城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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江戸城外堀跡溜池櫓台

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一昨日のお話。虎ノ門でお打ち合わせを、ということに。
「江戸城外堀跡溜池櫓台で待ち合わせしましょう」と言われ、テンションが上がる私!
一方、場所がすんなり通じて喜んでくれている風な先方(笑)!
こんなところで待ち合わせする人は誰もいなく、久々なのにすぐ会えました(笑)
で、お会いして早々にしばらく江戸城の石垣談義に華が咲く(笑)

都外の文化財担当の方だったので、
地域ごとの文化財保護の違いや行政のお仕事のお話なども少しうかがえて、
なるほどと興味深く聞き入ってしまいました。
なにか大きなことができるわけでもなくヘンな使命感があるわけでもないですが、
城ファンとして、都民としてもできることはあるなあと胸の奥底の一部をじんと熱くした次第です。

東京はビルや道路で遺稿など破壊され尽くされているように思えますが、
実はそうでもなく、部分的ではありながら意外と保護されているのも特徴。
人口が多く予算があるせいか、町を歩いていても、
よくよく見ていると案内板や説明コーナーは地方に比べて充実しているんです。

 

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江戸城外堀跡溜池櫓台だって、実は国指定史跡なのよ。
(江戸城外堀の隅櫓はほかに筋違橋門と浅草橋門だけにあり、
現存するのはこの溜池櫓台の石垣だけです)

 

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虎ノ門駅構内にも立派な説明パネル付きのガラス張り展示スペースがあるし、文部科学省新庁舎連絡通路内にも
これまた説明パネルを設置した、わざわざ半地下状の通路にした展示スペースがある(さすが文科省)。
よくよく見たら石垣には矢筈の刻印がたくさんあったりして、それだけでもけっこうな遺構と思います。

 

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こちら文科省の石垣見学専用?コンコース。

 

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ほか、国立教育会館があった場所にも少し残っています。

 


ここで強調しておきたいのは、断片的に残っている遺構に一喜一憂しているのではない、ということ。
貴重だから部分的に保護すべきだとかその希少性に注目してほしいとかではなくて、
重要なのは、これらを辿っていくと、外堀通りに破壊されながらも外堀のラインがうっすら見えてくる、ということ。
つまり、現在でもかつての東京が息づいていることに意識を傾けて知ることが大切なんじゃないかと思います。
時代は流れていくものだから都市化がダメとはいわないけれど、
こういった姿に意識を向けようという気持ちと理解が少しでもあれば、
いくら便利だからといってむやみに道路はつくったり安易に電車を通すという発想にはいたらないはずだと思うのです。

 

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虎ノ門駅の11番出口のエスカレーターの壁面、
よく見ると外堀の堀底と水面を壁面のタイルの色で示してくれてます。
壁のデザインと見せかけてこういう活用はいいですよね。
しかし、これに気づく人はほぼ皆無。写真を撮っている私を不審な目で見る人率95%(笑)
興味を持てとはいわないけれど、なんだかもったいないなあと思いました。

特別展「軍師官兵衛」&関連講座

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江戸東京博物館で、2014年NHK大河ドラマ特別展「軍師官兵衛」、そして
えどはくカルチャー 展覧会関連講座(全3回)が催されています。

展覧会関連講座
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①秀吉の中国攻めと官兵衛の活躍
太田浩司先生(長浜市長浜城歴史博物館副館長)
②黒田官兵衛の出自
渡邊大門先生(歴史研究家)
③豊臣政権と小田原合戦
齋藤慎一先生(江戸東京博物館学芸員)
ーーーーーーーーーーーーーーー

まず、先週は太田浩司先生が長浜からいらっしゃるというので勇んでゴー。
とてもおもしろかったー!
古文書が読めない素人な私にはものすごい書状もほぼ暗号にしか見えませんが、
こうして解説してくださると、その世界にぐいぐい引き込まれます。
読み解けずとも、自分でなにかを感じたくなるものですね。

こういったものを読み解けたり、ほかの古文書と比較できたりすると
歴史の混沌としたところが浮かび上がってくるのだなあ、と
講演を聞きながらわくわくしました。

長浜と官兵衛の関わりや地元ならではのお話はもちろん、
黒田氏家臣連署起請文のお話などは、こういう場でないとなかなか聞けないので興味深かったです。
つい最近まで「重要そうな書類なのに裏紙を使っているのか?
はたまた文字と一緒に絵も描くのか?」などと思っていた無知な私ですが(笑)、
誓約に背けば神仏の罰を受ける、という意味で護符を料紙とするのですよね。
展示されている起請文のひとつは
石清水八幡宮で発行された牛玉宝印が版刻された料紙の裏を使っているそうで、
それからまた別のものは、
地蔵菩薩・不動明王・毘沙門天を配した木版刷りの護符を3枚貼り継いだものなのだそう。
そういうとことに気をつけて展示をじっくり見てみるといいですよ、と。

