京都
誰もいない二寧坂。
久しぶりに新幹線のABC席が埋まる光景を見ましたが、相変わらず観光地はガラガラでした。
お隣の方は、江戸後期創業、永治屋清左衛門(永井織物)の8代目。
永井織物は、高台寺に伝わる高台院の小袖、
お市の方所用と伝わる小袖などの復元制作もされていて。
小袖は平安時代からあるものの、表着として着られるようになったのは室町後期。
江戸初期には友禅染めや江戸小紋が登場するため、
実は武家の女性がこぞって着用した唐織などの製作時期は短いそうですよ。
へえー。
水と米と麹だけでできる日本酒に神秘すら感じるのですが、
経糸と緯糸だけで織りなす世界、絹の生み出す無限の美にも神秘がありますね。
違う世界の人の話はとてもおもしろい。
歴史や文化を扱う上で大切なこと、信念みたいなものを考える機会にもなります。
京都人と東京人にはデザインや色彩感覚に絶対的な違いがあると思うんですけど
(城の建物にも東西の違いがある)、
琉球の紅型や世界各国の織物の発祥や系譜を通して、
そんなところにも話がつながったのが今日はおもしろかったです。
袖を通すまでに、携わった人の時間や思いを感じ取れる、
それが着物の魅力だなと思います。
着るのものではなく、纏うもの。
値段や派手さではないところにこそ価値が見いだせ、
それに見合う人間でありたいと思わせる生命力があります。
「城組」設立の経緯
城組のこと、お祝いやら励ましやらお問い合わせやらうれしいです。
ありがとうございます!
ロゴ、すごく気に入っているので見てください。
頼れる理事のひとり、鈴木智博さんがつくってくれました。
設立に至るまでの、個人的な経緯を記しておこうと思います。
(まとまりない超長文なのでヒマすぎる人だけどうぞ)
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この10年、おかげさまでさまざまな経験をさせていただいて、いろんな景色を見ることができました。
ただ、城を取り巻く世界を自分なりに見てきた中で、
社会全体の認識を変えて価値観を底上げしていかないと、城を50年後・100年後に残せないと感じました。
城を興味を持つ人や訪れる人はかなり増えたけれど、それと未来に継承できるかどうかは別問題で。
むしろ、ちょっと危機的な転換期にきてるのではないかと思う。
*
すばらしいシンポジウムに登壇すると、壇上で誰よりも感動するし、客席の高揚感に心が震える。
しかしその一方で、もっとすべきことがあるのではないかと感じていて。
1000席が満席だったとしても、たった1,000人にしか伝えきれていないともいえるわけで、
見える景色がすばらしいほど心に引っかかるものがありました。
そもそもこの仕事をはじめた理由のひとつは日々朽ちて消えてしまう城をどうにかしなければと思ったからで、
それができていないことも一因だったと思います。
仕事を通して全国の城の状況や保存会の活動に触れてみると、やはり先細りしかなく。
どこも孤軍奮闘で、これでは心身ともに疲弊するばかりです。
その原因と対処法を考えているうちに、
情報やスキルのシェアといった「横のつながり」をつくるという私にもできそうな解決策があることに気づきました。
人と人がつながれば、もっとラクに楽しく活動できるし、悩みや問題が簡単に解決できたりする。
社会の構造や大きな流れは変えられないけど、
小さなしくみをつくることくらいはできそうだし、死ぬまでに数城は救えるかもと今は思っています。
昨今、眉を顰めてしまうような保存活動が増えているのも事実だけれど、
望ましくない方向だったとしてもそのバイタリティは賞賛されるべきものだと思うんですよね。
方法や問題点が理解できれば熱意が正しい方向に向くケースも少なくないと感じます。
聞こえないところで否定・批判していても何も生まれないけど、
道筋を示すことができれば軌道修正されるはずと信じたいです。
*
そしてそれを叶えるためにもやりたいのは、城で新たなビジネスモデルをつくること。
城の世界を明るく開放的にして、理不尽な思いをすることなく携さわれる人を増やしたい。
城は公共性が高いゆえ扱いが難しく、そんな概念や常識がそもそもない。
お金というと拒否感を抱く人もいるだろうけれど、経済をまわすシステムは絶対に大事。
お金が動くと、本気で取り組む「人」が増える。
