城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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アーカイブ


ヨーロッパに渡った日本の紙

書や画を書き写すだけでなく、生活の中で幅広く使われてきた手漉き和紙について。
日本独自の紙文化の歴史について、学んできました。

千代紙については私は詳しくないのでわからない部分が多かったですが、
<折形>のお話はとっても興味深かった!
折形とは、贈答や室礼などの際に用いられた、紙を折って物を包む日本の礼儀作法の1つ。
隣近所の付き合いがまだ密だった時代は、お赤飯にごま塩包みを添えてお裾分けしたり。

ものを裸で渡すのか、包んでお渡しするのか。
「どうせ捨てるし、どっちでもいいじゃん」みたいな風潮がスタンダードになりつつありますが、
贈る心を形にする、というのは素敵なことですね。
それに、折形は、包むことによって贈り主のけがれや外からの悪意の進入をとめることができる、という
古くからの約束事に基づいているのだとか。
品格があるとか礼儀だとかではなく、思いやりの精神なのですね。

といいつつ、私もきちんとできているわけではないけれど、
理想として、気持ちだけは心に留めておきたいものです。
ちなみに、私はラッピングがけっこう好きで(母が得意だった)、
学生時代ラッピング検定を受けようとしたことがあります。

西洋にはない、熨斗という日本独特の慣習。文化って、やっぱり素敵だ。

本日の講師、和紙造形作家の大柳久栄さんがとても品のある方で素敵だったのですが、
折形のお師匠さんからの10年間の教えの中で
もっとも多くの時間を費やしたのは「平常心」なのだそうだ。
知識や技法の量を追求するのではなく、そこへ至るまでの道のりを重んじることこそ
伝統文化の粋であり、美の真髄なんだなあ、と思いました。

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のぼうの城、公開延期

お城ファンの間では物議が醸し出されているようですが…
お楽しみは1年お預け、ということで。
もう一度読み返す時間ができたと思って、気長に待つことにします。
小説ではありますが、そもそも話のベースは400年以上前の出来事なので、
1年くらい映像化が遅れても大差ありません(笑)

映像を見ていないのでなんとも言えませんが、原作はおもしろいですよ。
文庫化もされているベストセラーですから、読んでいない方はこの機会にぜひどうぞ。

こういう判断は難しいですが、そこに配慮があるなら、正しいのだと思います。


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くるりin武道館

くるり ニューアルバム発売記念ツアー
〜言葉にならしまへん、笑顔を見しとくれやしまへんやろか〜 
ファイナル in 日本武道館 に行ってきました。

うぉ〜!よかったぞ。
ブレーメンに涙。ばらの花、リバー、ハイウェイも。
CDよりLIVEがいいってすごい。

は〜、あっちちのち〜。お願いごと叶いそう♪

 

これはロックンロールin武道館2009。ロックンロールも好き。

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イキウメ【図書館的人生vol.3食べもの連鎖】

@シアタートラム、観てきました。
うーん、好きです。前川さんワールドが。イキウメが。魂ゆさぶられちゃいます。

「なんで難しく考えちゃうんだろう?」「どうしてナナメにものを見てしまうんだろう?」
って思うことが誰しもあると思うのだけれど、
「だからこそ人間っておもしろいんだ」と思える世界を見せてくれるのが、前川さんワールド。

“食べもの”“連鎖”のキーワードで、こんな世界を展開してくれるのかー!
その創造力や表現力や構成力、私もちょっとでいいから欲しいなぁ…。

次回は【散歩する侵略者】の再演みたい。この作品大好きなんです。楽しみ!

終演後はおいしいお酒を飲みつつ、いろいろお話。充実した1日でした〜。

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MONO+土田英生さんトークイベント

来月の本公演を目前に、過去の作品<きゅうりの花>をDVD上映するという、劇団MONOの新しい試み。
土田さんのトークイベントもあるとのことで、行ってきました。

私は土田さんの世の中を見る角度、それを表現する言葉が大好きなのですが、
今日のフリートークも炸裂していて、笑わせてもらいました。ざっくばらんさがたまらん。

日本を代表する劇作家・演出家さんだけあって、視点や感性が一般人に比べて独特というのもあるけれど、
きちんと積み上げてきた方のお話は、勢いや才能や夢だけで語らないので説得力があって興味深いです。
少し上の世代の方のお話は、適度にリアルでおもしろい。
ちょっと背伸びして、共感できる部分もありつつ。勉強になります。

