城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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四国城めぐり&島めぐり-7

 

2010年10月の旅、いよいよ最終日(10月11日)。今日は本命の直島を堪能します。

 

私たちが泊めていただいたお部屋(座敷)では、部屋の隅で炊飯器がフル稼働。
たくさん余ったごはん、翌日の朝食にどうぞ、と。1泊1食付きだったはずが、もう1食つけていただいちゃいました。
サービスでふりかけまで…お母さんのやさしいおもてなしに感謝しつつ、チェックアウトなどなく、裏口からなんとなく出発。

 

   
   
   

まずは、昨夜訪れた大竹信朗/graf「直島銭湯I♥湯(あいらぶゆ)」。
闇の姿もよかったけれど、やっぱりこっちが映えますね。
私は階段の上のタイルがものすごく好きです。あと、地球儀が日本になってることに感動。

 

  
   

宮浦港へ向かい、草間彌生のかぼちゃと戯れながら、早朝の情報収集&作戦会議。
絞った結果、今日どうしても行きたいのは地中美術館と南寺。
だけれどエリアの異なるこの2カ所は、いずれも午前中で整理券ははけてしまうというのです。
二手に分かれればどうにかなるらしい、という情報を手に入れ、私はひとり南寺のある家プロジェクトに向かうことに。
南寺の整理券ダッシュレース、すごかった…激走の結果、第2位でゴールできました。
おだやかな宮浦港、この約1時間後、フェリーの到着とともに大変な大混雑になります。

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南寺の観覧時間まで、家プロジェクトをぷらぷら。もはや、庭の手入れをするおじいさんすら、アートです。

 

   
このフシギな表札のようなものは、<屋号表札プレート>なるもの。
瀬戸内国際芸術祭2010ではなく、直島町まちづくり景観整備事業としてつくられたものだそうで、
人名、職業、位置、先住地、商号などからつけられているようです。

 

  
  
  
  

このいろとりどりののれんは、2001年に行われた「本村のれんプロジェクト」以来定番になったものだそうで、
染色家・加納容子さん(岡山県在住)が製作したオリジナルのれんが、本村地区14軒の軒先にかけられています。
のれんを見てまわるだけでも楽しい。

 

  

ちなみに家プロジェクトのある本村地区は、縦横が整然としていなくて、どこへ行っても壁に当たります。
これは、賊が攻め込んだ場合に敵の放つ矢を家の壁で防御しながら戦闘をしたり、
うまく逃走して追っ手を撒くために形成された戦略的町並みなのだそうです。

 

ジェームズ・タレル×安藤忠雄「南寺」
ものすご〜くよかった!でも、実際行った人しかわからないかな…。
暗闇に慣れるのに他の人より時間がかかるらしく、長いこと何も見えなくてドキドキしました。

 

  
南寺の隣にあるミニ公園の、なんだかアートなすべり台。思わず童心に返ってみる。

 

   
   

<玄米心食 あいすなお>さんでランチ。
ごま油が香る小豆島手延べそうめんと、あいすなお名物もっちり玄米おむすびのセット「すすりこセット」。
小豆島産の昆布もおいしい。地のものってイイですね。
お水は、好きなグラスで。どれもかわいくて迷う…。店内のインテリアもステキ。

 

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ゆっくりまったりする間もなく、ベネッセミュージアムをスルーして地中美術館へ。
有名な草間彌生の黄色いかぼちゃも、バスの中からチラ見。
遠まきに見ると、群がっている人々の図がなんだかこっけいです。

 

地中美術館。
「クロード・モネは上野あたりの美術館で見られそうだから、地中美術館は諦める…?」なんて話も出ていたのですが、
上野じゃダメでした。クロード・モネの絵があるだけじゃない、すばらしい空間でした。

地中美術館は一切撮影NGなので写真で伝えられないのですが、安藤建築がとにかくすばらしい!
陽の差す影すら、建築の一部になっていて、時間差で建物の輪郭が変わってました。
建築もアートも統合的なものなのだと、ほえーと感動。

