城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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特別展「軍師官兵衛」&関連講座

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江戸東京博物館で、2014年NHK大河ドラマ特別展「軍師官兵衛」、そして
えどはくカルチャー 展覧会関連講座(全3回)が催されています。

展覧会関連講座
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①秀吉の中国攻めと官兵衛の活躍
太田浩司先生(長浜市長浜城歴史博物館副館長)
②黒田官兵衛の出自
渡邊大門先生(歴史研究家)
③豊臣政権と小田原合戦
齋藤慎一先生(江戸東京博物館学芸員)
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まず、先週は太田浩司先生が長浜からいらっしゃるというので勇んでゴー。
とてもおもしろかったー!
古文書が読めない素人な私にはものすごい書状もほぼ暗号にしか見えませんが、
こうして解説してくださると、その世界にぐいぐい引き込まれます。
読み解けずとも、自分でなにかを感じたくなるものですね。

こういったものを読み解けたり、ほかの古文書と比較できたりすると
歴史の混沌としたところが浮かび上がってくるのだなあ、と
講演を聞きながらわくわくしました。

長浜と官兵衛の関わりや地元ならではのお話はもちろん、
黒田氏家臣連署起請文のお話などは、こういう場でないとなかなか聞けないので興味深かったです。
つい最近まで「重要そうな書類なのに裏紙を使っているのか?
はたまた文字と一緒に絵も描くのか?」などと思っていた無知な私ですが(笑)、
誓約に背けば神仏の罰を受ける、という意味で護符を料紙とするのですよね。
展示されている起請文のひとつは
石清水八幡宮で発行された牛玉宝印が版刻された料紙の裏を使っているそうで、
それからまた別のものは、
地蔵菩薩・不動明王・毘沙門天を配した木版刷りの護符を3枚貼り継いだものなのだそう。
そういうとことに気をつけて展示をじっくり見てみるといいですよ、と。

なぜ複数の起請文があるのか?というところは
タイムアウトで聞けなかった…気になります。。。

それから、今回展示されている秀吉直筆の書状について、
字の特徴のお話などもふむふむとメモ。
素人には言葉の端々に隠された思いみたいなものは読み取れないけれど、
文章には人となりが出るもので、それは書状も同じなのだろうから、
それができるようになると楽しいのだろうなあ、と思いました。

そして昨日は、渡邉大門先生のご講演。
渡邉先生のご著書は執筆の際にも参考にさせて頂いていたので
その中で疑問に思っていたことなども詳しく聞けたのがよかったです。
ご講演を聞くのは久しぶりでしたが、
お話のテンポがよく言葉もやわらかいので、やっぱり聞きやすかったです。

で、ご講演の後は展覧会へ。
…閉館まで時間を捧げてしまった(笑)

太田先生のお話を思い出しながら、
起請文をじーーっと見て、秀吉や官兵衛の筆跡に注目。
小田原攻めの宣戦布告書が異常に長くて、文面から秀吉のねちっこい一面と戦略を垣間見たり。

「圧切長谷部」はいませんでしが、
同じく国宝の太刀「日光一文字」がいて、心躍りました。法螺貝もいた(笑)
小田原攻めの開城シーン、大河ドラマではクライマックスっぽいので
どんなふうに描かれるか楽しみです。

昨年(一昨年?)発見された
賤ヶ岳合戦に官兵衛が参戦していたことが明らかになった秀吉の書状も。
長浜城歴史博物館まで見に行きたかったけれど行けなかったのでうれしかった!
お隣には、秀吉の大坂城築城石持淀書もありこちらも感動。

城好きとしては、三木合戦図に釘付け。部分ごとに図解してあって、物語みたいで楽しめます。
江戸時代に書かれたものなので、三木城には立派な五重の天守が(笑)!
ということは、江戸時代の人もお城=天守、と思っているということですね。

それから、中井均先生の論文にあった通り、
朝鮮出兵時の秀吉の書状に「機張」は「くちやん」と書かれていた。
それくらいは、私でも解読可能(笑)!うれしかったです。

ひとつ疑問が残ったのは、
九州攻めの際の官兵衛と小早川隆景の連名の書状。
なぜ、官兵衛のほうが署名が先なんでしょう?
(起請文も順番になにか規則や法則があるのか気になった)
格でいうと、小早川隆景のほうが上だし、年も上。
そういう順番のルールってなにかあるのでしょうか。。
単純に、内容として官兵衛メインだからなのかしら。
今度どなたか先生にお会いしたら聞いてみよう。