会場は座・高円寺のB3にあるけいこ場の一室。
おとなりでは役者さんが稽古中で、そんな光景が見れたのも新鮮でした。

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誇り高きデザイン 鍋島

サントリー美術館で開催中の「誇り高きデザイン 鍋島」へ行ってきました。

「鍋島」とは、17世紀後半から鍋島藩窯で焼かれていた磁器のこと。
江戸徳川将軍家の献上品や贈答品としてつくられていた、高級品です。
ちょっと違うけれど、イメージ的には少し前の<宮内庁御用達>のようなステイタスのあるもの、とでもいいましょうか。

明治4年に廃止されるまで、江戸時代を通じて200年あまり続いた鍋島藩窯。
【肥前×唐津 陶磁器展 at 目黒雅叙園~酒井田柿右衛門&今泉今右衛門&中里太郎右衛門 の世界~】→ のブログにも書きましたが、
衰退の一途を辿った鍋島ではあるものの、
後継者の職人さん達が伝統工芸をなんとか継承させようと努力を重ね、さらに進歩を遂げ、現代にいたります。

 



※画像は鍋島窯、サントリー美術館HPより引用させていただいています。

1枚1枚の器すべてにストーリーが感じられて、まるで命を吹き込まれたかのよう。
繊細で格調高い世界、とはまさにこのことです。

「350年も前に、こんなにも美しい芸術があったのかー!」と、ただただ息を飲むばかり。
350年も前の日本人に、こんなに高い美意識、デザインセンス、ユーモア、繊細な技術があったなんて・・・!

お城を見ているときも感じることですが、
古き良きものには「同じ日本人なのだなあ」という安心感のような感動を覚えます。
もちろん進化してこそのものもあるのだけれど、根本の美意識は普遍なのだと思います。
もしかしたら、今よりももっと感性が高くて、研ぎすまされていたのかもしれない。
情報も事例も先進技術ないゼロの状態から、これだけのものを生み出しているのですから。

 

 
 
変わらない人間らしさ、といえば、17世紀後半の盛期につくられたという<色絵 桜柴垣文大皿> 。
桜の花びらがハートになっているのですよ。
それに、なんともまあ、かわいらしい赤色で。なんておちゃめなんでしょう!
思わずほっこりしてしまうような、本当に咲いているみたいなお花なんです。
これもお城づくりを見ているときに思うことですが、
人間って、いつも時代にも共通する遊び心みたいなものがあって、
ふと心あたたまったりするものって、ずっと変わらないんじゃないかな、と思います。
 
 
ジトメトリカルパターンのような近未来を感じさせるデザインもあれば、
北欧のテキスタイルのような素朴でやさしいものもある。
まるで景色をそのまま切り取ったような、空気感あふれる風景画もある。
染付けを基本とした、赤、緑、黄色の色絵。
ほんのりとした青磁釉が織りなすニュアンスも、とても素敵。
やさしいまるみやカーブなどのフォルムにまで、気品があふれかえっているから不思議です。
 
 
創造力をかき立てるような曲線使い、
墨の濃淡の使い分け、ラインの変化、細かすぎる柄模様に、夢中でギリギリまで近づく私。
5回くらい、おでこを展示ガラスにぶつけそうになりました(笑)
「この細かい模様の連続、MACだったらできるけど、手じゃ描けないよー!」と、
隣でデザイナーのお友達が言っていました。同じくおでこをぶつけそうになりながら(笑)
 
 
 
 
壷をモチーフにした作品が続いた時代の作品。
私はこの壷のまるみとか、陶器でよくあるヒビみたいな模様をモチーフにした感じとか、とても好き。
青磁もよーくみると濃淡があって、とっってもステキです。
この絵をモチーフにした手ぬぐいを購入したのですが、なんだかモダンになっているのがスゴイ!
 
 
たまに“参考作品”として鍋島以外の作品が2点並んで展示されています。
鍋島がモチーフを参考にしたり、鍋島が影響を与えたりした作品と比較する材料なのですが、
なるほどその違いは素人目にもわかります。
どちらがいいとか悪いとかではないのだけれど、
色、形、デザイン、バランスなど、すべてにおいてどことなく格調高くて、芯みたいなものもある。
老舗の誇りみたいなものも感じました。
 
 

 

 
現代における「色鍋島」の名門・14代今泉今右衛門氏の作品も展示されていました。
それはそれは、もう究極の美です。
「日本の伝統工芸って、ここまでハイレベルなんだぜ!!」となぜか私が誇らしく思えるほど。
もう、これはどんなに陶磁器に興味のない人でも実物を見たら「すげー!」と言うはずです。
写真のものではないですが、<雪花墨はじき雪紋皿>がやはり異彩を放っていました。
 