 

   

空が青くて、広い。

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島を離れる時間が迫りあたふたとさみしい気持ちが入り交じる私とはうらはらに、島は変わらずゆったりしてました。
たぶん、次に来たときも同じなんだと思います。そうであってほしいです。

 

 

フェリーを待っている間に食べた、塩アイス。うまし。
ふつうの塩スイーツは甘さの仲にほのかなしょっぱさだと思うんですが、
この塩アイスは、しょっぱいです。私はこっちの方が好き。

 

  

ゆっくりと、フェリーが港から離れていくのを眺めました。なんだか夢のような時間だったなあ…。

 

  

高松港付近で「ファスナー船が見えます!」とのアナウンスが。
ファスナー船はアートのひとつで、その名の通りファスナー型の船。
船本体がファスナーのつまみ部分で、通り過ぎたあとの波しぶきがファスナーのレール?部分に見えるのです。
甲板に人が押し寄せてましたが…あんまり見えず。

 

 

そうこうしているうちに、あっという間に高松港に到着。
 

 

 

「ん?あんなところにいきなりお城が!」と興味を持ってもらえたので、高松城へ。
玉藻公園内には入城せず、中堀まわりをぐるり。現存石垣が意外と保存されていていました。

 

これにて旅は終わり。とにかく笑った島めぐりでした!

 

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四国城めぐり&島めぐり-6

10月9日、いよいよ直島に発つ日。
もうこの2ヶ月でエピソードは語り尽くしたので、フォトギャラリー的にお楽しみください。

 

  
   

島へ渡る前に、早起きして栗林公園へ。
栗林公園はミシュラン日本の庭園ベスト5にも入る、日本を代表する回遊式大名庭園。
江戸時代初期に造られ、文化財庭園としては日本一の広さを誇る特別名勝です。

こちらの花園亭で、おかゆの朝食がいただけるのです。
水面に映る朝日がキラキラ。静寂と開放が入り交じる、凛とした感じ。
うどんもいいけど、おかゆもナイス。早起きっていいなあ、と思いました。

 

   

食後は庭園内をおさんぽ。
ハート型に刈られたつつじは女子スポット。私は出口に備え付けられたハタキの用途のほうが気になります。

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さて、ようやくこの旅のメイン会場、いざ直島へ!!
…と思ったら、なんと、フェリーが大混雑!
いや、混雑を予想してかなり早めに高松港へ行ったのですが、その人混みや想像以上。NHKもいたくらい。
ギリギリ次のフェリーの乗船券購入権を得たものの、それでもなーんにもない港で4時間待ち。
(このあとの人、直島には行けなかったんじゃないかしら…)

そこで、機転を利かせて、空席のあった男木島行きのフェリーに乗り込むことに。
直島に宿を取っていたおかげで、臨機応変な動きができました。

 
  
こちらは、高松からフェリーで20分のところにある女木島。
下船はせず、船上から港を見下ろす。鬼ヶ島?だそうで、鬼の銅像が島の入口に鎮座してました。
カモメがいっぱい!と思ったら、これもアートのひとつでした。
 
 
  
  
おだやかな海を見ているうちに、男木島に到着。
どどっと押し寄せる観光客をよそに、のんびり釣りをしている島民の方の姿に、まずはほっこり。
 
 
    
   
男木島は、面積1.37km、人口200人の島。
平地がほとんどなく、斜面に密集して民家が建ち並び、その間を縫うようにして細い路地が通っています。
 
 
 
左/ジャウメ・プレンサ「男木島の魂」 右/ 井村 隆 「カラクリン」
 
 
いいですね、こういう光景。こどものあそびば。
 
 
   
   
ジェームズ・ダーリング&レスリー・フォーウッド「ウォールワーク5 –カモ島からカモ神社へ–」周辺。 
 
「翌日に行けたらいいね〜」なんてのん気に考えていた男木島だけれど、実によかった!
石垣で埋め尽くされた島で、城メグリスト的にはもうコーフン。
 
 
 
