HRH炊き出し(登米〜南三陸〜塩竈)-2
登米での炊き出し→ ★ を終えて。
	車ですぐだというので、南三陸町へ行くことに。
北上川の美しい風景に感動したりしているうちに、みるみる車窓の景色がおかしくなってきた。
南三陸町。
	ここに街があったとは思えないし、どんな街だったかを想像することは不可能。
	どっちが海で、どの方向から津波が押し寄せたのかもわからない。
	雨の中、相当な数のクレーン車がフル稼働していたから、これでもかなり片付いたのだと思います。
この場所で、たくさんの方が亡くなっている。
	私はただ、涙を流しながら手を合わせることしかできませんでした。
	「状況を知ってほしい」と、被災地の方はおっしゃる。
	聞いたこと、見たこと、感じたこと…伝えることも大切なのだろうけれど、
	これ以上は撮れないし、うまく言葉になりません。ごめんなさい。
立てかけられた、手書きの連絡先。奥が段差になっているから、ここは玄関だったんだな。
	がっくり肩を落としているようにも見える、ぽつんとたたずむ消火器。
	ぐちゃぐちゃで逆さまになった車や、突き刺さった船、裸になった建物も見るに堪えないものがあるけれど、
	かばんやランドセル、お茶碗やコップ、おたまやハンカチ、花瓶や表札のほうが、心に痛かった。
	生活の欠片がもう意味をなさなくなって、まるで昨日の残りもののゼリー寄せみたいに、土砂に埋もれている。
	それぞれに生命があるのだとしたら、その時計はもう、止まっちゃったんだな。
 
 
TVニュースでも報道されていた、遠藤未希さんがいた災害対策庁舎。ただただ、ご冥福をお祈り申し上げます。
震災後につくられたであろう、ガソリンスタンド。
	「アスファルトが新しいから、きっと震災後作ったんだろうね」とりえ子さん。
	これが、この場所の、現在のせいいっぱいの復旧。
バスが走り出してもなお、瓦礫の風景は続く。少し高台のほうは、無事なよう。
この状況下でも立ち上がろうとできる心意気に、逆に励まされる。私もやろう、できることを。
少なくとも、建物の最上階まで浸水はしていたよう。
旅先で街あるきをしながら「街の郵便局って、平和な風景の象徴だなあ」と、いつも思う。
	郵便局は、人の思いや夢や希望が詰まったものが集まる基地で、
	ポストは、手紙や小包という分身を預ける、どこでもドアみたいなもの。
	だから郵便局はいつも平和な空気が漂っていて、大切なものをあつかう適度な緊張感で包まれていて、
	人があったかくてすがすがしくて、私は好きなのです。
	ヘルメット姿の配達のおじさんは、仮面ライダー並みにバイクが似合っていて、
	真っ赤なバイクで幸せを運ぶ、正義の味方。
	…のはずなのに。どうやら自然界には、人間界の常識は通じないのですね。
おそらくここは、美しい海辺の街だったのだろうな、という断片を見ながら、南三陸町を後にしました。
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南三陸町を後にして、HRHにみなさまがお寄せくださった、支援物資をお届けに、塩釜市へ移動。
【ふんばろう東日本支援プロジェクト】事務局HP→ ★ より
工業地帯に点在する40世帯で、広さの割には民家が少ない。
	無事な家は1軒もない。ほとんど全壊か大規模半壊。工業地帯の為に人がいないとみなされ、給水車は来なかった。
	支援物資は4月一杯で打ち切り。ライフラインは町会長の近辺は復旧だが、道路の反対側は電気もない。
	買い物は徒歩圏内に行ける場所なく、近くにあったマックスバリューの開店は7月の予定。
	コンビニ等も全てなくなった。車も殆どの人が流されている。自販機もない。
	移動販売が先週から来て下さるが、種類も少なくも高齢者が多いので、買い物が大変。
	家電はほとんどの方がないのですが、今は食料と日用品が欲しいとのこと。
	塩竈市は道を挟んで急に、明かりがなくなり瓦礫の山が現れます。
	
本当に一部の世帯だけが被害を受けていて、被害の有無が明らか。
	だからこの街の中でも温度差があるのだそうです。
	石巻や気仙沼に続く海沿いの大通りは、震災後ものすごいスピードで復旧したけれど、
	“たいした被害ではない”この地域は、救助も援助も素通りなのだそうです。
台湾からの支援物資も。
	「よかったら」と春美さんが差し出した絵本やおもちゃ、とても喜んでいらっしゃいました。
	日用品集めに奔走する生活の中で、子供のための絵本は夢のような贅沢品なのだと思います。
普通のものがない。買えないし、店も復旧しない。
	2ヶ月以上経ってなお、とりあえず水やお米を、という状態。
	こういう被災地が、まだまだたくさんあるのではないかと思います。
	少しでも、役に立ちたい。できることを、できる限り。














 
 

























 










