油、では?
城や歴史や島や石が好きかとかではなく、観光地としても知名度の低さは否めない。
歴史好きが「こりゃスゴい!歴史的価値がある!」と叫んでいても、
マニアの世界のマニアトークでしかないんですよね。
何事も、価値を伝える、知ってもらうというのは、道のりが長く難しいですね。

宿泊した旅館が先生方と同じで、移動のマイクロバスも先生とご一緒!
車内で繰り広げられる先生方のストーントークはアツいものがありました。
わかりやすく説明してくださり、勉強になるというより、感心と発見の連続でワクワク。
先生方の専門分野が違うので、石材としての魅力、力学的な観点、歴史的な意味などなど
サイドストーリーもさまざまでとても楽しかったです。

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「そだての住人」募集中

10/29&30の「東日本大震災復興祭2011~子供たちの未来のために~」
Food Relation Network×東の食の会 supported by ap bank / kurkku / CAFE COMPANY の
宮城県石巻市雄勝町「漁師の会社 OH!GUTS(オーガッツ)」さんブースのお手伝いのもよう。

私にとっては、小中学生との青空料理教室が楽しい思い出になりました。
(東北支援ネットワークはぐみSさん、写真載せさせていただきました)
石づきを取っているのが私なんですが、小房分けとピーマンの種取りなどを手伝ってもらったのです。
最近の小中学生男子は、家でもちゃんとお手伝いするらしく感心。
「100円もらえるから」と、経済観念もしっかりしているようです。
2人とも利発で素直でなかなかイケメンなので、
このままスレずに成長すれば、仕事も料理もできるモテ男になるんでしょうな、とお姉さんは思いました。
職業年齢を越えていろんな人に出会うのは楽しいです。

 

   

で、OH!GUTSブース。
なんと!朝獲れたばかりの秋鮭を車で運び、調理して提供。しかも激安ということで大盛況でした。
ちなみに全然関係ないですが、秋田では鮭の白子のことを「ダダミ」というそうです。

OH!GUTSさんのプロジェクトはTV番組でも多く取り上げられているのでご存知の方もいるかもしれませんが、
「そだての住人」を募集しています。
牡蠣や銀鮭を育てる作業を見学したり、実際に作業にも加わることもできる、新しい養殖オーナー制度。
牡蠣、ホヤ、帆立、銀鮭から選べます。
「そだての住人」について詳しくはこちら→ ★ 

私も住人になりました。興味のある方はぜひ。
ボラ仲間が毎週のようにお手伝いに行っていますので、そちらもご興味のある方はお声がけください。
一度炊き出しでお邪魔しましたが、雄勝町は本当に美しいところですよ。

 

今週末は漁師メシをどうぞ

10月29日&30日の2日間、「東日本大震災復興祭2011~子供たちの未来のために~」が
国立代々木競技場一帯の会場にて開催されます。
音楽関係5団体が発起団体となり、<音楽、お笑い、食>の力で復興支援を行うイベントです。

Food Relation Network×東の食の会 supported by ap bank / kurkku / CAFE COMPANYに「漁師の会社 ohガッツ!」さんも出店。
雄勝の漁師さんが、獲れ立ての秋鮭を振舞ってくれます。

私は30日(日)9:00〜15:00まで「 ohガッツ!」ブースでお手伝いしてます。
秋鮭あら汁、秋鮭ちゃんちゃん焼き、いくらこぼれご飯の料理補助をしているか、
商人のように物販に精を出しているか、
何の役にも立たず大漁旗を振り回しているかのいずれかです。

ブースは国立代々木競技場オリンピックプラザ「 東の屋台」ストリート。
ランチがてらお越しください♪

東日本大震災復興祭2011~子供たちの未来のために~ →
Food Relation Network×東の食の会 →

利神城の思い出

撮影&取材で、3泊4日で播磨へ行ってきました。
うぉー!楽しかったー!!
発売日や内容などの詳細は、開示できるようになったらお知らせしますね。
すげーいいもん書いてやるぞー、と。