左/アートの一部と勘違いしそうな、おじさんの帽子 右/谷口 智子「オルガン」 
 
 
  
  
西堀 隆史「うちわの骨の家」
 
 
  
これも「オルガン」の一部?リボンちゃんが懐かしい。
 
 
   
眞壁 陸二「男木島 路地壁画プロジェクトwallalley」
 
 
   
オンバ・ファクトリー「オンバ・ファクトリー」
 
 
   
  
谷山 恭子「雨の路地」
時間になると雨が降ります。これ、好き。
 
 
   
   
高台の豊玉姫神社は安産の神様。
まるで城歩きをしているかのような、石垣の路地がステキ。
 
みんなアート目的の観光客なので基本的に大騒ぎしている人はいないのだけれど、
普段は静かなんだろうなあ、こんなにたくさんよそ者が押しかけて、迷惑なんだろうなあ、なんて思って
ちょこっとお話をしたおばあちゃんにそれとなく伝えてみたら、
「たくさん人が来てくれてうれしいんよ。もうすぐみんな来てくれなくなるけん、さみしくなるねえ」と
ニコニコしながらおっしゃっていたのが印象的でした。
他を寄せ付けないことが基準のこの発想が、すでに私の汚れた都会人の心を表しているようで、
ちょっぴり恥ずかしくもあった瞬間でした。
 
 

島こころ椅子プロジェクトグループ「島こころ椅子プロジェクト」
 
 
   
左、左から2番目/漆の家プロジェクト「漆の家プロジェクト」 
3番目/高橋 治希「Sea Vine」、 北山 善夫「誕生─性─生─死─家─男木島伝説」などは40分待ちの大行列。断念。
右/北山 善夫「誕生─性─生─死─家─男木島伝説」の一部。
 
 
   
中西中井「海と空と石垣の街」コレ見たかったんです。
 
 
   
この<めおんバーガー>が尋常じゃなくおいしく、感動すら覚えました。
「モスにご当地バーガーとして持ち込んだら採用されるんじゃないか」とか
めおんバーガーの商品化について物議を醸し出したほどでした。
 
 
   
左、左から2番目/カフェでゆれていたオブジェ。
3番目、右/川島猛とドリームフレンズ「川島猛とドリームフレンズ」 まるいのは、想い出玉なんだそうだ。
 
 
最終フェリーが定員オーバーだったら大変、ということで、後ろ髪引かれつつも男木島を後にし、直島へ移動。

 

男木島の方のお手製たこ飯がおいしかったです。ビールもグビッとね(食べもののことばっかりです)。
 

 

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直島は大きく分けて3つのエリアに分かれます。ひとまず、家プロジェクトへ。
アプロプリエイトプロポーション 杉本 博司「護王神社」 は地下に降りられますが、60分待ち。
地上の姿だけ見て、あとはうろうろ。焼肉エビピラフなのか、ピラフ2種なのか考えながら…。
ほかに、須田 悦弘「碁会所」、千住 博「石橋/空の庭/ザ・フォールズ」など。  
室内の水のアート、Sea of Time’98(時の海’98)「角屋」が好きでした。(撮影NG)

 

  

期間限定のアートフェスとは関係なく、ベネッセミュージアムやら地中美術館やらもある、すでにアートな直島。
街並みとか、お宅のしつらいとか、区役所までなんだかステキ。
バスの中から見た小学校も、なんだかアート。この島出身の人、センスよさそう。
この真ん中の写真のお宅、本当にステキ!住人の女性も、上品で清楚で綺麗な方でした。

 

   
大竹 伸朗 / graf「はいしゃ」  
ここも大行列だったようですが、終了寸前にすべりこんだおかげで10分待ちくらいで見られました。
こまかいところまでなんだかユカイ。

 

  
宿のある宮浦港へ戻って、きれいな夕陽を見ました。本当に、キレイだったのです。
草間彌生のかぼちゃの中から見る、まあるく切り取られた夕陽もステキ。

 