プロまたはプロ思考の人が増えれば、その業界は確実に活性化していく。
プロもしくはプロ思考者がクリエイトできる、プラットフォームをつくりたいなと思っています。
もちろんとても難しくメリットもデメリットもたくさんあるけれど、
伝えるべきことをていねいに扱えれば、
遺跡を未来に残せる地に足ついたビジネスを必ず定着できると信じています。
自治体には自治体、企業には企業、強みと弱みがあって、
タッグを組めば驚くほど簡単にできることが山のようにある。
6年ほど前からシンポジウムなどで発言している
五位一体(自治体、企業、専門家、保存会、城ファン)を具現化したいなと思います。
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…ということを3年ほど前から悶々と考えていて。
2年前に自分の仕事を振り返るまとまった時間ができ、
1年ほど前に山城ガールむつみさんに話したところ意気投合した感じです。
…などと書いているとなんかすごいことしそうに思われそうですけど、たぶんたいしたことないです。笑
私自身がいろんな人に出会って、知らない景色を見たいだけ。
自分に足りないもの、やりたい仕事を叶えるために必要なものを補いたいだけだったりします。
6年ぐらい前から考えていながら、ようやく重い腰を上げた感じでもありますし。笑
とにかく、城と歴史はすばらしく、人と人がつながる先には可能性しかない。
なにかを成し遂げられなくても、私の人生は確実に豊かになるので全力で楽しみたいと思います。
その道のりで、素敵な人とたくさん出会えますように。出会ってください。
補足;
個人事業を法人化したわけじゃないです。
自分の道は確立して上を目指しつつ、個人ではできないことを別のスイッチでやっていきたいと思ってます。
なにかに寄りかからず、足跡がないところをひとりで歩きたいので。
今、私個人の仕事に関わるスタッフ・アシスタント募集はしてないので悪しからずです。
「日本100名城のひみつ」が5刷に
17冊目の拙著「日本100名城のひみつ」が5刷に。
ありがとうございます。
この前サイン会で、
小学生の男の子が抱きかかえてきてくれたのがうれしかった。
お孫さんへのプレゼントだからお孫さんの名前を入れてほしいとのリクエストも、
なぜか話しかけても答えてくれない30〜40代男性が行列に並んでくれたのもうれしかった。
大人のビギナーさんにもわかりやすいと好評です。
いつか、その方のタイミングで手に取ってもらえるように。
現地へ足を運びたくなったとき、背中をそっと押せるように。
この本に限らず、時事的な話題はなるべく取り上げず、流行に頼りすぎず書くことにこだわっている。
このやり方は爆発的なヒットにはつながらないけど、こうして細く長く売れ続けていくのは本望です。
山城ガールむつみさんとトークショー
しろうたカフェさんで、山城ガールむつみさんとトークショー。
むつみさんと人前で話すのは初めてだったのでやや緊張しましたが、
アットホームな雰囲気でお客様の視線があたたかく、楽しかった!
トークショー後の懇親会では振る舞い酒をし(むつみさんへのお祝いの品、岩村醸造さん「幻の城」)
強制的に城組設立を祝ってもらう会となりました。笑
1時間の予定だった懇親会は4時間に及びましたとさ。
城組のことを人前で話すのも初。
「楽しく歩いてきちんとつなぐ」という城組の事業理念を共感してもらえたことがうれしかったです。
我ながらすばらしいキャッチコピーを生み出したな、と自画自賛!笑
人とのつながりは人生の糧で、人の話す時間はこの世の宝。
口にすることで自分の譲れない理念みたいなものもはっきりするし、話しているうちに迷いの出口も見つかる。
今、質問されて答えられないことはない。
迷わず行けよ 行けばわかるさ
…と、私の中の猪木が覚醒した気分になりました。
もはや披露宴!笑
<一般社団法人 城組>を設立しました
2022年4月6日(城の日)、<一般社団法人 城組>を設立しました。
むつみさんと1年以上あたためてきたことが形になって、ひとまず感無量。
条件が合う人は探せばいるけど、思いをわかち合って一緒に歩ける人に出会えるのは奇跡。
設立にあたり、同じ方向を見てくれる人がいることが、
すでに私にとってこれ以上ない幸せです。
まだなにもしてないけど、ワクワクしかない!