うれしかったことは、2時間ほど取材した方に「あなたには5時間かけて話したい」といわれたこと。
ああ、なぜ時間には限りがあるのだろう。。私も聞きたかったよー。

 

ショックだったことは、利神城が入山禁止だったこと(こちらはプライベート)。
時間をやりくりして、車をぶっ飛ばして行ったのにー。
いや、数年前から入山禁止だという情報がなくもなかったのですが。

 

  
  

こちら利神城。
頂上に、天守台らしき石垣が丸見え!
これだけの山城でありながら、近世城郭ということではありませんか。
「利神城」の看板の脇にも、立派な石垣がチラ見え。
ほかの登城口からだったら登れたのかなあ。。

 

そうそう、利神城の麓で、仕方なしに土塁と石垣を遠巻きに見ていたとき、
ふと視線を感じると思ったら、鹿さんがいました。
襲ってくる気配も逃げる気配もなく、しばし見つめ合ってしまいました。

 

「のどかな田舎町ゆえ、人慣れしているのかなあ」と思ったら、道の駅にこんなノボリが・・・!
つぶらな瞳のかわいいあの子も、ミンチにされて、じゃがいもに練り込まれて、
油でカラッと揚げられちゃうのね。シュールだー。

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祝・結婚

10代の頃から大〜好きな、直之にーさんの結婚パーティーでした。

久々にお着物を着てみました。
結婚パーティーとはいえ、カジュアルな会だったので、小紋に名古屋帯です。
最近叔母から譲り受けて、仕立て直してもらったもの。気に入ってます。
本人のイメージは京風美人ですが、他人の評価はまさかの町娘。

 

今日も相変わらずゆるゆるぐだぐだでしたが、そんななおが大好き。
キレイでかわいくて、気立てがよくて、ステキな奥さまだね。
見ているだけで、私も幸せです。ほんと、おめでと!

うっすら気づいていたと思うけど、
学生の頃、なおがボトルキープしている酒をいつも1cmくらい残して飲んでいたのは私です。
ごめんね。

 

  

それにしても、懐かしい人にたくさん会いました。
変わらない部分に安心しつつ、みんな年相応にちゃんとステップを踏んでいて、相変わらずな自分にやや喝。
そして、せっかくのパーティーだったのに、サッカーの話で盛り上がってしまったことにも反省。
サッカートークは今日じゃなくてよかったな。。
でも、同窓会的な感じで再会できるのもこういう席のいいところですね。

城メグ日記経由で懐かしい顔ぶれを見る人もいそうなので、勝手に写真載せますね。
みなさん、あしからず。

忍城とレトロ探訪

今秋映画が公開される、忍城が舞台のベストセラー小説「のぼうの城」。
その舞台・埼玉県の行田市で近代化遺産や生活文化について学ぶモニターツアーに参加してきました。

 

   

綿が豊富にとれる行田は、足袋の里。
全盛期には数百の足袋屋が軒を連ね、全国のシェア8割を誇ったそうです。
文献をひも解いていくと、どうやら江戸時代後期からすでに盛んだったらしい。
利根川と荒川に挟まれ、かつ街道に沿ったこともあって、栄えたんですね。
いまだ、行田の足袋というと、常用者からは一目置かれるのだとか。

足袋は1人の職人が全行程を通してつくるのではなく、分業制。ミシンも部位ごとに違います。
重厚な断裁機、かかと部分を丸く縫い合わせるミシン、仕上げの調整。
職人さんの手にかかると、魔法のように足の形になっていく。
つま先を縫う<つま縫い>専用のミシンが、これまたすごい!
今のミシンと違って、縫いはじめがハンドルというのがいいですね。
かつては<つま縫い>専門の女工さんもいたそうです。

 

   
   
   
   

かつての工場を改装した見学館。
ぼーんぼーんと音が鳴る壁掛け時計、ミシンのペダル、消火器、本棚、ハンコ、棚。
ゴツゴツ木のそろばん、細かいものにいちいち味があって、興味津々。
壁の標語「買う人の身になってつくりましょう」に、仕事の原点を垣間見ました。

 

  

ハマってしまったのが、製品化した足袋についてくる、このラベル。
なんて遊び心があるんだ!
壁一面に貼られたコレクションを、舐めるように見る私。

 