なぜ複数の起請文があるのか?というところは
タイムアウトで聞けなかった…気になります。。。

それから、今回展示されている秀吉直筆の書状について、
字の特徴のお話などもふむふむとメモ。
素人には言葉の端々に隠された思いみたいなものは読み取れないけれど、
文章には人となりが出るもので、それは書状も同じなのだろうから、
それができるようになると楽しいのだろうなあ、と思いました。

そして昨日は、渡邉大門先生のご講演。
渡邉先生のご著書は執筆の際にも参考にさせて頂いていたので
その中で疑問に思っていたことなども詳しく聞けたのがよかったです。
ご講演を聞くのは久しぶりでしたが、
お話のテンポがよく言葉もやわらかいので、やっぱり聞きやすかったです。

で、ご講演の後は展覧会へ。
…閉館まで時間を捧げてしまった(笑)

太田先生のお話を思い出しながら、
起請文をじーーっと見て、秀吉や官兵衛の筆跡に注目。
小田原攻めの宣戦布告書が異常に長くて、文面から秀吉のねちっこい一面と戦略を垣間見たり。

「圧切長谷部」はいませんでしが、
同じく国宝の太刀「日光一文字」がいて、心躍りました。法螺貝もいた(笑)
小田原攻めの開城シーン、大河ドラマではクライマックスっぽいので
どんなふうに描かれるか楽しみです。

昨年(一昨年?)発見された
賤ヶ岳合戦に官兵衛が参戦していたことが明らかになった秀吉の書状も。
長浜城歴史博物館まで見に行きたかったけれど行けなかったのでうれしかった!
お隣には、秀吉の大坂城築城石持淀書もありこちらも感動。

城好きとしては、三木合戦図に釘付け。部分ごとに図解してあって、物語みたいで楽しめます。
江戸時代に書かれたものなので、三木城には立派な五重の天守が(笑)!
ということは、江戸時代の人もお城=天守、と思っているということですね。

それから、中井均先生の論文にあった通り、
朝鮮出兵時の秀吉の書状に「機張」は「くちやん」と書かれていた。
それくらいは、私でも解読可能(笑)!うれしかったです。

ひとつ疑問が残ったのは、
九州攻めの際の官兵衛と小早川隆景の連名の書状。
なぜ、官兵衛のほうが署名が先なんでしょう?
(起請文も順番になにか規則や法則があるのか気になった)
格でいうと、小早川隆景のほうが上だし、年も上。
そういう順番のルールってなにかあるのでしょうか。。
単純に、内容として官兵衛メインだからなのかしら。
今度どなたか先生にお会いしたら聞いてみよう。

忘れないように

最近は本を書いたり人に話す機会も増えてきて、
それがきっかけで改めて学び直せて勉強になります。
が、改めて勉強し直すと疑問がわいて、根本的なことほど追究しだすと難しい。

昨日、自分なりに調べはみたがわからないことがあって
ご多忙と知りつつも思い切って中井均先生にメールで質問したところ、
すぐにお返事をくださった上、お電話で補足説明までしてくださいました。
こういう方がいるから私みたいなのが成り立つし、
もっとハイレベルな質問ができるようになろうと思うよね。

それにしても、
「その調査の詳細は30年前に刊行された○○○○の第8号に載ってるよ」と言われびっくり!
1号から10号くらいまであって、でも今日質問したことは8号に載ってるのだそうだ。
…よく覚えてるなあ!

しかし、30年前に発表されていることを知らんとは、まだまだ私が勉強すべきことは多いな。
明日、国会図書館に行ってみよう。

以上、今日のいいこと。

ブルーインパルス!

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撮影大失敗!