そして、これから城組を通じて人とつながっていくこと、
その先にあるまだ知らない景色を見るのが楽しみです。
全力で楽しみつつ、しっかり地に足をつけて城の未来と向き合いたいと思います。
今日はむつみさんと2人揃って法務局に書類を提出し、
夜景のきれいなレストランでディナー。
…新婚さんの入籍日か!笑
来年の城の日は、ふたりで1本のローソクをふうっと消したいです。
今日はお腹も胸も頭もいっぱいなので、
また改めて個人的な思いやら経緯やら今後の展望やら、語らせてくださいな。
旅行読売臨時増刊「城LOVE旅」
月刊「旅行読売」で連載中の「城LOVE旅」が1冊の本に。
まだ連載中なのに、まとまってしまいました。
2017年12月号からの掲載記事のうち40記事を抜粋し、一部加筆訂正して1冊に再編集。
グラビアページは城郭写真家の畠中和久さんが華やぎを添えてくださってます。
2022年3月31日より、全国の書店で発売中。
見かけたらペラっとめくってついでにレジへ。
見かけなくてもノリでポチっとしてくださいな。
萩原さちこ×山城ガールむつみ トークショー
4月17日(日)16:00〜、山城ガールむつみさんとトークショーします。
…なんかこのチラシ、めちゃめちゃ恥ずかしい。笑
むつみさんと人前で話すの、初めて♡
半分はマジメに、半分はいつものおしゃべり感覚で。
なし崩し的に懇親会になだれ込み、みなさんと楽しみたいと思ってます。
お申込みは4月6日から、しろうたカフェさんへ。
ぜひお越しください。
姫路城のライトアップ
今日から兵庫。
仕事終わりの夜の徘徊が楽しいです。
天守のライトアップって、そんなにステキと思うものがないんですよね。
…と思っていたら、
姫路城では来年度、照明デザイナー石井幹子さんの手により一新されるそうで。
漆喰の白と古建築の造形美が活きる、シンプルなデザインだといいね。
にっぽん城まつり2022
にっぽん城まつり。
クリスグレンさんとのトーク、楽しかったです。
サイン会も満員御礼でとてもとてもうれしかったです。
(炭治郎の羽織を着たさとしくん、また来てね!)
昨夏、名古屋おもてなし武将隊の信長様と秀吉様が
有松鳴海絞りのマスクを着用していておしゃれでカッコよかったので、
私も今日は名古屋で仕立てた総絞り染め(きぬたや絞り)のお着物と帯で参陣。
有松絞りは、名古屋の有松・鳴海地域(桶狭間の戦いの舞台で知られる鳴海砦のあたりね)で生産される、
尾張藩に庇護された絞り染め。
名古屋城築城の際に豊後から技法が伝播したという説もあるんですよ。
尾張気分が高まりました。
帯飾は戦国魂さんの狭間根付をアレンジ。
かわいい。
(戦国魂さんブースに走ってくれた方、今日は置いてなかったみたいでごめんなさい!
ネットショップでご購入可だそうですー)
慶次殿(名古屋おもてなし武将隊)&お城くんと。
いろんな方にも会えて、声をかけてもらえてうれしかったです。
福井城址活用検討懇話会
2020年から委員を拝命している、福井城址活用検討懇話会の最終日でした。
本丸に建つ福井県庁は移転予定(2040年以降)。
移転後、オープンスペースとなる本丸をどう活用するか議論する会のひとつです。
駅から近くて、開発にはもってこい。
城跡って、人によってはただの余った空間なんだな。
そういうスタートラインに前のめりで立っている人に対して、理路整然と話をするのはとても難しい。
日頃お話を聞けない専門家や地域の方々のご意見は、貴重かつ新鮮なものばかりでとても勉強になりました。
狭いところで1点だけ見ていてはいけません。
「受け継ぐべきと伝えるのではなく、受け継ぎたくなる意識を育てることが大切」と。
目の前の小さなことをブラッシュアップして実行するのみ、です。思考のデザイン大事。
所詮こんなことを繰り返して歴史は積み重ねられ今があるのだから、
今の偏った価値観を押し付けるのは邪道なのかなあ、とぼんやり考えつつ…。
しかし言い換えれば、こういう場面で食い下がった人が歴史をつくることになる。
そのために呼ばれているわけで、そこの線引きは難しいなとも思いました。
…そんなことよりまず、この石垣なおしてあげたいよ。