城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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忍城とレトロ探訪

今秋映画が公開される、忍城が舞台のベストセラー小説「のぼうの城」。
その舞台・埼玉県の行田市で近代化遺産や生活文化について学ぶモニターツアーに参加してきました。

 

   

綿が豊富にとれる行田は、足袋の里。
全盛期には数百の足袋屋が軒を連ね、全国のシェア8割を誇ったそうです。
文献をひも解いていくと、どうやら江戸時代後期からすでに盛んだったらしい。
利根川と荒川に挟まれ、かつ街道に沿ったこともあって、栄えたんですね。
いまだ、行田の足袋というと、常用者からは一目置かれるのだとか。

足袋は1人の職人が全行程を通してつくるのではなく、分業制。ミシンも部位ごとに違います。
重厚な断裁機、かかと部分を丸く縫い合わせるミシン、仕上げの調整。
職人さんの手にかかると、魔法のように足の形になっていく。
つま先を縫う<つま縫い>専用のミシンが、これまたすごい!
今のミシンと違って、縫いはじめがハンドルというのがいいですね。
かつては<つま縫い>専門の女工さんもいたそうです。

 

   
   
   
   

かつての工場を改装した見学館。
ぼーんぼーんと音が鳴る壁掛け時計、ミシンのペダル、消火器、本棚、ハンコ、棚。
ゴツゴツ木のそろばん、細かいものにいちいち味があって、興味津々。
壁の標語「買う人の身になってつくりましょう」に、仕事の原点を垣間見ました。

 

  

ハマってしまったのが、製品化した足袋についてくる、このラベル。
なんて遊び心があるんだ!
壁一面に貼られたコレクションを、舐めるように見る私。

 

   
   
   
   

「ランダムに写真を撮ると、自分好みものばかりになりそう」と思いながら撮りましたが、まさにその通りになりました。
こういうの、人の好みが出ますね。
昭和初期の印刷インキの色も好き。大量生産でなかったころのよさですね。

 

  

休憩室も、いい感じ。
めんこのように、足袋のラベルを模造誌に貼付けてコレクションしているんですね。かわいい!
窓枠や鍵穴もステキです。

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街あるきタイムは、城あるきタイム。
なぜ、この場所のこの道がこんなに細いのかとか、ここは門跡だったんだな、とか
知らず知らずに城下のがわかってしまうのが城好きの性。

このあたりは区画整理されてないんだなーとか、
城の正面玄関へ続くメインストリートだなーととか。
おそらく一般の方にはただの道が、城好きにとっては発見の小径です。

 

   

忍城内の残存物は、土塁と数えるほどの石材などですが、
建物がないからといって、見どころがないというわけではない。
城下の繁栄を見れば、城の姿が見えるというものです。

 

   
   

キャッチーな広告、石づくりの蔵、洋風屋根の写真館。
明治、大正、昭和のレトロデザイン探訪でした。

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今回のツアー参加は、
久々に再開を企画している私主催のオリジナルお城ツアー「城メグツアー」の下見だったわけですが、
主催側、参加側のいろいろが学べて、一挙両得。
帰宅後、ほろ酔いで書き出したりした1日でした。
私なら、どういうフレームづくりをするか、エッセンスを入れるかを延々と。
もちろん、もっともっとお城に特化した内容で。
それから、ものごとはテンポが大事なのだと実感。
楽しむにも、学ぶにも、満足度につながるのは心地よさですね。

行田は、MAPをもとに探索したら、楽しさがアップすると思う。
発見って旅の重要なファクターだけど、ゼロからの発見は難しい。宝探しにはヒントが必要。

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