城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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柴又帝釈天&山本亭

3連休は、実家を拠点にもぞもぞ行動。

初日は、久しぶりに柴又へ。

 

帝釈天参道は買い食いパラダイス!もう、テンション上がるし、私にとっては落ち着く雰囲気なんですよね。

 

おせんべいのガラス壷とか、焼きたてのおせんべいに味をつけるカラカラという音とか、たまりません。

 


飴を切る職人さんの包丁が奏でるリズムと、そのメロディに合わせて踊っているみたいな飴。
この二重奏を聞くと、「正月だなあ」という感じがします。
「せんべいは堅いから…」と敬遠している人に食べてほしい、焼きたてのおせんべい。パリパリでいい香りですよ。
おせんべいを食べ終えた頃に「飲んでいきなよ」と、ナイスタイミングで出てくる七幅茶もうれしい。
「ぬるくしてあげるからね」と、お子さんの湯のみにあらかじめ淹れておいたお茶を注ぎたす、ご主人。
こういうちょっとした気配りとおもてなしの心が、下町の魅力。

 

おだんごは高木屋と決めてますが、今日はとらやの草だんご&焼草団子。
「よろこんで!」と威勢のいいおばちゃんがたっぷりよそってくれる、やぶ忠のモツ煮こみもうまし。
くず餅・柴又漬物のい志い。店先でこんがり焼いた自家製芋ようかんはスイートポテトみたい。ロールケーキも有名です。

 

店先で揚げている大和家の天ぷらもおいしそう。揚げたそばから天丼ができていく。店内はいつも満席。 

 

 

いつも車でササッと来るだけなので、実はじっくり見たことがなかった帝釈天をじっくり。…彫刻に釘付け。

 

帝釈堂にお参りした後は、別料金で入ることができる、彫刻ギャラリーへ。
通路のちょっとしたところまで彫刻が施されているのですが・・・

 

いちばんの見どころは、コレ!!帝釈堂内陣の外側にある、胴羽目彫刻。

10枚の彫刻は、仏教経典の中でも有名な<法華経>の説話を選び出して彫刻したものだそうで。
仏教のことはよくわからないのですが、とにかくこの彫刻、スゴいではありませんか!
人と比べてみると、その大きさがわかりますよね。

 

縦巾1.27×横2.27m×、厚さ20cmもある1枚の木材(ケヤキ)に彫刻がされています。
大正11年から昭和9年まで、12年の歳月をかけて、10人の彫刻師が1面ずつ分担制作したのだそうです。
<三車火宅の図><法師修行の図>が好きでした。

 

赤のケイカコミ部分を拡大したのが、右隣の写真。

 

花びら、人の表情や目線、指先のしなりまで、木と彫刻刀だけでここまで表現できるなんて!
実物は立体感や木の色なんかも味わいがあって、乗り出して見入ってしまいました。

 


隣接する邃渓園(すいけいえん)もステキ。
大客殿前に広がる池泉式庭園で、昭和40年に向島の庭師さんによって造園されたそうな。
廊下には、帝釈堂絵巻の原型彫刻が展示されていました。これまたミニチュアなのに味がある。

 

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今日の本命は<山本亭>。

ここを知ったのは、昨年6月に行った、島根県の足立美術館がきっかけ。
足立美術館はアメリカの日本庭園専門誌<ジャーナル・オブ・ジャパニーズガーデニング>における
日本庭園ランキングでV8を達成しているのですが、
そのほかにどんな庭園があるのか気になり調べたところ、
京都の桂離宮、香川の栗林公園などの名立たる名園の中に、東京都の文字が。しかも実家の近所じゃないですかー!
近所にこんな素晴らしい庭園があるとは知らず、驚いてやってきたわけです。

 

山本邸は、その名の通り、山本さんの家。
地元のカメラ部品製造業・山本工場の創設者、山本栄之助翁の自宅でした。

説明によると・・・
建物は木造瓦葺き2階建て。床面積は1階120坪、2階15坪、地下室、土蔵、長屋門等からなる。
庭園は、縁先近くに池泉が、背後には緑濃い植え込みと筑山が配置され、
滝を池に落とすという、270坪もの贅沢な書院庭園に仕上げられている。

 



伝統的な書院造りと洋風建築の融合、ということで文化的価値が高いそうですが、
単純に庭園の感動度合いからすると、正直なところ安達美術館の庭園や栗林公園とは並列じゃなかったですねぇ。
同じように、昭和初期の庭園様式が現在まで残っているのは、千駄木の旧安田邸、世田谷の徳富邸だけとか。
いずれも近いのに未踏の地。世の中って知らないことばっかりだなあ。行ってみよう。

 

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柴又といえば、矢切の渡し。松戸まで乗船してみました。 乗船料は片道100円。プレハブトイレもなんだかアート。

矢切の渡しの始まりは、江戸時代初期。
当時、江戸への出入りはとても厳しい強い規則がされていて、関所破りははりつけになるほどでしたが、
江戸川の両岸に田畑をもつ農民は、農民特権として自由に渡船で行きかうことができたのです。
これがいわゆる農民渡船というもので、矢切の渡しのルーツです。

 

およそ150mの江戸川を、手漕ぎの船が往復しています。
手漕ぎの舟、ヒバリ、ユリカモメの声などは、柴又帝釈天とペアで”残したい日本の音風景100選”に選ばれているそうです。
土手で思いっきり工事していたので、かなり残念でしたが、やっぱり情緒がありますね。
この距離を、5分かけてゆっくり進みます。

矢切の渡しというと、野菊の墓や寅さんを思い起こす人が多いのでしょうけれど、
私はもっぱら、細川たかしの歌声が脳内リピート(笑)

 

風が強い日は幕府からOKが出ず、この旗の掲揚がサインだったそうですよ。松戸側の岸辺にあります。
対岸の松戸に到着。ここから松戸駅へ向かう間に、野菊の墓文学館もあります。
野菊の小道を歩くのは膨大な時間を擁するので、またの機会に。

 

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松戸から常磐線に乗り、小金城へ。・・・と思ったのですが、ちょいとアクシデント発生で行けず。城メグリストなのにー。
北小金駅で夕陽を見て終わりました。夕陽と富士山。めちゃめちゃキレイ。

夜は我孫子にて、社会人になって最初に就職した会社の同期と新年会。
辞めてから10年(!)経ちますが、こうして今もつながっているのは本当にうれしい限りです。
10年経っても生活が変わっていない私、自分の将来がちょっと心配になりました…振り返るのも大切ですね。
楽しかったなー。また集まろうね。

 

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