城メグリスト

萩原さちこのプロフィール

城郭ライター、編集者。小学2年生で城に魅せられる。執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演などもしています。

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甲賀の城

新宮支城

甲賀の城めぐり、本編です。

 

黒川氏城

こちらがヤマヒルの大歓迎を受けた黒川氏城。
いちばん行きたかった憧れの城だったので残念でしたが、仕方ありません。
ちなみに、この景観を見て「美しいカーブだ〜」と発したところでヒルに気付きました。

気を取り直して、安全な甲賀の城めぐり。望月城、土山城も次回に持ち越しです。

 

村雨城 IMGP8931 IMGP8944 IMGP8965 寺前城 IMGP8973 IMGP9005 新宮城 服部城

寺前城、村雨城、服部城、新宮城。
甲賀独特の単郭方形の城とはこれなのだと、ふむふむ。
本当にここ一帯のスタイルで、甲賀を出るとぱったりと姿を消し、伊賀の城ですら見られないとのこと。
これは訪城していなければわからないよなあ。。
で、土塁が周囲をめぐらすだけの小規模で簡単な構造の方形プランの城が、
少しずつ技巧的になって虎口が複雑化し、さらには石垣を利用した城になっていくとのこと。
それは織田勢力下になると織豊系城郭に改修されていく、ということなのでしょうか。
それとも、甲賀に限定した独自の城なのでしょうか。
このあたり、聞けばよかったな…。
まあ、進化系の代表格である黒川氏城はリベンジ必須だし、
次の機会までに予習して、自分の目で確かめてから聞いてみよう。

関東の人間としてはやはりちと地理に弱く、
甲賀の位置関係と重要性を教えてもらって、初歩的ながら勉強になったり。
こういうのは、やはり地元の人や数をこなしている人に聞くとわかりやすい。
草津から鈴鹿山脈に向かって東海道が通っていて、甲賀を抜けて伊勢に続いていく、という立地。
そして、甲賀は六角氏が行方をくらませて拠点を置いた地。
室町時代から六角氏の勢力の一翼を担っていた地。
なんとなく甲賀の在り方みたいなものが想像できてきます。
(でも知識不足だなあ、、、勉強しなきゃ。)

 

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新宮神社表門の近くに「新治の七城」なるマップ看板が掲示されていて、
近隣の城館・城砦が連携していることがわかりました。
それにしても、隣の城が近い!
なんというか、町内会みたいな感じですな。
しかし人間たるもの見栄はあるはず。
こんなに近いと、やれあの城は立派だとか、負けられんとか、いろいろあったのではないでしょうか。

 

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そしてそして、新宮支城ー!!
これが噂の土塁か!
主郭の土塁に到達する前に、まず驚愕。
くっきりと残る土塁の先に切岸らしきものが立ちはだかるのですが、曲輪かと思いきや、これも土塁にすぎない。
裏側にまわってみると、ざっくりと大規模な堀切が切ってありました。
ここが主郭の北側の堀切で、南側にも大規模な堀切がありました。
とりあえず降りる。深い。

 

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感動しつつ足を進め、虎口を抜けると主郭の土塁!
「ありがとうー!」と言ってしまうほど見事でした。
人と比べてもらえればわかりますね。
とりあえず登る。そして見下ろす。眺め回す。
主郭内は、20m×30mくらいとそれほど広くはないのですが、
それを取り巻く土塁が高い!そして分厚い!
高さは9〜10mくらいでしょうか。左に傾斜がついていました。

 

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これで終わりかと思いきや、主郭の南側にも大堀切!
逆サイドの大堀切と、主郭をサンドするように固めてるんですね。
ここも、とりあえず降りる。
写真で見るより急勾配で、ちょっと登るのが大変でした。

これだけの大規模な土塁が盛っただけのはずはないので、
版築土塁なんでしょうね。
なにか特殊な技術集団を抱えていた、なんてこともあるのかなあ。
…なんてことも話しつつ。。

 

IMGP9074 IMGP9083 福地城

デザート的に、伊賀の福地城にも連れていってもらいました。
松尾芭蕉が福地氏の出自とのことで、芭蕉公園になってます。
伊賀随一の中世城館、とのことでたしかに本丸の土塁も幅広で立派だし、
本丸の虎口は石垣づくりの桝形門だったりと見事。
だけど、新宮支城がすごすぎて、さほどテンション上がらず(笑)。
全員、魂を吸い取られたかのように無言だったのでありました。。
大規模な虎口はなかなか立派で、ちょっとテンションが上がりました。

「土塁すごーい!」で終わった感のある甲賀の城。
年内にも来訪する予定があるので、ちと勉強だ!