   
   
   
   

「ランダムに写真を撮ると、自分好みものばかりになりそう」と思いながら撮りましたが、まさにその通りになりました。
こういうの、人の好みが出ますね。
昭和初期の印刷インキの色も好き。大量生産でなかったころのよさですね。

 

  

休憩室も、いい感じ。
めんこのように、足袋のラベルを模造誌に貼付けてコレクションしているんですね。かわいい!
窓枠や鍵穴もステキです。

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街あるきタイムは、城あるきタイム。
なぜ、この場所のこの道がこんなに細いのかとか、ここは門跡だったんだな、とか
知らず知らずに城下のがわかってしまうのが城好きの性。

このあたりは区画整理されてないんだなーとか、
城の正面玄関へ続くメインストリートだなーととか。
おそらく一般の方にはただの道が、城好きにとっては発見の小径です。

 

   

忍城内の残存物は、土塁と数えるほどの石材などですが、
建物がないからといって、見どころがないというわけではない。
城下の繁栄を見れば、城の姿が見えるというものです。

 

   
   

キャッチーな広告、石づくりの蔵、洋風屋根の写真館。
明治、大正、昭和のレトロデザイン探訪でした。

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今回のツアー参加は、
久々に再開を企画している私主催のオリジナルお城ツアー「城メグツアー」の下見だったわけですが、
主催側、参加側のいろいろが学べて、一挙両得。
帰宅後、ほろ酔いで書き出したりした1日でした。
私なら、どういうフレームづくりをするか、エッセンスを入れるかを延々と。
もちろん、もっともっとお城に特化した内容で。
それから、ものごとはテンポが大事なのだと実感。
楽しむにも、学ぶにも、満足度につながるのは心地よさですね。

行田は、MAPをもとに探索したら、楽しさがアップすると思う。
発見って旅の重要なファクターだけど、ゼロからの発見は難しい。宝探しにはヒントが必要。

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KONO式から学ぶこと

引っ越し&独立のお祝いをたくさんいただいています。
私は本当に<人メグマレニスト>だなあ、と感じる今日この頃。
モノに限らず、言葉ひとつもたからもの。ありがとうございます。

さて、贈りもののひとつ、KONO式名門ドリッパー。
以前使っていたものが割れてしまい…やっぱり好きです、コレ。
希望の<京町家モデル>をいただいて、コーヒータイムが待ち遠しい。
めっぽう朝に弱い私も、ちょっと早起き。いかにも新生活っぽくて、楽しいです。

そんな中、ちょうど雑誌で3代目河野社長の記事を発見。
これがまた、内容もタイムリーでした。

コーヒー器具メーカーとしての軌跡と紆余曲折が綴られていたわけですが、
印象的だったのが、会社を軌道に乗せるために考える中で頭をよぎったという、
「知識とこだわりだけじゃ商売できない」という言葉。
いや、私のようにエンドユーザーありきのクリエイティブワークをしていれば、
そんなことはわかり切っているというか、当たり前のことなのだけれど、
これって初歩的でありつつ深いなあ、と今の私には刺激的でした。

「知識とこだわり“だけじゃ”」ってところが重要で、
いろんな割合が難しいんですよね(きっとこれは、どんな仕事でも)。
とくに、自分の名前で仕事をしていくなら、そして専門分野で勝負するなら、
知識とこだわりは絶対必要。エッセンスだけでは必ずボロが出る。
他人に知識やこだわりをただそのまま押しつけるのではなく、
何が求められているか、どう感じられるのかを常に感じ考えて、
それに応える手段を提供しつつ、かつ自分の目的を達成するための方法を具現化することがプロの仕事。
夢と理想を掲げつつ、地に足をつけて。苦境のときほど、本分をわきまえて。

これって、シンプルなようでいて、かなり難しい。
コーヒーひとつが、その世界の人にとってはものすごく深いように、物事って、真摯に向き合うと底なしですね。

このところ知識を深めることに気持ちが行きがちなので、
頭でっかちにならないようにせねば、と思ったのでした。

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