   
直島でいちばん楽しみにしていた、直島銭湯I♥湯(あいらぶゆ)。
アーティスト大竹信朗さんの、美術作品であり、実際に入湯できる施設。夢で見たことがありそうな銭湯です。
デザイン・設計協力はgrafなんですね。
こんなに要素が多いのに、飽きがこないし、なんだか落ち着く。新しいのに懐かしい。
近代アート居心地ではなくて、お風呂屋さん、って感じがしましたよ。

混んでましたが、人数制限してくれていたおかげで、洗い場が足りないことはなく。
でも人が待機していると思うとやや急ぎ気味になってしまい、
タイルをひとつひとつ眺めるゆとりはありませんでした。
トイレもちょっと凝っていたみたいなんですが、見られず。
宿を出る前にトイレを済ませるという優等生的行動が裏目に出ました。残念。

タオルやらお風呂セットやら、いろいろグッズも購入して満足です。
 

宿泊は、居酒屋さんの座敷を部屋としてあてがわれるという、斬新な体験しました。
ある意味くつろげて楽しかったけど、無防備だったなぁ…。
「どこで顔洗うんだろう、シンク?」とか「もしかして、居酒屋の酒を深夜に飲み放題!?」などと
いろいろ考えていましたが、わりとちゃんと宿泊仕様でした。
Mさん、予約ありがとうございました!

 
*四国城めぐり&島めぐり-7 へ続く
 
 
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四国城めぐり&島めぐり-5

ここから、アートの旅に入ります。念願の、瀬戸内国際芸術祭2010!

初日の午後は、高松観光。
高松東京からやってきたデザイナーMさん&Sやんを、まるで四国人のようにお出迎え。

  

香川で行きたかったところのひとつ、イサムノグチ庭園美術館。イサムノグチ、好きなんです。

牟礼町は花崗岩庵治石の名産地で、ユネスコ庭園への作品素材にこの石を使ったことをきっかけに、
ここにアトリエを構えたのだそうです。
イサムが晩年に使っていたアトリエ、家を見学することができます。

その生い立ちから、いつも狭間の世界にいる感覚だったであろうイサム。
だからこそ、自分や世の中を常に客観的に見ていて、表現していたのだろうなあ、と。
終幕を受け入れていたのか、残りの時間から逆算するかのように、未完成を想定して仕上げていたりするんです。
自分に残された時間の中に、未来へのメッセージみたいなものがめいっぱい織り込まれているようで
なんだかホロリとくるものがありました。
撮影は一切NGで写真はありませんが、心のカメラにしっかりメモリー。

 

   

イサムのあとは、四国村へ。生姜をすっても楽しいお年頃です。
四国村は、数年後の行く末を心配せずにはいられない場所でした。
ひとつひとつの展示物はすごいんでしょうけれど、
なんの説明もオチもないので、まっったく価値も存在意義もわからず…看板ひとつあったら違うのになあ。
唯一楽しかったのは、かずら橋の再現。暴れて揺らして、嫌がられました。
 
 
 
 
ローカル列車を、ベンチに座ってのんびり待つ。ことでんのフォントがかわいい。
 
 
*四国城めぐり&島めぐり-6 へ続く
 
 
 
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四国城めぐり&島めぐり-4

2010年10月の旅、3日目のフォトギャラリーです。お城については、改めて<城ある記>でアツく語ります!