 
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サントリー美術館は、どの企画展も私の感度にピタリとハマる。
しかも、毎回充実の展示内容で、いつも時間が足りないのです。
今回も5件の重要文化財を含む、約130点もの作品がずらり!
だけれど、時間が足りないのは数が多いせいだけではなく、この美術館の展示方法にあると思います。
「技」「色」「構図」「モチーフ」に着目して構成され、それぞれ解説されていましたが、
この構成が整理されていてわかりやすく、鍋島の世界にぐぐっと引き込まれてしまうのです。
文様のお器の製作ステップの展示もとても親切で、すばらしさを伝えようとする心遣いを感じました。
下絵を転写し、筆で描線を描いて釜に入れて焼き、色彩をつけて仕上げて・・・
プロセスの理解とともに、職人の忍耐や技術の奥深さもじんわりと伝わってきました。
 
 
 
目も心も充実した展覧会でした。もう1回行きたいなー。
 
 
 
 
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Chara feat. 鳥山雄司“CAROL”@ビルボードライブ東京

 

敬愛するCHARAが登場するということで、人生初のビルボードライブへ。
ギタリスト鳥山雄司さんを迎えての、2日間かぎりのスペシャルライブです。

ビルボードライブのしくみがわかっていなくて、もう、行く前からドキドキ。
イマドキの都会のシステムは進化しているのですなあ。

 

   

席についてまず、会場の狭さにビックリ。
もう、ステージそこじゃーん!!!
かれこれ15年近くCHARAのライブに通い続けていますが、
どんなに狭いライブハウスでも、いまだかつてこんな至近距離で生歌声を聞いたことなんてないわー。

 

 

開演までは時間があるので、ひとまずビールでカンパイ。
Oh!スーパードライがこの価格!有機野菜のバーニャカウダもご立派プライス!もう、庶民はビックリです。
というか、まず「1人1品頼んだほうがいいかな〜」というのが庶民発想(笑)

おいしいビールを飲みながら、すぐそこでCHARAが歌っている!
こんな贅沢があっていいのか、というくらい夢の空間でした。
ブルーのライトに浮かび上がる、幻想的なCHARAの姿。心に響く歌声に、思わず涙。

「最近歌っていない曲をやりたかった」との言葉とおり、ファンにはたまらない名曲がずらり。
タイムマシーン、ミルク、FANTASYがとくによかったな。ラストはデビュー曲のHEAVEN。
いつものバンドメンバーより年齢の高いバンドということもあるのか、落ち着いたムードで、それもまた心地よく。
とてもやさしくて、心に染み入るようなライブでした。

白いふわふわのドレス&ヘッドピースのCHARA、とってもかわいかった〜。
CHARAって、自分の空気をつくりながら、自由にしてしまう、魔法をもっている人なのですよね。
自分のスタンスみたいなものをちゃんと持っていて、後ろも横も見るけど、ちゃんと前も見る。そんな気がします。
いつも深くて潔くてピュアな愛を持っている女性。包容力があって、とってもキュート。憧れです。

 

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感動!足立美術館

終わったと見せかけて、まだ続いていた島根ネタ。
どうしても立ち寄りたかった、安来市の足立美術館。
月山富田城から車で10分くらいのところにあります。
月山富田城には人ひとりいなかったのに、足立美術館には観光バスが何台も(笑)!
いまや出雲大社と並んで島根県の観光名所になりつつあるようです。

 
7年連続庭園日本一で有名な、足立美術館(つい先日、2010の日本一に選ばれ、V8達成)。
同じ庭なのに、見る角度によってがらりと変わる景色。
「庭園もまた一幅の絵画である」という足立全康さんの言葉の通り、
まるで空気を切り取ったような見事な景観にうっとり。
山や空を取り込んだ借景も見事で、すっかり時を忘れてしまいました。
 
 
 
美術館入口と、入口横の歓迎の庭。もう、入口から四季を感じます。
 
 
 
苔庭。苔を主体にした京風の庭園。ゆるやかな曲線を描いた緑の苔と、白砂のコントラストが美しい。
 
 
 
奥には<寿立庵>というお茶室が。
 
 
創設者、足立全康さんの銅像。安来市出身の実業家で、昭和45年、71歳のときに足立美術館を開館しました。
横山大観、北王路魯山人、河井寛次郎などの数々の展示物は、全康さんのコレクションなのだそうです。
庭園日本一の石碑。センターのプレート、今ごろ“8年連続”に差し替えられているんでしょうか(笑)
 
 
 
こんなふうにいろんな角度から景色を堪能することができます。
 
 
 
足立美術館の主庭、枯山水庭。
中央の立石は滝をイメージし、そこから流れる水がやがて大河になる、雄大な山水の趣。
 
 
庭園は、かなり手入れが行き届いています。
足立美術館では、なんと7人の専属庭師や美術館スタッフが、毎日手入れや清掃を行っているそうです。
奥に見えるのは、鶴亀の滝。人工の滝だそうです。
 