さよなら国立。さみしいですね。

献杯

震災後のボランティアでご一緒した方が急逝しました。

私は基本的に自分で見聞きしたことしか信じない。
だから、自分の目で確かめるまでは信じるまい。…と思っていたけれど、
ボラ仲間が喪服を着ていて、現実にお通夜が営まれていて、
ああ本当なのだなと思いました。

とても元気な人。健康かどうかではなく、
なんというか生命力にあふれた活気のある人だったので、どうも信じられない。

そういう大がかりなドッキリもしかけそうな、
いたずら好きな少年のようなイメージ。
だから、その姿を前にしてもまだ、
むっくり起き上がって驚かせてくれそうな気もしたし
お通夜後にみんなで集まっている席でも、
そろそろ登場しそうだな、とふと思ってしまった。
でも、起きなかったし来なかった。

私は継続的には東北へ足を運べなかったけれど、
その人は何年も足繁く通い、もう地元の人なのかというくらいでした。
だからそんなにたくさんご一緒できたわけではないのだけれど、
密度とか回数とか関係なく、
私にとっては印象に残る人だったし、人間味のある魅力的な人だったな。
うしゃしゃしゃと常に笑っていたけれど、
ボラ先で同じ部屋に雑魚寝したことがあって、
翌朝、その町がとりあえずの対策で積んだ瓦礫の山を見ながら
「なんとかしなきゃね」といつもと違う顔でつぶやいていたのが印象的でした。

人は、ある日突然いなくなるんだな。

ありきたりだけど。
当たり前のように生かされていることに感謝して、毎日を大切に生きよう。
そして、会いたい人に今すぐ会いに行きましょう。

ご冥福をお祈りいたします。

2014春の益子陶器市

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益子陶器市に行ってきました。

春夏の恒例行事にしたいところですが、気づけば2年ぶり。
お気に入りの作家さんの作品を見て、掘り出し物を探して。たのしい!

歩き疲れて青空の下でビールを飲むのがサイコーなんですが、
前日の過剰すぎる飲酒により、私としたことがノンアルだったのが心残りです。
ワイン、2本は飲んでないけど1.5本は飲んだな…そりゃ残るな。

 

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写真は、寺門広気さんという作家さんの小皿。
手前のイラストは大坂城とのことだったので、購入してしまいました。
絵付けや釉薬のかけ方などなど、いろいろお話ししてくださるのでいつも楽しいです。

私はお城好きであることをあまり自分の口からは言わないのですが、
「以前も、お城が描かれたこのサイズのお皿買ったんですよ」というお話から、そんな話題に。
「城好きから見ると、この大坂城はどうですか?」という質問に
「五重だとよいと思います。大坂城の天守は五重なので」とお答えしたところ
…ちょっとショックを受けておられました(笑)
調子に乗って、「地面に直接建てられているので、石垣の上に乗っていたらよりリアルかと思います」とも。

「そうですか!今度いらっしゃるときはもっといい城を描いておきます」ですって。
次回が楽しみ(笑)

 

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・白い器を買わない
・大きめの丼を買う
・大きめの中鉢を買う
・片口を買う
という希望も叶い、いいお買いものができました。
煮沸も完了。盛るものの精度も上げるよう心がけつつ、大切に使います。

ベトナムの旅2014

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14年ぶりのホーチミン・ミトーへ行ってきました。
缶ビールが34円のステキな国。ベトナム料理LOVEにとってもたまらない。

 

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南国なのに、南国好きではない私が落ち着けるのは、
どこかフランスの風が吹いているからなのでしょうか。
別にフレンチテイストが好きなわけでもないですが、エッセンスが入り交じる世界には惹かれる。
建物も天井が高くて、抜け感がある。
ちょっとしたデザインや配色、空間のつくり方がとても好きです。

トップの写真は、ベストショット(笑)
ここのわんこはやさしい顔をしてる。

 

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14年前に訪れたとき、「前世はベトナム人かもしれない」と思ったくらい、しっくりなじんだ都市。
ベトナム戦争が集結したのは、1975年4月30日で、
南北統一され現在のベトナム社会主義共和国に改名したのは1976年。
つまり私と同い年なのです。
1975年4月30日、解放戦線旗を掲げた戦車が大統領官邸に無血入場を果たした映像は
数年上の世代の方であれば、昔の出来事ではなく、テレビで見たリアルタイムな光景のようです。

わずか24歳なのに活気に満ちあふれていて、とくに女性の強さを感じた都市。
そのときの私は、ちょうど最初に就職した会社を退社した直後でした。
そんな状況だったこともあり、自分の足で立つことを教えてくれた気がしたのです。
だから、ちょっと特別な場所ですね。
 

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14年後の感想としては…少し商売慣れしちゃっていたりとさみしい一面もあり。…女性が強くなりすぎていた(笑)
もっと殺伐としていた記憶がありますが、ずいぶんと先進国になっていました。