 

  

けっこう栄えている高松駅から徒歩5分。松城は、現在玉藻公園として整備されています。
ビジネスで高松に来た方なんかは気づかないのかもしれませんが(城好き以外気づかない?)、
駅近ながら、特長あるお城なので、立ち寄ってもらいたいお城です。
まず、琴電高松築港駅のホームに城がめり込んでいて、驚愕しました。
通勤の方がフツーに列をなしていることにも…

 

  
   
   

こんなに駅近に当たり前のようにあるお城ですが、日本三大水城のひとつなのです。
瀬戸内海の海水を外堀、中堀、内堀に引き込んだお城、つまり海に浮かんだお城、というイメージです。
天守閣は石垣の治療中。無事、元気になってほしいものです。

 

  
  

駅近のお城というと、復元された歴史的価値の低いものが多いですが、
高松城の月見櫓・水手御門・渡櫓はなかなかの建造物で、重要文化財にしていされています。
かつては水手御門まで海水が引き込み、船でつけていたのですね。
・・・というか、ドシャ降りで城内も浸水してますが…こんな日に来るのは私だけ。独占できました。

 

   
 

あんまりこういうことは書きたくないですが…月見櫓内の落書きの多さとレベルの低さにはドン引きでした。
私の城めぐり人生の中で、ワースト2位のがっかり度です。
ずーーと見ていたら、係の方が特別に石落としを開けてくださいましたが(ありがとうございました)
こうしてお城を守り語り継ぐ方もいる一方で…ただただ残念です。

 
  
  
ここで、通りすがりの父子の写真を撮ってあげたのですが、
記念写真を撮りたいお父さんに対して、小学2年生くらいの男の子は気乗りしなかったのか
めちゃめちゃふざけた顔をしていて、シャッターチャンスが難しかったです。
なんだか試されているみたいでおもしろかったです。
 
 
   
とくにウリにもしていないっぽい陳列館、なにげに見ごたえありました。年表も充実。
水城がなんたるかも、ジオラマを見るとわかりますね。
 
 
  
高松城そばの小学校の壁画。オリーブ(小豆島名産)がうどんの刻みネギに・・・!
 
 
 
*四国城めぐり&島めぐり-5 に続く
 
 
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四国城めぐり&島めぐり-3

2010年10月の旅、3日目のフォトギャラリーです。お城については、改めて<城ある記>でアツく語ります!
3日目は、今治城&丸亀城です(写真は丸亀城)。

 

  

今治城の特長は、全国でも珍しい海城であること。
海をそのまま引き入れていて、つまり堀の水が海水というわけです。
山や丘の上でなく、砂浜に城を築く。大胆な発想は、築城名手・藤堂高虎の天下一の名城ともいわれます。
瀬戸内海水運の要塞をおさえた、海陸一体の新しい城下町は、わずか2年で実現したとか。
藤堂高虎ファンにはたまらないお城でしょうね〜。

 

   

町割りがしっかり残っているので、イメージしやすい。外堀跡、中堀跡、内堀と、順を追って見られます。

 

   

うむ。野面積みでの石灰岩はかなり珍しい…!建物では、再建された鉄御門がミモノです。

 

   
  

天守閣は、本来の姿とは違うのでちょっと残念ですね。
本当は、飾りなどのないすっきりとした“層塔型”ですから(島原城みたいな感じ→ )。
本丸に神社があるという、不思議な敷地です。
天守閣内はなかなかおもしろい展示がたくさん!最上階から見るしまなみ海道、巨大な堀は圧巻です。

 

   

山里櫓へ向かう途中に、現存の石段を発見。城メグリスト的コーフンポイントです。

 

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今治で愛媛県に別れを告げ、香川県に入ります。
丸亀市にある丸亀城は、現存12天守のうちのひとつ。
“扇の勾配”と呼ばれる美しい石垣は、石垣の美の極み。石垣ファンには、もうたまらない名城です!

 

   
  
   

う〜ん、石垣好きとしては、もう言葉にならないので、
松山城に続いて解説を放棄(笑)。いずれ<城ある記>でじっくりと。こうご期待!