 
 
秋の紅葉、冬の雪化粧。さぞかし素敵なんだろうなあ、と四季折々の姿を想像していたら、ポスターが(写真/左)。
思わず見入ってしまいました。
庭園のすぐ横にある喫茶室<翠>、明るい陽射しが差し込んでいました(写真/中)。
 
この庭園のベスト景観ともいえる、生の額絵(写真/右)は、トップの写真のように見るのが正解。
窓がそのまま額縁になって、まるで琳派の絵を見ているよう。
さっき見ていたはずの枯山水庭が、違う絵となってバランスよく収まっています。
芝生の稜線がとてもきれい。
 
 
 
通路まで、情緒的。
 
 
 
池庭。鯉がたくさん泳いでいて、なんだかのんびり。
 
 
生の衝立(写真/左)と、自然の額(写真/右)
歩き疲れて座った視線の先にも、違う景色を提供してくれます。
 
 
生の掛軸。床の間の壁をくり抜いて、あたかも一幅の山水画がかかっているかのように見えます。
 
 
 
白砂青松庭。
横山大観の「白沙青松」をイメージしてつくられた庭園なのだとか。
白砂の丘陵には、右に黒松、左に赤松を配した対象美。
私はこの景観がいちばん好きです。とくに、配された平たい石と、小石のさざ波が(写真/中)。
 
 
 
美術館の2階から、月山富田城が見えました!!
 
 
 
2010年10月29日には新館がオープンするそうです。
ますますたくさんの人でにぎわいそうですね。
私も月山富田城リベンジの際に、また立ち寄りたいと思います(笑)!
 
 
 
<日本全国城ある記>月山富田城、アップしました!
 
 
 
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ブリューゲル版画の世界

【ベルギー王立図書館所蔵 ブリューゲル版画の世界】@bunkamura ザ・ミュージアムを観てきました。

私は版画もキリスト教も西洋美術もブリューゲルもまっっったくの無知で、 
感想を述べるレベルではないのですが・・・。

「スミ1色の濃淡、1本の線で、ここまで表現できるんだぁ〜」とまずはベタに感動。 
だって、日本では織田信長が桶狭間の戦い(1560年)とかしてる頃ですよ。 
日本が群雄割拠しているとき、はるか海の向こうでは豊かな発想と思想が飛び交って、 
こんなすばらしい芸術作品が次々と生まれていたのですねえ。 
そりゃ織田信長も南蛮文化を取り入れますよ。

 

・・・と話が逸れましたが、 
ブリューゲルの版画には諺やちりばめられていて、いわゆる風刺画みたいな作品のオンパレード。 
ヘンなイキモノがうじゃうじゃ登場します。 
まるで百鬼夜行の妖怪みたいなのだけれど、これがシニカルでおもしろい!

バックボーンがわからず、諺の裏側は「?」だらけだったけれど、 
作品の向こうに人々の生活や考え方が見えて、ドキッとしたり、ほのぼのしたり。
風景画もステキだったけれど、<第4章 人間観察と道徳教訓の世界>がよかったかな。 
ジャンルを問わず、人間描写みたいなものが私は好きなのです。

ブリューゲルさんという方は、 世の中をまっすぐに、誠実に見ていたんだろうなあ、と感じました。 
ヘンな生きものたちはグロテスクだけど、なんだか愛嬌があって、キモかわいい。 
そのキモかわくんが自分の中にも住んでいるから、親近感がわくのかもしれませんね。 

こちらで、いくつかの作品をズームアップしてみることができます→click!

 

 

ピンポイントのお気に入りは、<第5章 諺を通じて知る「青いマント」の世界>の《大食》。
作品の中に、自分のビール腹をリアカーに乗せて歩いているコビトがいるの。かわいい〜(笑)!!

 

・・・と、なかなか奥深いブリューゲルの世界を、私なりに楽しんできました。
版画や西洋美術に詳しい方に、いろいろ聞いてみたいところです。
8月29日までやってますので、ぜひ。
 
 
 
ただし!!! この美術展、時間と体力と集中力があるときに行ってください。
細部の描写がポイントだけに、ささっと全体を見て、気に入った作品をじっくり・・・とはいきません。
舐めるようにぐいーっと近づかざるをえないので、1作品に滞在する時間もおのずと長くなります。
(40もの諺が隠れちゃってる作品なんぞは、さあ大変!)
ギャラリーもけっこう多く、エネルギーが必要ですよ(笑)
 
 
 
入口で渡されるリーフレットもかわいいのだ。
 
 
サイトも凝ってます。一読してから行くべし。→click!
 
 
 
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