ミトーへ向かう途中の、サイゴン川と平行する立派な2車線の道路も10年前にできたというし、
ミトーへは4年ほど前に高速道路ができ、かなり様子が変わってました。
さらには、なんとメコン川に橋がかかっていて驚き。
ジャングルクルーズも、あんまりジャングル感がなかったな。

 

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1台たりとも街中でシクロを見かけなかったのはショック!
14年前は根切り交渉しまくり、あらゆるところへシクロで乗り付けたのになあ!
新旧の旧の部分がなくなりつつあり、ちょっぴりさみしかったです。
建物も、古いものはだいぶ減ってきていました。
ビルと古い家屋がごちゃ混ぜになってフシギな感じも、あと数年後にはなくなってしまうのかもしれません。

 

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ベトナムは色がいい。雑貨やサンダル、バッグなどいろいろ買いました。
バッチャン焼きは見送り。
スーパーではバインセオの素やフォーやライスペーパー、調味料などの食材も激安で購入。
30度以上の猛暑のなかで生肉や生魚を売っているのが日常的のようでしたが…食中毒にはならんのでしょうか。慣れ?

 

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私は歴史が好きなのだけど、決して年表を追うのが好きなわけではない。
歴史というのは過去の切り離された出来事ではなく、現在と並列に存在するものだ。
今この瞬間も、1秒後には歴史になる。
そうした刻一刻と動く状況や情勢のなかで、人の感情が動いたり変わらなかったり、
瞬間のうちにいろんなものがうごめきぐるぐるまわって、新しい明日と新しい歴史をつくっていく。
つまり、歴史を気にするということは、今と向き合うのと同じこと。
私は、その歴史というものを、絡まった糸をほどくように解読していったり、
糸の先っぽや端っこを引っぱってみたりするのが好きなのだ。
そして、これは城が好きな理由でもあるけれど、
そこに普遍のようなものを見つけるのが楽しいし、生きている意味をちょっと見出せた気がして安心する。

海の底に潜っていくように事実を探るような作業ではなくて、
自分自身と第三者として対面して、必要であれば常識や感覚をちょっとだけ軌道修正したりするような。
よく、旅は自分探しだとかいうけれど、それとも少し違う気がする。
発見したり改めて気づいたり、というよりは、とぎすます感じに近いのかも。

だから、その場所に立ったときに一瞬だけ見えるようなものを表現したいという気持ちになる。
それは歴史がどうこうとか、やれ食べ物がおいしいとか、何が便利とかどこへ行ったとか、
一方的な情報の発信ではなくてね(それも場合によってはやるけれど)。
誰かがどこかで思いついたり綴ったりするものじゃないものをつくりたい。そういう仕事がしたい。

そんなことを、14年前とすっかり変わったミトーへの車窓からの景色を眺めながら考えていました。
その風景の写真、1枚もないけどね。

 

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…こうして語るとものすごく哲学的な旅をしているようですが、
こんなことを考えたのは旅行中のほんの15分ほどです。
とにかく暇さえあればビールを飲み、笑ってしゃべってはしゃいだ旅でした。

 

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ところで、今回は行きませんでしたが、戦争証跡博物館はオススメです。
ベトナム戦争の傷痕を展示してある博物館です。
見るべきだと思うけれど、いわゆる悲惨な画像や血が苦手な人はNGです。

今となってはおもちゃのように屋外展示されている戦車や戦闘機のほか、
銃口を突きつけられた女性をはじめとした、戦火の悲惨な写真やパネル、
枯れ葉剤の影響で朽ち果てた様子とその被害の記録、
枯葉剤の影響で奇形になってしまった胎児のホルマリン漬けまで。
たしか、落とし穴で毒針が体に刺さるしくみの見本なんかもあった気がします。
目を覆いたくなるような、かなり狂乱に満ちたショッキングな内容でした。
亡くなった兵士の数よりもはるかに多い犠牲者がでているという事実は、知っておくべきだと思います。

戦場カメラマン沢田教一さんがピューリッツァ賞を受賞した
「安全への逃避」は、たしか教科書にも載っているもの。
教科書に載っているとつい忘れがちですが、本当に最近の出来事なんですよね。
博物館には、一ノ瀬泰造さんの弾丸が貫通したニコンFの写真もあります。

かなり重い気持ちになりますが、たしか出口の売店に
ベトナムの子供たちが書いた戦争と平和の絵がハガキになったものが置いてあって、
それに本当の平和を感じたのを覚えています。

