山繭紬
母から譲り受けた、山繭紬。
昔、旅先の山寺で父に買ってもらったそうで。
反物のまま実家で眠っていたものを譲り受け、私サイズで仕立てました。
仕立てるとき、呉服屋さんや着付けの先生方に
「旅先で反物を購入するなんて!」
「お母様は粋な方なんですねえ」
などと、えらく驚かれまして。
私としては普通の感覚ゆえ、驚かれたことに驚きまして。
(粋な人は買ってもらった反物を放置しない。笑)
子供の頃を思い起こすと、
そこでしか見られないものや手に入れられないもの、食べられないものや会えない人。
今しかできない体験に対しては、惜しまず投じていてくれたなあ。
(旅のテンションでおかしなものを衝動買いしたりは一切なかったけど)
そこで目利きのようなものが養われた気がするし、
今の仕事ができているのも、そんな環境のおかげなのかもしれません。
そんな母から生まれ両親に育てられた私は、今日誕生日を迎えました。
理想的な生活からはほど遠い毎日だけれど、
今という時間を大切に日々を積み重ねて、人生を豊かに。
心身ともになるべく穏やかに過ごしたいなと思います。
ところで、山繭紬は長野県の松本・安曇野地方のものらしいけれど、母よ、なぜ山形で…?
天蚕糸が長野産、ということなのかなあ。
知っている方がいたら教えてください。