 

  
   
  

本丸からは、かつての外堀も見渡せ、二の丸方面もぐるり。月見櫓跡から見えるは、讃岐富士。

 

   
   

天守閣は、現存天守の中でも厳めしくて私は好きです。天守閣だけでも一見の価値ありかと。

 

   

 

  
  
   

私にとっては、まるでおとぎの国に迷い込んだかのような、石垣の世界でした(笑)
丸亀城は、「石の城」とも呼ばれる名城なのです。

 

     
   
  

さっぱり魅力がわからないと思いますが…現存天守であるほか、曲輪や縄張りも魅力的。
さまざまな時代の積み方が点在していることや、石垣の継ぎ足し、角石の加工途中の跡(←かなり貴重!!)etc.
とにかくたまらない石の城なのでした。

 

*四国城めぐり&島めぐり-4 へ続く

 

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四国城めぐり&島めぐり-2

2010年10月の旅、2日目のフォトギャラリーです。お城については、改めて<城ある記>でアツく語ります!

 

まずは、松山城。
もう、私は松山城云々の前に、松山が好きです。美しい街並みと、自然と文化財に囲まれて、見るものすべてが。
そして、人、空気、時間。人に例えていうなら、才能があるのに全然焦ってなくて、マイペースな人みたいです。
華やかなのに、落ち着きがあるんですよ。文豪達が愛したのも、なんだか納得です。

 

    
   

松山城は、もう言葉にならないすばらしさ。
21棟もの重要文化財を持つ、四国一最大の名城です。現存12天守のうちのひとつでもあります。
ダイジェスト解説がダイジェストにならなそうなので、<城ある記>で改めて。
言葉にならないので、説明を放棄。フォトギャラリーでどうぞ。

 

  
  
   

 

   
   
   

 

   
   
  
   

 

  
   
  

本丸はもちろん、二の丸を囲む登り石垣まで。語り尽くせぬお城です。

 

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松山城からほど近くにある、湯築城跡。
道後温泉のすぐそばにあり、道後公園として整備されています。
いわゆる天守閣のあるお城の前の時代のお城(中世城郭)です。

 

  
おそらくお城好きでなければ確実にスルーする遺構の展示を見つつ、ひと通りお話を伺う。
村上水軍(瀬戸内海の豪族)のお話を聞いたら…気になって気になって。
中世城郭も、派手さには欠けますがなかなかおもしろいです。
 
 
   
  
  
 
 

  
  

湯月城の貴重なところは、中世城郭にも関わらず、近世城郭の先駆けのようなつくりをしているところ。
大きな建物を見るよりも地味だけれど、
この時代にはまた違った奥深さがあって、当たり前ですが築城史もつながっています。ふむふむ。

 
 
  
すっかり整備された、道後公園。おさんぽにもよさそうです。
 
 
 
   

展望台からの夕陽がすばらしい!!
涙が出そうなほどの絶景だったのですが、無念のバッテリー切れ…ケータイカメラで撮影です。
まるで満月の中でうさぎが餅をつく図のように、
まんまるの夕陽の中に松山城天守閣のシルエットが浮かび上がるのを、ずっーと眺めてました。
路面電車が松山城へ向かってゴトゴト走っているのも、これまたよし。

 
 
*四国城めぐり&島めぐり-3 に続く
 
 
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四国城めぐり&島めぐり-1

ふぅ…もう2ヶ月が経ちそうですが。ザザッと写真だけ、フォトギャラリー的に。
お城については、改めて<城ある記>でアツく語ります!

1日目(10月6日)は、大洲城&宇和島城です(写真は宇和島城)。

 

  
   
   

まずは愛媛県大洲市の大洲城へ。
大洲城は初めて行ったのですが、「予想外によかった!」というのが正直な感想。
実は失礼ながら、そんなに期待をしていなかったのです。

肱川を見下ろすようにすっくと立つ天守閣、肱川の流れに沿って広がる城下町が美しい。
なにより、大洲の街全体が、とっても心落ち着きました。

城主はくるくる変わりますが、日本三大築城名人の藤堂高虎もそのひとり。
秀逸な城下町づくりが感じられ…もう少し時間をかけて散策したかったです。

肱川の鵜飼は日本三大うかい、とも言われるのだそうです。
ほかの名所と違い、かなり間近でそれを見られるのが特長だとか。
花火も上がったりと、観光でゆっくり訪れたい街でした。