ちょっとベトナム戦争のことを知りたくなったので、調べてみようかな。
映画は「シクロ」や「夏至」なんかも、今さらだけどもう1回観よう。

江戸東京博物館「大江戸と洛中」

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江戸東京博物館 開館20周年記念特別展 大江戸と洛中~アジアのなかの都市景観~
に行ってきました。

江戸時代において、江戸が国際的にどんな都市だったのか、という視点は新鮮でした。
いつも狭い視野で見がちなので…(笑)
著書「戦国大名の城を読む」でもちょこっとだけ触れましたが、
海外に対して閉鎖的と思われがちな江戸ですが、
実は識字率をとっても世界的に高水準で、西洋の大都市と比較してもかなりの発展都市なんですよね。

アジア都城制とよばれる伝統的な都市づくりについての展示もわかりやすく、
その都市構造に影響を受ける江戸と洛中(京都)の比較、
東アジアの中の都市として見たときどんな特徴があるのか、
というところの対比はとてもおもしろかったです。

江戸時代の日本は世界をどう意識していたのか、
逆に、世界からどう認識されていたのか。
北京やソウルの系譜をひいた京都、
武家による画期的な都市づくりがされた江戸、
しかしそのなかでも神社や墓域の造営からアジアの都市との共通点があること。
そんなところも読み解ける展示になっていました。

やはり、江戸城関連の展示に食いついてしまいました。
モンタヌス『日本史』の「徳川幕府貢物献上之図」、「江戸城御本丸惣地絵図」、「四時勝景図」など。
パネルにも採用されている、寛永天守を描いた狩野尚信の「武州州学十二景」はやはりぐっときました。
信憑性のある史料としてではなく、当時の情景を彷彿させる手がかりとして。
あと、「江戸城御天守百分壱之建地割」のような図面もあるのだなあ、とか(もちろん実際のものかは謎)。
もちろん、重要文化財の旧江戸城写真ガラス原板は何度見てもすばらしい。

都市図屏風がどれも見事で見入ってしまったのですが、「津山景観図屏風」はやっぱり見事!
鍬形蕙斎、美しいです。

来週は江戸と徳川幕府にについての原稿執筆。
なので、廟所と墓所、江戸の都市構造の展示はとくに真剣に見入ってしまいました。

なかなか見応えのある展示でした。〜5/11まで。

 

断捨離してます

今月は断捨離月間。

必要なものとそうでないものがわかって、ここ半年のモヤモヤもうきぼりに。
捨てて、またいろいろ入れたい。自分のなかに。

仕事に関しては、最近の私には野心みたいなものがないなあ、と悶々中です。
崖っぷちに立っているとして、
どうやって形勢逆転してやろうかを考えたり、
スリルを楽しむ気持ちや心意気がなくなってしまった。
落ちたら落ちたでしかたないか、みたいなね。

このままいくと、近い将来、
知識があれば誰でも書けるようなもの
しか書けなくなってしまうのが自分でわかる。
これではいかん。もっと殺気立ちたい。
研ぎ澄まされたいぜ、力が抜けた状
態で。

北欧流おもてなし『FIKA』の心

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スウェーデン大使館で開催している、
「北欧デザイナー23人によるてぬぐい展「北欧流おもてなし『FIKA』の心」」に行ってきました。

すーてーきー。
頭のなかの使っていなかったところがほぐれた気がしました。

 

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かまわぬ(手ぬぐいメーカー)とのコラボ企画だったようです。
注染で仕上げられていたのですが、風合いもよくて見ているだけで心地よかったです。
北欧デザインが和の素材と見事に融合していて、
やっぱり日本と北欧は空中の温度とか速度みたいなものが一緒なんだあなあ、と思いました。

“FIKA”は、スウェーデンでいわゆるコーヒータイムのことだそうです。
私はフィンランドしか行ったことがありませんけれど、
とてもステキなカフェ文化があるんですよね。
おいしいコーヒーと焼き菓子をいただくことはもちろんだけど、
カフェの時間と相手をとても大切にするような。
そんなところにも、日本人が大切にする人との調和みたいなものが共通するのかもしれません。
おもてなしの心も。

北欧のテキスタイルが好きなのですが、やっぱり自然を感じられるのがいいですね。
幾何学的や奇抜なデザインでも、カラーのせいか自然体なのが落ち着きます。
力の抜け具合がたまりません。

親近感を覚えるのは、
日本人の美意識のルーツも“自然”とされているからな気がします。
静かで力強くて、純粋で美しい。

 

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スウェーデン大使館がまたステキ。
開放的でシンプル。
シンプルだと空気が冷たくなりそうなのに、なぜかほんのりあったかい。

とてもよい時間でした。