 

   
   
  

大洲城の最大の見どころは、明治に取り壊されながら、平成6年に復元された天守閣。この復元がなかなか希少。
江戸時代に書かれた古地図、明治に撮影された写真のほか、
なんと、江戸時代につくられたと思われる作事方棟梁の木組模型が残っているから。
お城の図面や資料というのは基本的に残っていないので(敵にバレてはならないものだから)、
この棟梁の模型が残っているというのは貴重!
こうした貴重な資料のおかげで正確な復元が実現しているのです。
この事実は、築城史においても貴重なことだと思います。

 

  
  

肱川の遊覧船、電動ではなく手こぎ!
ギコギコ漕ぐ音と、ちゃぷちゃぷ水が波打つ音と、ゆらゆら揺れる振動がとても心地よかったです。
また、川の目線からの城がサイコーの景観美。
古民家もそのまんま。ときが止まったようなキラキラした街でした。

 
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大洲から特急電車に乗り、宇和島へ。
宇和島城より宇和島牛がウリらしい、宇和島(闘牛場があるそうですね)。
宇和島も、かつての街割りがそのまんま残っていて、けっこう街歩きが楽しいです。
伊達藩なので、仙台からの観光客も多いそうです。
ちょうど特別展を開催していた伊達博物館にも寄れました。
 
 

   
  

宇和島城は、現存12天守のうちのひとつ。
日本三代築城名人のひとり、藤堂高虎が6年を費やして築城したお城です。
天守閣は伊達時代のものと思われますが、縄張り自体は藤堂高虎時代の名残が残っているようです。
 
 
   
時代のところどころで補修された石垣が点在していて、石垣好きとしてはうっとり。
「幽玄の美」とパンフレットで表現されている通り、草蒸したうっそうとした感じが独特です。
 

 

 
   
  
宇和島城の天守閣は、お城ファンの間でも人気が高いのだそうです。
格式高くて、芸術的。細かいことはさておき、それは伝わりますよね。
珍しくて「ほう!」と思ったのが、3つの家紋。伊達家の家紋、上から「九曜紋」「竹二雀紋」「竪三引両紋」。
 
 

   
   

内部は、現存天守らしく?貫禄ありますね。最上階からの景観は、すばらしいです。
宇和島城は東側が水堀、西側は海に面した海城なのです。

 

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夕暮れ時は、遊子水荷浦の段畑に連れていただきました。
半農半漁の生活を示す文化的景観として、重要文化的景観の選定を受けているそうです。
このあと、段々畑の上から、瀬戸内海一面がピンク色に染まる絶景を見ました。

*四国城めぐり&島めぐり-2 に続く

 

城メグリスト

 

 

 

益子秋の陶器市2010

年2回の恒例行事、益子陶器市に行ってきました。
今回のお気に入りは、大皿&どんぶり。

大皿の作家さん、お名前を失念…。
はりめぐった細かいヒビが、クモの巣のよう。
白い釉薬がたまったところが、乳白になったりピンクっぽくなったり。焼きムラもこれまた味が出ていてステキです。
これにゴーヤーチャンプルを盛りたい(もう冬だけど)。

どんぶりは、水垣千悦さんの作品に一目惚れ。
なかなか大量につくらない丼、先月の「古いお盆、どんぶり、小皿、豆皿」展 → で作陶したものなのだとか。
かなりのリーズナブルプライスにうれしさ倍増です。

作家さんとお話できるのも、陶器市の大きな楽しみのひとつ。
専門的な技法より、思いとか、こだわりとか。好きを仕事にしている人は、輝いておられますね。

ミニサイズに続き2号を購入した原泰弘さんのすり鉢に合わせて、山椒の木でできたすりこぎも入手しました。
Mさんと2人、エアごますりでフィット感を吟味。相当怪しい2人だったと思います。

 


陶器に夢中で、なんだかよくわからない写真しか撮ってませんでした。
歩き疲れたら、だらだらビールを飲むのが楽しい。鮎の塩焼き、おいしかった♪だんごのイラストがかわいいね。
ちなみにトップの写真は、神社にあったのぼり。袖の柄が星。芸が細かい!

ただいま目止め中。明日が楽しみ。

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安藤忠雄さんの講演

世田谷区民会館に、安藤忠雄さんがやってきた!
1,000円で世界の安藤忠雄の話が聞けるなんて!ということで、行ってきました。

くだけて言わせていただくなら、ものすごーく気さくなおじさん(笑)。
実績や専門的なことなどひとっつも語らず、1時間30分も人の心をつかむ話ができるなんて、カッコよすぎ。
今安藤さんを支えているものは(少なくとも講演中のこの瞬間は)
建築家としての野心や芸術家としての追求ではなく、日本人としての愛と使命感と誇りなんだなあ、と感じました。

定めた目標に猛進するパワーで、日本人に勝る民族はいないのだそうです。
その能力を全員が活かそう、もう一度使おう、若い世代に伝えよう、という強いメッセージがありました。
全国の大学でボランティア講演をしているのも、おそらくそうした思いが根底にあるから。
ご自身も、ファイティングスピリットがありますね。タフで自由で攻撃的。いい意味で年齢不詳です。

人生なんてうまく行かないようにできている。
予定外のことにぶつかったときに、その都度方向を変えていくような柔軟性があるかないか。
柔軟に俊速に動けるかどうかは、判断力があるかどうかである。
では、判断力を養うにはどうすればいいか。
常に本物を見て審美眼を養い、そして自分自身で考える力を養うことだ。
・・・というようなことを、おっしゃっていました。
(ちなみに、序盤から「今のちょうど30歳を境に、それより下の若者はダメだ」とバッサリ。この境界線、納得…)

安藤さんほどのビッグネームでも(ビッグネームだからこそ)、プロジェクトは壁ばかり。
すんなり転換できるかが、モノを作り出せるかできるかどうかのキーなのですね。

広くものを見る目と深くものを見る目は、対極なのか、共存すべきものなのか。
最近うっすらと考えていたことについてもお話が。
安藤さんは、どちらも必要だとおっしゃっていました。(日本人には深く見る目が欠如している、とのこと。)
忍耐も好奇心のうちなのかもしれません。

先月行ったばかりなので、直島のお話がかなり興味深かったです。
「愉快になったり不愉快になったりしながら、己とはなにかを考える場所」。うーん、深い!
フシギな“自分探し”“自己啓発”がはびこっているような気もする今日この頃ですが、
こういう方のお話を聞いて、5分でも自分の頭で考えたほうが、よっぽど前進しますね。
他人のハウツーの受け売りで自分を探せるワケがない、っちゅう話です。

目的を持つ人生、最後までやり遂げることのすばらしさ。
当たり前のことができて、それをサラッと(&おもしろく)語れる、素敵な方でした。
「大きな建築物が心を動かすのではない。1本の木でも心は動く」。
私もそんな思考、発想、表現がしたいものです。

城メグリスト

イキウメ【図書館的人生vol.3食べもの連鎖】

@シアタートラム、観てきました。
うーん、好きです。前川さんワールドが。イキウメが。魂ゆさぶられちゃいます。

「なんで難しく考えちゃうんだろう?」「どうしてナナメにものを見てしまうんだろう?」
って思うことが誰しもあると思うのだけれど、
「だからこそ人間っておもしろいんだ」と思える世界を見せてくれるのが、前川さんワールド。

“食べもの”“連鎖”のキーワードで、こんな世界を展開してくれるのかー!
その創造力や表現力や構成力、私もちょっとでいいから欲しいなぁ…。

次回は【散歩する侵略者】の再演みたい。この作品大好きなんです。楽しみ!

終演後はおいしいお酒を飲みつつ、いろいろお話。充実した1日でした〜。

城メグリスト